また、タブレット型端末は無線LANに接続し、学校のサーバーから小テストやアンケートをダウンロードするシステムのため、端末が正常に作動しても接続がうまくいかないケースもあるという。

「公開授業のように9人なら大丈夫ですが、20人を超えるクラスになると、一度にうまく接続できないことが多いのが現状です」(同)

 さらに本誌は、昨年4月から1年間分のタブレット型端末のトラブル事例を具体的に示した内部資料も入手。全小学生に配布した3153台のうち、報告されたトラブルは287件。タブレット型端末導入直後の4月9日だけでも、23台もの初期不良が報告され、その後も毎月数十台のペースで、機材の不具合や故障が見つかっていたのだ。資料を読み解くと、「動かない」「起動しない」「カメラに接続できない」「充電不能」「音が出ない」など、機材そのものが初めから不良品だったと認められるものが204件。不具合の原因がわからないものが52件、児童の扱い方が原因で故障に至ったのは31件だった。

 つまり、不良品率は8%を超え、100台のうち8台は初めから壊れていたということになる。市教育委員会にトラブルの多さについて取材したところ、「トラブルに対する迅速な対応が必要と心がけており、軽微なトラブルは教育委員会内でも対応できるような体制に強化している」と回答。さらに、現場から不満の声が上がっていることについてはこう否定した。

「学校現場とは密に情報共有を図っている。機器操作について戸惑いなどがあるのは当然想定しており、各学校へICT機器の設定、操作に特化した職員を配置するなどの対策をしている。そのような声は上がっておりません」

 しかし、武雄市の小学校教諭は本誌に対し、こう憤った。

「こんな端末では授業になりません。正直言って不要です。端末の起動段階で不具合が生じて、対処の仕方まで教員が知っておくべきなのか。我々の仕事は、端末を使ってどう授業するか研究して実践すること。スムーズに動くことが前提なのに、そこができていない。先生が端末に使われてしまっている。ただ、人事権を握られているので声を上げることが難しいのです」

 タブレット型端末を全小中学生分、購入するために、市は計2億1869万6236円もの税金を投入した。将来、無駄にならないことを祈るばかりだ。

(今西憲之/本誌・牧野めぐみ)

週刊朝日 2015年6月19日号より抜粋