「番外編」に関する記事一覧

土居利光が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
土居利光が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5

動物園の役割は、一言で言えば、野生動物と人とを何らかの形で結びつけることにある。いま、どこの動物園でもパンダは人気者で、我が上野動物園では「上野と言えばパンダ」と地域のシンボルになるほどである。  しかし、人との関わりについて語られることはあまりなかった。『パンダが来た道』は、パンダが発見? されてから今日に至るまでの人との交流史ともいえる詳細な記録である。そして同書の真骨頂は、人が野生動物に対して身勝手に振る舞ってきた歴史を持っていることに気付かせてくれる点にあると思う。  パンダのように好かれる動物がいれば、逆に嫌われる動物もいて、どうしてだろうと疑問が湧く。  こうした疑問に真摯に向き合っているのが『バイオフィリア』であろう。他の生物と結びつきたいという人の欲求が生得的なものであると主張する著者は、「生物多様性」の保全を唱えるナチュラリスト、生物学者である。  とくに、なぜ人はヘビを恐れるのかという問いに関して、感情的に反応するように人がつくられてきたと説明する過程が妙に納得できる。何よりも動物の生態の話が随所にちりばめられていて実感が湧く。多摩動物公園で飼育するハキリアリが出てきたのも嬉しかった。  動物の逸話を集めた本では『ツルはなぜ一本足で眠るのか』が面白い。温度と湿度、眠り、すみか、衣服、適応という範疇ごとに12の逸話が、例えばライオンであれば、「昼間のまどろみは夜のため」という要点と共に説明されている。一つ一つの関心の積み重ねが、動物を知ることに繋がっているのがよく分かる。  多くの動物に関心を持つきっかけとなる本として、児童向けだが侮れないのが『はじめての生きもの図鑑』であり、動物園の飼育員の気持ちも汲み取れるのが『飼育係が見た動物のヒミツ51』である。

週刊朝日
渡辺佑基が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
渡辺佑基が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
研究者が一般向けに本を書くという慣習は、欧米にはないらしい。わが国では最新の研究成果を聞いて理解したいという、分厚い読者層からの熱い需要があるから、科学本という独自のジャンルが進化した。  さて、科学本でもせっかく読むのなら、当該分野の世界的トップランナーが著したものがいい。しかもできるだけわかりやすく、するすると読めるものがいい。もっといえばクスリと笑えて、同時に勉強にもなっちゃうものがいい。そんな贅沢な要望に応えてくれる本を、生物学者の立場から2冊(プラス1冊)紹介させてもらおう。 『波紋と螺旋とフィボナッチ』。シマウマの縞やメロンのひび割れ模様など、一見複雑怪奇な生物体のデザインが、じつはごく簡単なメカニズムによって形成されていることを解明していく。著者の近藤滋さんは、世界が認めるこの分野の第一人者。それなのにというか、だからこそというべきか、文章は軽くてノリノリである。珠玉のギャグがすべっている場面もお見受けするが、それもご愛嬌。自説を証明したいがために、80万円自腹を切り、上司に隠れて自宅でコソコソ実験をしていたという若き日のエピソードは最高。 『シロアリ』。女王の下におびただしいワーカーが隷属する社会性昆虫シロアリの話。著者、松浦健二さんの最大の発見は、シロアリの巣に寄生する「ターマイトボール」だ。シロアリのワーカーたちは、女王様のかわいい卵たちを「よしよし」となでているつもりでいて、それはじつは女王様の卵でないどころか昆虫ですらない、謎のエイリアン菌類なのである。恐ろしや。  近藤、松浦両先生と比べるのもお恥ずかしい限りだが、地球を46日間で一周するアホウドリなど、動物たちのダイナミックな動きを解説する拙著『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』も悪くないですよと、小声で足しておきます。
番外編
週刊朝日 8/8
畠山千春が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
畠山千春が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
