◆クッパの早さに吉野家は及ばず◆

 韓国企業がデジタル時代で先頭を走っていられる背景に、私は韓国の「パリパリ(早く、早く)文化」があると考えています。ソウルを旅して、タクシーがあまりに飛ばすのでこわいと思ったことがありませんか? 韓国人は、とにかく早いものが好きです。

 かつて「早い、安い、うまい」のスローガンそのままに韓国に進出した吉野家は、その後、撤退を余儀なくされました。韓国のクッパのスピードに、吉野家の牛丼が及ばなかったのです。

 店に入ると、韓国人はドアを開けた瞬間、「クッパ一つ」と注文します(笑い)。そして席に着くや、サービスとして出されるキムチやカクテキを皿にとりわけ始める。そうこうすると、さっとクッパが出てくる。韓国人にとって吉野家は決して早くなかったわけです。

 デジタル時代にはスピード経営がものを言います。

 サムスンは、半導体の工場を建設する際、日本の感覚では2年かかると予想されたのに、わずか半年で完成させました。

 また日本では通常、新車を投入するときは、まず設計を行い、部品をテストし、生産ラインでもテストを重ねて品質を安定させてから量産態勢に入ります。

 一方、現代自動車では、設計、開発、生産を同時に行います。南陽(ナムヤン)総合技術研究所内では、技術者や組み立ての生産者たちが同じ場所で作業を進めています。

 韓国では、何か事があれば、激しく張り詰めた空気の中で集中して取り組み、終わったら思い切り力を抜きます。日本企業は労使の対立を嫌いますが、韓国企業では改革をしたり、大きな問題が片付いたりした後に、必ずといっていいほどストライキが起きます。

 現代自動車では毎年、ストを見越して、11カ月で年度計画を立てます。今年は珍しくストがなかったので、来年度は11カ月で事業計画を作るか、12カ月で作るかが話題になっているほどです。(笑い)

 フィギュアスケートのキム・ヨナ選手を見てください。バンクーバーでは完璧な演技で優勝したのに、直後の世界選手権では振るいませんでした。私に言わせれば、あれは韓国人の「適当主義」の典型です(笑い)。韓国人がよく口にする「ケンチャナヨ(大丈夫)」という言葉は、適当主義をよく表していますね。

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