4日のエジプト戦で快勝し、44年ぶりの五輪準決勝進出を決めたサッカー男子U23日本代表。株も上がる一方で、この後、何人もの選手に海外のクラブからラブコールが届くことだろう。中でも期待は、エジプト戦で先制弾を決めたFW永井謙佑だ。

 ウリは何と言っても、50メートル5秒8を誇る異次元のスピード。サッカージャーナリストの安藤隆人さんは、

「海外クラブがカネを出すのは、他より突き抜けた『スーパーストロングポイント』に対してです。永井の加速力はまさにそれ」

 と太鼓判を押す。ネット上で「犬に走り勝った」「原付きバイクに追いついた」とまことしやかな"伝説"がわいて出るのもうなずける。同じくサッカージャーナリストの小澤一郎さんの永井評は「日本にいなかったニューカマー」。

「時折、試合中に前線でぽつんと立っているように、力を抜くところでは抜く。普通の日本人なら余計に頑張って体力を切らしてしまうところを永井は割り切る」

 つまり、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負勘。そこにつく価格はいかほどだろう。英プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドが独ブンデスリーガのドルトムントから香川真司を獲得した際の移籍金は1500万ユーロ(約15億1600万円)ともいわれている。ただ現時点では、仮に永井が五輪後に海外移籍する場合、かなりの"お買い得"になりそうだ。

「選手がJリーグのチームに所属している場合、獲得する海外クラブが払う移籍金は高額にならないのが慣例です。今の永井でも、相場で1億、多くて2億~3億円でしょう」(小澤さん)

 所属の名古屋が手放すかわからないが、これは"即買い"レベルではないか。

※週刊朝日 2012年8月17・24日号