足跡や糞、食べかけの木の実たち……『アニマルトラック&バードトラックハンドブック』は、動物たちが山に残していくさまざまなサインから動物たちの姿を想像する、好奇心が刺激される一冊です。山にいる身近な動物の足跡が原寸大で描かれており、右端には目盛りが印刷されています。ツキノワグマの足跡の大きさには思わずギクリ。初心者でも分かりやすく、持ち運びに便利なので山歩きに重宝すると思います。この本と一緒にお子さんと山へ行ってみませんか。  私が小学生だったころ、夏休みに山にキャンプへ行ったとき道で轢かれた動物を見たことがありました。あのあと動物たちはどうなってしまったんだろう? そんな疑問に答えてくれるのが『死を食べる』。一つの命が虫や小動物たちに食べられ、土に還っていくまでを写真で丁寧に解説しています。動物たちが死んでいく姿にドキッとする瞬間もありますが、山の中でひっそりと行われていく「死をスタートに命が繋がれていく」様子をしっかり追うことが出来る、貴重な一冊です。私たちはみんな、死を食べて生きているのです。 『我が家にミツバチがやって来た』は、蜂を飼い始めたときに読んだ養蜂のバイブル。ニホンミツバチの習性から巣箱の作り方まで細かく紹介されています。ミツバチは不思議な生死の感覚を持っていて、働き蜂は巣を襲う敵を一度でも針で刺すと死んでしまいます。それは、子孫を残せない働き蜂が生き残るより、自分の命と引き換えに巣を守り、自分と同じ遺伝子を持つ女王蜂に、より多く子どもを産ませるほうが自分の遺伝子を残せるからなのだそう。生きものたちの生き方に触れる度に、人間の「生きる」「死ぬ」という感覚も、多様な生き様の一つでしかないのだろうなと感じます。
番外編
週刊朝日 8/8
青山潤が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
青山潤が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
「生き物」を知らずとも生物学研究のできる時代である。特定の器官や遺伝子のみを深く追求するスタイルが確立したためだ。したがって生物学者といえども、子どもの頃、生き物と見れば家へ持ち帰り、母親にぶん殴られていたような人ばかりではない。「まず観察」というのは一昔前のセンスとなりつつある。  こんな時代に読む『アマゾン河の博物学者』は妙に心に染みる。今から100年以上前、大秘境であるアマゾン河周辺に10年余りも滞在し、様々な動植物をヨーロッパへ報告し続けたベイツの名著である。最近の専門書を読んでも生き物について学んだような気がしないのに、本書は自分がアマゾンの川岸に座り込み、じっと生き物を見つめているような気分にしてくれる。 「生き物の話なら魚の種類だけあるぜよ」。そう豪語する高知県の川漁師、宮崎弥太郎さんは『仁淀川漁師秘伝』で川の魅力を語り尽くしている。漁の基本は生き物の習性をよく知ること。そのためには好きになること。それも魚だけでなく、川の仕組みや、鳥や虫を含めた季節との関係にまで興味を持つことと語る。自慢の川船からジッと水面を見つめる弥太さんの息づかいが聞こえてきそうだ。  一方、小さな機械を取り付けて動物の行動を調べる「バイオロギングサイエンス」を駆使し、より攻撃的に生き物を見つめるのは佐藤克文さんだ。世界中を飛び回り、手当たり次第に動物の行動を調べる佐藤さんは、よちよち歩きの我が子にまで機械を取り付けた逸話を持つ。 『巨大翼竜は飛べたのか』は、タイトル以上に壮大なスケールで動物の行動を浮かび上がらせている。2009年、ナショナルジオグラフィック協会から「現代の探検家」として表彰された実績は伊達ではない。
番外編
週刊朝日 8/8
今泉忠明が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
今泉忠明が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
私が初めて哺乳類の調査を経験したのは、富士山の北麓にある青木ケ原である。それ以後、富士宮口登山道や吉田口登山道のあたり、そして須走口登山道の馬返し小屋に、一人で住みついて真冬の森と動物などを調べてきた。それから50年近くが過ぎた。『富士山の自然』は写真集のようなもので、植物や鳥、昆虫などが紹介されている。懐かしく思うとともに、富士山の美しい自然を多くの人に知ってほしいと思う。  富士山だけでなく、北海道・サロベツ原野から沖縄・西表島まで、全国各地で調査してきたが、自然の見方を教えてくれたのは、『動物記』で知られるシートンである。『シートンの自然観察』は、動物たちが残した足跡や糞などの痕跡の読み方や自然に対する考え方をまとめたものだ。野生動物を直接目で観察することはきわめて難しい。その中でシートンは「森へ続く足跡は、森を案内してくれるガイドブックである。自然の秘密の詰まった箱を開く鍵である」と書いている。動物の痕跡を知っていると、その姿は見られなくとも森を歩くのが楽しくなる。  森で動物を調べるようになった1960年前後から、このままだと人類や地球の未来は大変な状況に陥るといわれるようになった。開発が先行したヨーロッパでは、自然を保全・再生しようとする動きも早かった。『世界史を変えた50の動物』は、人間が関わってきた50種の動物を挙げている。身の回りにいる動物が、世界の歴史が変わるほど重要な存在だったということを改めて知らされる。人間は動物に依存して繁栄してきたにもかかわらず、一方で多くの動物を絶滅させてきた。私たちはまず身近な動物の正しい姿を知る必要があるだろう。それが野生動物の存在を理解する一歩であり、生態系や生物多様性を理解することにつながるのだと思う。
