事実は小説よりも奇なり、を地でいくのがモナコ公国だ。レーニエ3世・前大公に嫁いだグレース・ケリーが82年の自動車事故で亡くなった頃から、壮絶なドラマが展開している。

 長女のカロリーヌ王女(57)は仏人男性と離婚後、イタリア人実業家の2番目の夫との間に3人の子供を授かった。夫が事故で亡くなると、ドイツ出身の男性と3度目の結婚をした。

 奔放な人生を送るのが、次女のステファニー王女(49)。

 89年に、王女は殺人嫌疑のかかった過去を持つ仏人男性との結婚を望んだが、父親のレーニエ公は大反対する。父親の眼力通り、この男性は、週刊誌から金銭を受け取り、トップレス姿の王女とプールサイドでいちゃつく姿を写真に撮らせた愚か者だった。翌90年には実業家の男性と婚約するも、詐欺による逮捕歴が明らかになり破局する。

 王女は、自身の警護を務めた男性との間に未婚のまま2子をもうけた。95年に結婚するが、翌年、夫がモナコの豪華別荘でストリッパーと行為に及ぶ写真が雑誌に掲載されて、離婚した。

 その後、別の男性との間に、未婚のまま3人目の子供を出産。03年にサーカスの団員と結婚するが、翌年離婚。同時期、38歳の王女はスペインの大衆紙で、ヌード写真を披露する。エイズ患者への支援を表す赤いリボンを体に巻いた、チャリティー・ヌードである。

 
 長男のアルベール2世(56)現モナコ公国大公は、53歳まで独身を貫いた。小太りのオジサンながら、女優のブルック・シールズやスーパーモデルのシンディ・クロフォードらと浮名を流し、「世界の2大美女とつき合ったプレイボーイ」と呼ばれる。

 一夜限りで終わらない情事もあるようで、すでに2人の子供を認知している。

 大公が選んだ結婚相手は、美しすぎる元競泳五輪代表選手のシャルレーンさん(36)だった。11年7月のロイヤルウエディングで、花嫁は、4万個のスワロフスキーが縫いこまれたドレスに身を包み、誓いのキスをした。ここでもひと騒動あった。ジャーナリストの多賀幹子さんが言う。

「式の数日前に、各国のメディアに『RUNAWAYBRIDE』の見出しが躍りました。記事は、式の直前に3人目となる大公の隠し子騒動が持ち上がったことに触れ、傷ついたシャルレーンさんが故郷に戻ろうとしたところ、空港で連れ戻されたと書いています」

 モナコ政府と大公は、報道を否定し、式は予定通り執り行われた。

「花嫁が式で見せた涙を、メディアは“複雑な涙”と報じました」(多賀さん)

週刊朝日  2014年4月11日号