東京・駿台予備学校で胴上げされる東大合格者(撮影/写真部・慎芝賢)
東京・駿台予備学校で胴上げされる東大合格者(撮影/写真部・慎芝賢)
祝福される東大合格者(撮影/写真部・慎芝賢)
祝福される東大合格者(撮影/写真部・慎芝賢)

「ゆとり世代」最後となる2014年入試は、安全志向が強いと言われてきた。それでも東大の志願者は微増。駒場東邦や日比谷といった名門校が合格者を増やし、一方で優秀な理系の受験生たちが医学部に流れる傾向も強まった。

 昨年まで32年連続で東大合格者数トップの開成(東京)は、今年前期もトップを維持したものの、2012年の203人、13年の163人からまた合格者数を減らし、149人になった。とくに理科一類(理I)が昨年の74人から54人に減っている。背景には、優秀な受験生たちの文系離れと医学部人気があるようだ。

 学年主任の宮崎哲朗教諭がこう話す。

「約400人の卒業生のうち、文系は約3分の1に減少。また理系約170人のうち約100人が医学部志望で、東大以外を目指す受験生が多くいました」

 東大合格者が多い高校で、受験生が理系、そして医学部志向を強めると、東大合格者は減る傾向が出る。中高一貫1期生の受験となる今年の合格実績が注目を集めた県立千葉は、東大合格者が昨年の24人から3人減ったが、久保田功教頭も同様の理由を挙げる。

「理系のトップ層は、東大より医学部を志望する生徒が多いため、増えなかったのだと思います」

 対照的なのが東大寺学園(奈良)だ。昨年の23人から30人に増えたが、秋山誠司進路指導部長がその理由をこう話す。

「昨年の東大受験者は理系23人、文系3人の計26人でしたが、今年は理系33人、文系22人の計55人。とくに文系がかなり増えたため、合格者が増えました」

 このほか、駒場東邦(東京)は昨年の56人から73人と17人も増えた。佐藤仁志進学指導係主任はこう話す。

「2月の上旬以降は自由登校ですが、多くの生徒が集団で励まし合いながら勉強したことがよかったのだと思います。また、世間では、今年は安全志向で弱気な出願と言われていましたが、本校は例年と同じでした。第1志望を貫いたことがいい結果になりました」

 名門の日比谷(東京)も昨年の26人から9人増えた35人で12位と躍進した。

週刊朝日  2014年3月21日号