
「踊り場」日本論
売れっ子コラムニストの小田嶋隆と、デモクラシーについての著作を数多く出してきた政治学者・岡田憲治が対談した。昭和30年代生まれの二人が語らったテーマは、現代日本論だ。彼らが生きてきた戦後日本社会のありようを見つめ、日本の未来を探る。 章立ては「選挙」「『取り戻したい日本』とは」「これからの社会のありかた」「東京」と具体的だ。だが、対話はいろんな方面に寄り道する。自民党や民主党の政治家を俎上にのせ、家族や教育に話が及んだかと思えば、オリンピックの意義を語り合う。 二人とも現実をよく見た上で発言するスタンスこそ同じだが、小田嶋はより直観的に考えを言い、岡田は学問に裏付けられた知識によって、小田嶋の考えをひもとく。対話が深まるにつれ、戦後日本を覆ってきた空気や、それを支えてきた「自民党的なもの」の姿がさまざまな角度から照射される。本書を読み終えたとき、「日本」の輪郭が少し見える気がする。 二人の知見は書き言葉でしか知らなかったが、話し言葉によってもさらなる知見を得られる一冊だ。