2013年が報われない一年だった人も、恨み節は大みそかまで。新年は景気のいい初夢で心機一転、明るい未来を開きたい。

 初夢といえば、「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」が吉兆というのはよく知られた話。縁起にこだわる江戸の庶民は、七福神と宝船を描いた「初夢札」をこぞって買い求めたという。

 境内に宝船の石像に祀(まつ)る十番稲荷(いなり)神社(東京都港区)では、いい夢が見られる「福絵」として、通年で夢見札を授与している。同神社の神主はこう話す。

「絵には、宝船と七福神に加え、『永(なが)き世(よ)の遠(とお)の眠(ねふ)りの皆目覚(みなめさ)め波乗(なみの)り船(ふね)の音(おと)の良(よ)きかな』と、上から読んでも下から読んでも同じ文句の回文が記されています」

 日本の年中行事を解説する辞典などによると、初夢札を枕の下に敷いて眠ると吉夢にあずかることができ、1年間幸福に過ごせるといわれてきたという。万一悪い夢を見たときは、初夢札を川に流せば、なかったことにできると考えられていたそうだ。

 現代の世では、川に流すのは問題がありそう。使い終わった初夢札はどのように扱えばいいのか。元旦から2日にかけて授与している日枝神社(東京都千代田区)に尋ねた。

「お神札(ふだ)やお守りと同じように、神社でおたき上げをしてください。しばらくの間手元に置くなら、神棚に上げましょう」

 家庭に神棚がない場合は、それに準ずるようなところに置くといいという。

 ところで、初夢はいつ見る夢のことなのだろうか。

「諸説ありますが、近年は一般的に、元旦の夜から2日の朝にかけて見る夢をいうようです」(日枝神社)

 初夢札は全国すべての神社で授与しているわけではなく、配布時期やお神札のお礼として納める「初穂料」も神社ごとに異なる。初夢札を求める際は、各地域の神社に確認して欲しい。

週刊朝日 2014年1月3・10日号