若年層フリーターはもう十分? 高齢者「パート」は“売り手市場” 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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若年層フリーターはもう十分? 高齢者「パート」は“売り手市場”

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 都内のハローワークを管轄する厚生労働省東京労働局によると、ここ数年、求職者は全体で減少しているものの、65歳以上は唯一、増加傾向で、勢いがある。佐々木幸彦・高齢者対策担当官が分析する。

「正社員の求人は非常に少ないが、パートタイムは豊富です。60代はもちろん、70代でも元気な人は十分就職できます」

 求人数で男女差はない。

「ただ、男性は高齢になるとこだわりが強くなり、就職は難しい。女性は割り切っている方が多く、早く決まっていく印象があります」

 求人情報を提供するリクルートジョブズの調べによると、少子高齢化で働き手が減り、これまで若年層のフリーターを優先的に雇ってきた居酒屋やファミリーレストランなどの飲食業で、常に人材不足の傾向が続いている。

 一方、3大都市圏のパート・アルバイトの募集時の時給は平均961円(2014年10月現在)。これは13年7月から16カ月連続で前年同月を超え、特に「フード系」は13年8月以降、前年同月を1%程度上回る。まさに“売り手市場”だ。

 そこで注目されるのが子育てや家事の合間に働きたがっている主婦層や、時間に融通が利く高齢者らを中心としたパート。ある程度の社会経験があり、地域とのつながりが強く、コミュニケーション能力が高いため、職場で評価されやすい。子育てを終えた主婦は、うってつけの人材だ。

 パートの活用を進める企業では、昇給以外にも、パート内に階層を設けて昇進させたり正社員に登用したりなど、働きに見合った評価を導入し始めている。

「こうした企業はパートの満足度が高く、長く勤める傾向にあります。主婦の力を生かして顧客視点のマーケティングにつなげている企業も業績好調というイメージです」(リクルートジョブズ広報担当)

 そういった視点から“伝説の店”と噂されるのが、東京都品川区にあるモスバーガー五反田東口店だ。パート・アルバイト約50人のうち、10人前後が60歳超。

「マニュアルにはない臨機応変な対応や心遣いができ、高齢のお客様からも『同年代のスタッフがいると利用しやすい』と言われます」(店長)

 例えば、こんな逸話が残されている。

・にわか雨で濡れた客が乾いたタオルを差し出され、「大変でしたわね」と声をかけられて感激した
・「オニオン抜きで」と注文した若い客に「好き嫌いはいけないよ」と諭した

 ここで約15年間、働き続けている土屋美津子さん(73)は昨秋、手術で3カ月間休んだ。

「手術の時は年齢もあって万が一を覚悟したし、術後は弱気にもなった。でも退院のあいさつに来たら、当時の店長に『待っていました』と言われて嬉しくて」

 6時間の勤務を4時間に減らして復帰し、今もできる限り店頭に立つ。そんな土屋さんの働く姿に憧れて、8年前からこの店で働くのは同僚パートの杉山純江さん(66)。

「最初は、短いキュロットの制服を着た若いアルバイトに気後れしたんです。そしたら長ズボン姿の土屋さんを見つけ、安心しました。年上の女性がこんなに活躍できる職場なら大丈夫だって」

週刊朝日  2014年12月5日号より抜粋


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