番外編
週刊朝日 8/8
村山司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
村山司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
海に暮らす生き物は実に多彩である。海洋生物と言えば、まずは魚であろうが、あまたある魚の本のうち『魚のおもしろ生態学』からは、魚の夏眠や子育てなど、ふしぎな行動をいろいろ教えてもらった。だが、ここでは少し趣を変えた角度から、海の生き物に目を向けてみたい。  浜辺でたいていの人がするのが貝拾いだ。しかし、もう少し貝のことを知れば、貝拾いはもっと楽しくなるだろう。『おしゃべりな貝』では、拾った貝の種や特徴、生態、生息する環境といったことが、著者の体験や出会った人々とのやり取りなどを通して語られている。また、よく見るものから珍しいものまで、すべての貝がスケッチになっているのもわかりやすい。何気なく拾った貝にも、秘められたメッセージがあるのだ。  昨年、NHKで特集されてから人気が高まっているのが深海ザメだ。『深海ザメを追え』にはいろんなサメの種類や生態のほか、獰猛なホホジロザメや最近話題をさらったメガマウスの話、そして古代に生きたサメや深海底にうごめく深海ザメたちの暮らしぶりなどが描かれている。番組の撮影秘話や著者の長年にわたるサメ研究で体験したエピソードもあり、手軽にサメを知る一冊と言える。  海の動物として忘れてならないのがイルカだ。イルカの種類や生態を紹介した本や図鑑は多いが、拙著『海に還った哺乳類』では、イルカの「賢さ」を中心に紹介している。数がわかり、三段論法で考え、そして、ことばまで覚え始めた……。そんな知性を思いながら、水族館のイルカを見つめてみてはいかが。  このほか、変わりダネとして『タコの教科書』がある。日本人になじみ深いタコの驚異の知能や生態、人との関わりの歴史などを垣間見ることができる。  夏は海の生き物の神秘に触れる季節である。
番外編
週刊朝日 8/8
長沼毅が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
長沼毅が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
『深海世界』は、あまたの深海生物モノにあって、出色のビジュアル本。たしかに深海は暗黒だが、目を凝らして見れば、それは生き物たちが発する光に満ちた闇だった。日本初のプロ宇宙飛行士・毛利衛さんは宇宙の闇と深海の闇の両方を知っている。毛利さんは「宇宙の闇は何もない闇だが、深海の闇は何かがたくさんある闇だ」と喝破した。そう、深海にだって生命は満ちているのだ、見えないだけで。それをかくも美しく見せてくれる。解説は簡にして要を得ているし、学名も記されているので、もっと高い、いや、深いレベルへも行きやすい。  私たち人間の体は、しょせん魚から進化したのだ。魚が持っていたものだけで、今の人体ができている。『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』によると、私たちの手足も元々は魚のヒレ、魚にあったものから全てができている。寄せ集めや流用や転用などなど、それらの過程にはものすごい創意工夫があったはずだ。そして、同じくらい、いや、もっと多くの失敗もあったはず。そう、進化とは失敗の歴史であり、失敗を乗り越えてきた歴史であり、失敗を抱えたまま生きることでもある。  その進化を身近に「感じて」みよう。進化は、目的も方向性もないランダムな突然変異にはじまり、これが表現型として体のつくりやはたらきに表出すると自然淘汰や競争にさらされる。ただし、せっかくよい方向に突然変異しても、それをうまく使いこなせなければ、その個体の系統は死に絶えてしまう。逆に、多少の不具合があっても、新しいライフスタイルを開拓して使いこなして結果オーライにするのが進化だ。『図解・感覚器の進化』を読むと、毎日感じている当たり前のことが新鮮で愛おしく思えてくる。続編の『内臓の進化』も面白い。
番外編
週刊朝日 8/8
養老孟司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
