2月6日の徳島県南部の地震、同17日の東北地震などを次々に的中させた東大名誉教授の村井俊治氏(75)。

 自身が顧問を務める地震科学探査機構(JESEA)のメールマガジン「週刊MEGA地震予測」(毎週水曜日発行216円/月)に執筆した地震予測は、14年以降に発生した震度5以上の地震10件をすべて当てていたという。その秘密は何か。

 国際写真測量・リモートセンシング学会会長を務め、「測量学の世界的権威」である村井氏の地震予測法は、測量学を応用したものだ。従来の地震予知と異なるのは、地球や地震のメカニズムを追求することをせずに、徹底的に地表のデータから地震との相関関係を見ていくことにある。

 具体的には、国土地理院が94年から各地のGPSデータを測定するために全国約1300カ所に設置した電子基準点のデータを活用し、「土地の微細な変動」を探るという。過去に起きたマグニチュード6以上の地震のデータをひもとくと、そのような変動が、大きな揺れの近くにある基準点に観測されているからだ。

 

 そうしたうえで、「上下動の短期的な異常」「水平方向の動きが正反対」「変動速度の違いの境目」に注目して地震予測の精度を高めていくのだという。

 2月17日に2度起きた東北地震を的中させたことについて、村井氏はこう説明する。
「東日本大震災の時に東北地方の太平洋岸は最大で1.1メートル沈みました。そこから沈んだ地盤は徐々に戻ってきていますが、場所によっては隆起の速度が違い、境目ができている。だからメルマガなどでは要警戒地域と伝えていました」

 では、次の巨大地震はどこで起こるのだろう?

「去年の12月中旬から下旬にかけて、北信越の地盤に異常が見られました。地震発生までは、およそ5カ月くらいかかるので、岐阜県飛騨地方を含む北信越地方は要警戒地域です。また、異なった速度で沈降を続けている奥羽山脈付近も同じように可能性が高いとみています」(村井氏)

 実際、当たっているだけに注意が必要だ。

(取材=本誌・小倉宏弥、森下香枝/黒田 朔)

週刊朝日 2015年3月13日号