養老孟司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5
『昆虫記』はこれまで何度か翻訳されてきた。今は奥本大三郎の完訳が手に入る。注も至れり尽くせり。出てくる虫の正体がよくわからない、なんてことはまったくない。虫なんか、なんの関心もなかった、この本が初めてという人でも十分に読める。ルビまで振ってありますよ。  そのうえ、どこから読んでもいい。はじめからきちんと筋を追う、というような本ではない。自然を観察し記述する。それを学ぶテキストとして最良である。現代人はこういうことをしなさ過ぎる。私はそう思う。なにかというとすぐに実験室に籠もる。挙句の果てにSTAP細胞の論文不正問題である。  現代の日本の書物では、『博物学の時間』を挙げたい。著者はダニの専門家だったが、定年後は学生のころから興味の対象だったホソカタムシを調べている。生き物に関心を持って調べる作業がどういうものか、わかっていただければいい。なにがわかるのかって、要するに楽しいのである。  現代日本人の大半は都会人で、基本的には自然に触れない人たちである。人間の相手ばかりしていると、せっかくの人生がすぐに潰れてしまいますよ。  自然に触れろと言われても、仕事があるからなあ。そう思う人に『アゲハ蝶の白地図』を薦めたい。著者は故人だが、建設会社に勤務しながら、蝶に関する優れた業績を上げた人である。なにしろインドネシアで乗っていた飛行機が着陸寸前に墜落し、炎上しているところを背にした本人の写真が載っていますわ。スゴイ人がいますよ、本当に。内容もその写真から想像がつくのではなかろうか。 『生物学者』は愉快な本が読みたい人にお薦め。著者は若い人が自分の真似なんかしたら、生物学者にはなれないと書いている。もちろんそんなものになる必要なんかない。  5冊目は『世界のクワガタムシ大図鑑』。図鑑の一つくらいは見てくださいね。
番外編
週刊朝日 8/8
「旅と冒険」本の魅力 作家・椎名誠
「旅と冒険」本の魅力 作家・椎名誠
冒険、探検に関する本の個人的ベスト100のリストをつくろうと準備していた折に今回の依頼がきて、タイミングがよかった。『さまよえる湖』(スヴェン・ヘディン)、『恐るべき空白』(アラン・ムーアヘッド)、『コン・ティキ号探検記』(トール・ヘイエルダール)がぼくのリストではベスト3になっているが、それぞれ古典名作なのでここではタイトルを挙げるだけにしておこう。  旅とはいえないが結果的に冒険になってしまい、どれも絶対に面白いジャンルに「漂流記もの」がある。ぼくはこのジャンルのコレクターで50冊ぐらい持っているがそのナンバー1は『大西洋漂流76日間』(スティーヴン・キャラハン=ハヤカワ・ノンフィクション文庫)である。  ライフラフト(救命筏)に乗って、手に入る僅かな道具、たとえばワリバシのようなもので六分儀を作ったり、太陽光を利用した蒸留式の海水=淡水化装置を作ったりと、その賢いサバイバル能力に感嘆、感動する。  ヨットによる探検ものでは『信じられない航海』(トリスタン・ジョーンズ=舵社)が痛快驚嘆話。海抜下1250フィートの死海から海抜12580フィートのチチカカ湖(高低差14000フィート)を自分のヨットひとつで行ってしまう、という話だ。海のドン・キホーテのようで本人だけが真剣。しかし読みだしたらやめられない。  次のグループも純粋な旅ではないが結果的に冒険、探検ものになってしまう「脱出記」も一度読んだらノンストップで最後のページまで突き進まずにいられない“危険本”群だ。  シベリアのラーゲリからマイナス40~50度の白い地獄を逃げる。『脱出記』(スラヴォミール・ラウイッツ=ヴィレッジブックス)はモンゴルからゴビ砂漠、そしてヒマラヤを越えてインドまで逃げる。『我が足を信じて』(ヨーゼフ・マルティン・バウアー=文芸社)も厳寒期、シベリア最東端の鉛鉱山の強制収容所から単独で脱走、3年以上かけて生まれ故郷のミュンヘンに着く感動の逃亡記。 『ラオスからの生還』(ディーター・デングラー=大日本絵画)はベトナム戦争の捕虜で脱走し、生還したただ一人の男といわれている。生きた蛇を含むあらゆるものを食って命をつなぎ奇跡的に生還する。  日本人のものでは『アタカマ高地探検記』(向一陽=中公新書)がめったに入り込めない世界一の乾燥地帯をいく苦難の探検記として出色。綺麗な湖の水を飲んでいたがどうもまずく偶然赤ワインを割ったら紫がかった青色に変化し、硫酸銅のまじった毒水であることがわかる、という恐ろしい顛末もある。 『アマゾン河』(神田錬蔵=中公新書)はアマゾン流域で現地の人を診ていた医師の記録だが、アナコンダが生きている馬を倒して丸く締めあげ、のみ込む場面がすさまじい。  ぼくはここに紹介した本の、いくつかの現場に行っているので、読んでいてその強烈な空気感がよくわかり、ひと一倍感動しているのかもしれないが、どれを読んでも「やめられない面白さ」ということは保証しておこう。
番外編
dot. 8/15
元記者が冒険というゲームに挑む
元記者が冒険というゲームに挑む
異色の冒険記である。フランス人ベルナール・オリヴィエがシルクロード踏破を思い立ったのは、年金生活に入ってのち、61歳のときである。トルコのイスタンブールから中国・西安まで12000キロ。そしてみごとに歩き通した。まさしく「ロング・マルシュ」、長い長い、ひとりぼっちの行進だった。  職業は新聞記者。先に妻を亡くしていた。子供たちは独立。定年を迎えてガックリきた。人生の終わり。さて、これから何をすればいい? そこで長大な徒歩旅行を思い立った。21世紀のマルコ・ポーロになる。無謀な思いつきだろうか? この記録が興味深いのは、二重のたのしみがあるからだ。一つは旅の途上に、つぎつぎと起こる珍しいこと。もう一つは報告者その人が一つの見ものであること。冒険家の冒険ではなく、まったくのアマチュアであって、まごつき、たじろぎ、途方にくれ、そのつど事柄に対処して、つぎの一歩に踏み出していく。  多少ともヘマずくめの冒険記だが、だからこそ冒険ということの本質が、あますところなく語られている。彼はまず慎重に準備した。シルクロードに乗り出す前に、ヨーロッパの古くからの巡礼道で足ならしをした。パリからスペイン北西部の聖地まで2300キロ。これを3カ月かけて、ひとりで、電話も持たずに歩いた。「自分と向き合いながら歩きとおす」のがどういうことか、当の自分に納得させるためだった。  「船を降りると、そこはアジアであり、私の旅のゼロ・キロメートル地点だ」  ジャーナリストの文体であって、テンポ、また歯切れがいい。旅行者の目とともに、つねに事件を追う記者の目がひそんでいる。ヨーロッパの巡礼道とちがって異文化の世界に入っており、人々の考え方、感じ方、行動パターンがちがう。田舎道ではまったく言葉が通じない。クルド人問題が内乱寸前まで高まっていたころで、いたるところで検問にあい、銃をつきつけられる。リュック一つでトボトボ歩いている初老の男は「正常」ではないのである。  長大な徒歩旅行は4年がかりの4期にわけて実行された。いずれも春に発って、3、4カ月。なるたけ酷暑を避ける行程をとった。電話、メールによって友人、知人、子供たちとの通信をたやさない。一日の歩行距離をきめていたが、体力、また足にたずねて変えてもいい。  聡明なフランス人は冒険というゲームをよく知っていた。そこでは企画が重要であり、体力や勇気といったことよりも、むしろ知能が要求される。どこまでも準備と工夫をして、運用にあたっても知能のかぎりをつくし、状況によっては自主的に取りやめ、予定を変更する──。その一方で、こころならずも車で運ばれたりすると、翌朝、逆方向の車に乗せてもらい、歩行を中断した地点にもどって歩き出さずにいられない。「私のシルクロードを一キロたりと歩きそこねたくないのだ」  自分の「偏執老人の帳簿づけ癖」に苦笑しながら、はればれと旅をつづけるには、この種のこだわりが欠かせないことも知っている。  どうしても必要と判断すれば緊急の援護を受けた。たとえ慎重な準備と、巧みな応用があろうとも、失敗すれば死をもって報いられるのが冒険というゲームなのだ。『ロング・マルシュ』は1年目、テヘランまでの旅のはずが、病気になり、目的地目前で中断した。そんな冒険記がよく読まれ、続巻がひきつづいた。それはフランス社会が冒険というゲームの価値をよく認めていることを示している。  日本のケースを考えてみよう。日本社会では冒険にも大義名分が要求され、成功すると称賛されるが、失敗すると口をきわめて批判される。日本人社会に特有のゲームに対するセンス、あるいはセンスのなさである。そのことも考えていいだろう。
番外編
dot. 8/15
〈書いたひと〉あの日、僕は旅に出た 蔵前仁一著
〈書いたひと〉あの日、僕は旅に出た 蔵前仁一著
80年代初頭からアジア、アフリカなど世界中を旅してきた。バックパッカーでその名を知らない者はない、というバックパッカーの教祖だ。旅にとりつかれたいきさつから、自ら設立した出版社・旅行人での格闘の日々まで、初めて語る自身の半生記である。  「これを書くのは乗り気じゃなかったんです。僕の半生記なんか読む人いるのかって。でも、面白い読み物にして、みんなが楽しんでくれればいいと思って」  旅の出発点は26歳のとき、気分転換のつもりで訪れたインド。あまりの不条理に、帰国してから頭の中はインドのことばかり。日常に現実感がなくなり、仕事が手につかなくなった。  「世界はちがうリアリティを持っている。それを見に行って自分のリアリティとして獲得しないと、やっていけないと思った」  仕事を辞め、一年旅行に出て、帰国して一年働きまた旅行、という生活に突入。知らない場所に行ってさまざまなことを知る、帰ると本を書くためさらに調べる。  「旅行は僕の学習の過程なんです」  ちゃんと仕事しろ、とよく説教もされた。  「親も心配しただろうけど、僕は親の言うことは聞かないからね」  子供の頃の蔵前さんは、親の言うことをきちんと聞く優等生。中学、高校、大学と、学校はすべて親が決め、そのとおり進んだ。鹿児島という土地柄からか、年配の人の言うことは絶対。父親はとても怖い存在だった。  「でも言うこと聞いたのは大学まで。稼げるようになれば聞かないですよ。そうやって巣立つもんでしょ」  本書には、旅先の地図を描きまくる地図オタクや4コマ漫画家など、ひと癖もふた癖もある旅行者が登場する。長期の旅をあきらめてまで出版社を始めた理由が、彼らとの出会いだった。  「彼らの本は絶対面白いんだけど、他社はまず出さない。じゃ自分が出そうと」  旅行人からは多くの旅行作家が旅立っていったが、911テロや感染症の世界的流行以降、旅行書の売り上げはガタ落ち。会社を縮小し、2年前、やむなく雑誌「旅行人」を休刊した。  今したいことは「もちろん旅行」。行き先は旧ユーゴスラビア。なぜ旧ユーゴ?  「そりゃ行ったことないからですよ」  蔵前さんの目がキラーンと光った。
番外編
dot. 8/15
角幡唯介が選ぶ旅と冒険本ベスト5
角幡唯介が選ぶ旅と冒険本ベスト5
実際に冒険をして本を書いている私には、絶対にかなわないタイプの本がある。いわゆる遭難モノだ。冒険本のどこが面白いかというと、遭難して死にそうになって奇跡的に生還したところが一番面白い。生死の境という非日常の極致に片足を突っ込んで帰ってきているのだから、面白くないわけがない。  しかし奇跡の生還は狙ってできるわけではない。だからこっちがどんなに頑張って探検や冒険をして本を書いても、面白さという点ではかなわないところがあるのだ。  ここで紹介するのはいずれも私がかなわないと白旗をあげた遭難モノである。『死のクレバス』は、アンデス山脈の氷壁に挑んだ二人の英国人登山家に起きた悲劇を描いたもの。圧巻は著者のシンプソンが、パートナーに見捨てられてクレバスに落ちてから先のくだり。窮鼠猫を咬むじゃないが、生きるために彼がくだしたほとんどヤケクソの決断に、度肝を抜かれた記憶がある。 『大西洋漂流76日間』はヨットが沈没し救命イカダで長期間漂流した船乗りの記録だ。この著者がすごいのは、どんな状況に陥ってもあきらめない精神力と、海に対する知識と洞察力、そして技術である。ありあわせの道具で穴の開いたイカダを修理し、海水を蒸留する装置をこしらえ、天測道具を作って漂流航路を決めて生還した。76日間の人間の苦悩を堪能できる。 『凍える海』は20世紀初頭にロシアの北極探検隊に起きたサバイバルの話である。船が北極海の浮き氷に囲まれて動かせなくなり、著者をリーダーとする隊員たちは限られた食糧と燃料を橇(そり)に積み込み、絶望的な脱出行に乗り出す。11人のうち生還したのはわずかに二人。途中で仲間の裏切りもあって、極限状況における人間性の問題がこの本の奥行きを深くさせている。
番外編
dot. 8/7
たかのてるこが選ぶ旅と冒険本ベスト5
たかのてるこが選ぶ旅と冒険本ベスト5
「大人になったら、世界中を自由に旅してみたい!」  子どもの頃、学校と家の往復という狭い世界が息苦しかった私は“旅人”に憧れ、会社勤めの傍ら、海外を旅するようになった。  ダライ・ラマの自伝『チベットわが祖国』を読み、神秘的な世界に心惹かれると、一路チベット文化圏へ。ダライ・ラマは世襲ではなく、仏教の根底にある輪廻転生で本人が「生まれ変わる」とされているのだ。旅先で前世を覚えている少女と出会う等、不思議な体験を経て、憧れのダライ・ラマとも謁見(えっけん)でき、私は旅行記を出版することもできた。  そんな風に会社員と作家を両立させつつも私は自分自身でいるのが苦しかった。大好きな旅に出られるのは数年に1度。私の心が最も喜ぶ「旅」が、会社員としては最もダメな欠点だと思えるのが何より辛かった。  人生に悩んだ私は、“旅の民”ジプシー(ロマ)に会いにルーマニアへ。ド派手な衣装を着て、自由で自信に溢れたジプシーと過ごすうち、「直そうと思っても直せないモノ、それが自分の個性なんだ!」とようやく腹をくくることができた。  18年勤めた会社を退社した私は、子どもの頃から憧れていた“旅人”になった。手前ミソだが、拙著『ジプシーにようこそ! 旅バカOL、会社卒業を決めた旅』に最も影響を受けた読者は私自身だったのだ。  世界1千万部の大ベストセラー『アルケミスト』は羊飼いの少年が宝探しに旅立つ寓話的な物語。「おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだ」等、今だからこそ心に染みる言葉の数々!  誰だって自分の心が喜ぶことがしたい。何かをするときは、いつでもそこからスタートしたい。でも、私はずっと、楽しんじゃいけないと思い込んでいたのだ。  手遅れになる前に、この本と出会えてよかった。自分を好きになれないまま、死ななくてよかった。旅本の魅力は「知らなかった世界」を知り、「行動できる自分」になることなのだ。
番外編
dot. 8/7
この話題を考える
大谷翔平 その先へ

大谷翔平 その先へ

米プロスポーツ史上最高額での契約でロサンゼルス・ドジャースへ入団。米野球界初となるホームラン50本、50盗塁の「50-50」達成。そしてワールドシリーズ優勝。今季まさに頂点を極めた大谷翔平が次に見据えるものは――。AERAとAERAdot.はAERA増刊「大谷翔平2024完全版 ワールドシリーズ頂点への道」[特別報道記録集](11月7日発売)やAERA 2024年11月18日号(11月11日発売)で大谷翔平を特集しています。

大谷翔平2024
アメリカ大統領選挙2024

アメリカ大統領選挙2024

共和党のトランプ前大統領(78)と民主党のハリス副大統領(60)が激突した米大統領選。現地時間11月5日に投開票が行われ、トランプ氏が勝利宣言した。2024年夏の「確トラ」ムードからハリス氏の登場など、これまでの大統領選の動きを振り返り、今後アメリカはどこへゆくのか、日本、世界はどうなっていくのかを特集します。

米大統領選2024
本にひたる

本にひたる

暑かった夏が過ぎ、ようやく涼しくなってきました。木々が色づき深まる秋。本を手にしたくなる季節の到来です。AERA11月11日号は、読書好きの著名人がおすすめする「この秋読みたい本」を一挙に紹介するほか、ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガンさんら「海を渡る女性作家たち」を追った記事、本のタイトルをめぐる物語まで“読書の秋#にぴったりな企画が盛りだくさんな1冊です。

自分を創る本
高野秀行が選ぶ旅と冒険本ベスト5
高野秀行が選ぶ旅と冒険本ベスト5
私が理想とする旅行記は「物語が面白く、文章が上手で、ユーモアがある」というものだが、日本のものでも外国物でもめったにこの条件を満たす本には出会えない。  今まで読んだ中で最も理想的な旅行記は『どくろ杯』だ。昭和初期、不倫する妻を愛人から引き離すというそれだけの理由で、一文無しの詩人は無理やり海外へ旅に出る。破天荒な旅、愉快な登場人物、魅力的な町や港の描写、そして誰にも真似できない、飄々(ひょうひょう)としていながら繊細で艶っぽい文章。  私は初めてこの本を読み終わったあと、著者がすでに世を去っているというのが信じられなかった。親しい人が急に亡くなったときのお通夜にいるかのような気持ちになった。それくらい文章が生命に満ちあふれているのだ。そんな感想を抱いた本は旅行記以外でもない。この本だけだ。  ここでは上海を出たところで物語は終わっているが、その後旅はフランス、ベルギー、マレーシア、インドネシアと展開し、足かけ7年を費やす大放浪となる。それを描いた続篇『ねむれ巴里』『西ひがし』は『どくろ杯』に勝るとも劣らない至高の作品だ。  さて海外物では、今やSFコメディの古典『銀河ヒッチハイク・ガイド』の著者として知られるアダムスが世界中の絶滅危惧動物を訪ねて歩いた『これが見納め』と、これまたSF文学の古典『1984』を書いたオーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』が最高に面白い。  アダムスは人間と動物のいびつな関係を文明論に仕立て、オーウェルは人が自由に生きて無残に野垂れ死ぬパリと生き甲斐の見えないロンドンの福祉を実際に体験して比べている。二冊とも楽しく笑えて、かつ鋭くて深いルポ紀行である。
番外編
dot. 8/7
ドリアン助川が選ぶ旅と冒険本ベスト5
ドリアン助川が選ぶ旅と冒険本ベスト5
社会は幻想の本体として明滅を繰り返している。誰もが似たようなもので、明日恋をするかもしれないし、銀河の果てまで飛ばされているかもしれない。あるいは昨今漂い始めた匂いを嫌い、この土地から出て行くことを自ら選ぶか。与えられた属性を疑えば、否応無く冒険はやってくる。希求する者の本質的行為、それが旅だ。  米国籍をとるために志願兵となり、ベトナムに散った沖縄の青年。『戦場カメラマン』には、ジャングルに消えた呻吟のひとつとして、ここではないどこかへ旅立とうとしたその声と表情が収められている。著者の石川文洋も沖縄の出身。世界を歩こうと写真を始め、運命転じて生死を撮り続けるカメラマンになった。だが戦場という旅路は、手にしたものが銃であれカメラであれ、過酷を極める。何度読んでも心が火傷する。  自分は本来どこに立つべきなのか。居場所の無さを実感すれば、人は旅に出るしかない。少年時代をアフリカで過ごしたル・クレジオは、本国フランスに戻ってもその場所を見つけられず、中米のインディオと生活をともにする。『偶然~帆船アザールの冒険』は、彼のその視野がなければ紡ぎ得なかった、はずれてしまった者たちに捧げる彷徨と優しさの物語だ。陸地にはもはや安息の場所がない老人と少女。二人が大洋へ乗り出す時、海は夜光虫の煌めきをもって祝福する。  場所を探し求めるための旅路には、生きるための言葉と、時を経て内側に種をつける言葉の双方が必要だ。『コロンブスの犬』は、著者の管啓次郎が20代の頃、奨学金を得てブラジルに滞在した日々の詩的エッセイ集。ポルトガル語を学びながら、根を張ってしまった日本語と格闘する姿は、旅と言語の関係についてむしろ示唆に富んでいる。
番外編
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編集部が選んだ本 冒険編
編集部が選んだ本 冒険編
近刊書の中から編集部が「旅編」と「冒険編」に分けて、おすすめの本を選んでみた。  「冒険編」では、探検家や登山家たちの手記を中心に選んでみた。  今年5月、80歳で3度目のエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎と豪太親子の『冒険の遺伝子は天頂(いただき)へ』(祥伝社)は、過去5年の準備期間の記録が中心だ。高齢になっても衰えないチャレンジ精神を読み取ってほしい。日本人で初めて8千メートル峰全14座の登頂を成し遂げた登山家・竹内洋岳の『標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学』(NHK出版新書)は高所登山の魅力にあふれている。何度も死の危険に見舞われながらも、経験と知識と想像力によって切り抜ける著者の姿に胸を打たれる。  出版は2011年になるが、写真家・石川直樹の『For Everest ちょっと世界のてっぺんまで』(リトルモア)は、10年ぶり2度目のエベレスト登頂と、その直前の半年間の手記だ。現地での食生活や山の現実が描かれ、著者とともに山に挑んでいる気になる。探検家・高橋大輔の『命を救った道具たち』(アスペクト)は、ロシアのアムール川で、サハラ砂漠で、絶体絶命の事態を打開してくれた道具を通じて探検の奥深さを語る。  海外の作品では、ペルーの都市遺跡の歴史に迫る『マチュピチュ探検記 天空都市の謎を解く』(マーク・アダムス、青土社)が面白い。映画「インディ・ジョーンズ」シリーズのモデルでもある第一発見者の足跡をたどり、数々の疑問を解いていく。  今年4月に病気で死去した加藤則芳の『ロングトレイルを歩く 自然がぼくの学校だった』(PHP研究所)は、何日もかけて山野を歩くことの魅力を説く。自然の中を歩く旅だからこそ、見えてくるものが、ここにはある。
番外編
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編集部が選んだ本 旅編
編集部が選んだ本 旅編
近刊書の中から編集部が「旅編」と「冒険編」に分けて、おすすめの本を選んでみた。  「旅編」では、旅をめぐるエッセーや旅行記を紹介する。エッセーでは、旅好きの直木賞作家・角田光代の『世界中で迷子になって』(小学館)が面白い。ニューヨークや香港、タイなどの街角での見聞が軽快につづられている。文学や芸術の香りが濃厚に漂う伊集院静の『旅だから出逢えた言葉』(小学館)もいい。ヘミングウェイやレオナルド・ダ・ヴィンチら著名人の言葉や、旅先で出会った人々の一言から旅想が広がる。  写真と短い文章が並ぶ沢木耕太郎のフォトエッセー『旅の窓』(幻冬舎)は、旅の思い出を鮮やかに切り取っている。著者の心情が投影された写真を見ていると、すぐにでも旅に出てみたくなる。  長期休暇がなかなか取れない人には、短期の海外個人旅行をすすめる吉田友和の『3日もあれば海外旅行』(光文社新書)が役立つ。航空券の買い方やホテルの選び方など実用的な情報が詰まっている。自転車で世界各地を回ってきた石田ゆうすけの最新作『地図を破って行ってやれ!』(幻冬舎)は、日本国内を回る旅で出会った人々や食への考察が楽しい。  異色なところでは、1986年に起きた原発事故の跡地を回る『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β  vol.4-1』(ゲンロン)がある。ルポやインタビューのほか、人類の負の遺産を回る観光の意義を解説する。  一人で海外旅行をすることの効用を説く『僕らが世界に出る理由』(石井光太、ちくまプリマー新書)もすすめたい。世界に飛び出して、学び、現実を直視することの大切さを訴えている。
番外編
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