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ガンで余命宣告を受けた35歳の父が、2歳の息子に伝えたい大切なこと
ガンで余命宣告を受けた35歳の父が、2歳の息子に伝えたい大切なこと 私たちが親になったときに誰もが思うこと。それは「子どものために自分は何ができるだろうか?」ということではないでしょうか。そして、もし自分の命がこの先長くないとわかっていたなら、限られた時間の中で何を残すことができるのかと、さらにその気持ちは強まることでしょう。  『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる』は、35歳にしてガン(多発性骨髄腫)で余命3年という宣告を受けた写真家・狩猟家の幡野広志さんが、2歳になった息子さんのために伝え残したいことを書いた一冊です。  ガンの宣告を受けてから、息子に残したいものは何だろうと考えたという幡野さん。それはお金などではなく「言葉」だということに気づきます。「息子自身の役に立つ言葉を残してあげたい。息子が成長していくうえでの、地図のような、コンパスのようなもの。いろいろと迷ったとき、『自分の父親だったらどう解決していたのかな?』と振り返ることができるものを残したいと思った」と記しています。  親であれば、子どもに伝えたいことなんて山ほどある。幡野さんは本書で「優しさについて、僕が息子に伝えたいこと」「孤独と友達について、息子に学んでほしいこと」「夢とお金について、息子に教えておきたいこと」「生と死について、いつか息子と話したいこと」という4つの章にわけて、自分の考えを伝えています。  中でも「優しさ」は幡野さんにとっては、第1章と最初のテーマに持ってくるほどとくに大切に感じているもののよう。優しい人が好きだから優しい人と結婚したという幡野さんは、息子さんにも「優」という名前をつけたといいます。そこには息子への願いが込められていると同時に、「僕たちは、優しい人になります」という幡野さんと奥さんが親になるための誓いでもあったのだとか。人に優しい人間になってもらいたいなら、まずは自分が人に優しくしなくてはいけない。当たり前のことでありながら、言われてみるとハッとさせられるものがありませんか? こうした幡野さんの優しい視点、まなざしはこの一冊を通して満ちあふれています。  このように、本書は「父親が自分の息子に宛てて書く」というとてもパーソナルな内容でありながら、それでいて誰にでも通じる普遍性も併せ持っています。幡野さんが息子に伝えたいこと、自身の状況についてなどブログに書き始め、取材なども受けるようになってから、ツイッターでは見知らぬ多くの人から悩み相談が届くようになったといいます。それに答えることで、息子さんが将来ぶつかる「困りごと」の手がかりが見つかるかもしれないと思い、息子さんに答えるつもりで正直に答えたと幡野さんは言います。そして逆に、「息子のための言葉が、悩みを抱える人にも役立ってくれたらうれしい」と。  だから、本書は息子宛てではあるけれど、多くの悩める人が読んでもたくさんの気づきを得られるものになっているのだと思います。幡野さんのメッセージが詰まった手紙のような一冊。親であること、生と死、優しさ、仕事......皆さんも幡野さんの「言葉」を通して自身を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
劣等感や嫉妬を燃料に変えてお笑い界を爆走してきた山ちゃんの自伝エッセイ
劣等感や嫉妬を燃料に変えてお笑い界を爆走してきた山ちゃんの自伝エッセイ 今やテレビで見ない日はないと言ってもよい、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さん。皆さんは彼に対してどんなイメージを持っていますか? 陰湿そう、姑息、毒舌、キモい、アイドルオタク......いろいろあるかとは思いますが、彼の漫才やテレビ番組でのコメントを見るに、そのボキャブラリーの豊富さについては誰もが満場一致で認めるところではないでしょうか。  あの返しのキレや語彙力は生まれもっての天賦の才に思えますが、けっしてそうではないと本人はいいます。「自分は天才じゃない」と悟った日からの自身のこれまでをさらけ出して記した自伝エッセイが本書『天才はあきらめた』です。  テレビでの姿からもちょいちょいわかることですが、山里さんは自身の負の感情を見せることを厭いません。というわけで、本書でもこれでもかというほど彼のダークな部分が出てきます。  NCS(吉本総合芸能学院)時代に同期のキングコングに感じた圧倒的な敗北感、元相方ふたりに対する理不尽で横暴すぎる言動、他の芸人や業界関係者に対する復讐の言葉を綴った地獄ノート、南海キャンディーズとして人気が出た後のしずちゃんに対する嫉妬や不仲......これらはすべて本書の中で赤裸々に書かれていること。  けれど、こうした部分は誰もが多かれ少なかれ、心の奥底に持っている感情ではないでしょうか。そして、世の中の人々の99.9%は天才ではないという現実。その中で、どうやって私たちは劣等感や挫折感と向き合い、夢を叶えるためのエネルギーへと変えていけばよいのか。本書で山里さんは「天才はあきらめた。だけどその瞬間、醜い感情は一気に自分の味方になった。その感情を燃料に変換させるワザを使うことで、努力というしんどい行動が簡単にできるようになったから」と記しています。本書は自伝エッセイであるいっぽうで、負の感情を燃料へと変える方法を山里さんの生き方を通して教えてくれる実用書でもあるのです。  ......とはいえ、それでもやはり山里さんは天才だという思いが読み終えた後に強く残ります。それは「努力の天才」。「天才はあきらめた」と言って見せつつも、彼がこれまでやってきたことは凡人には到底できないような狂気とも思えるほどの努力。好きなことに対して死ぬほどの努力ができること、そしてそれが結果として身を結ぶこともまた天才の天才たる所以といえるのでは。  2018年7月の発売以来、約2か月で発行部数10万部を突破したという本書。大ヒットの理由は文筆業もこなせる山里さんのマルチな才能があげられますが、その陰には自身でさまざまな書店に飛び込みをして2000冊以上のサインを書いたという地道な営業活動があるのも事実。これを見てもやはり、努力肌の天才の片鱗がうかがえはしないでしょうか。
滝本竜彦さんの『NHKにようこそ!』は、自分に「刺さりまくった」一冊------アノヒトの読書遍歴:コヤマヒデカズさん(後編)
滝本竜彦さんの『NHKにようこそ!』は、自分に「刺さりまくった」一冊------アノヒトの読書遍歴:コヤマヒデカズさん(後編) ロックバンド「CIVILIAN」でボーカル&ギターを担当するコヤマヒデカズさん。すべて楽曲の作詞・作曲をコヤマさんが手掛けているのですが、実はこれまでに読んだ多くの作品の言葉の使い方や例え方が、歌詞作りにも少からず活かされているといいます。そんなコヤマさんに、前回に引き続いて日頃の読書生活についてお話を伺いました。
乙一さんの『しあわせは子猫のかたち(失われる物語)』は何度も読み返す一冊------アノヒトの読書遍歴:コヤマヒデカズさん(前編)
乙一さんの『しあわせは子猫のかたち(失われる物語)』は何度も読み返す一冊------アノヒトの読書遍歴:コヤマヒデカズさん(前編) ロックバンド「CIVILIAN」のボーカル&ギターとして活動するコヤマヒデカズさん。制作する楽曲のすべての作詞、作曲を手掛けます。かつて、専門学校の同級生だった純市さん、有田清幸さんらスリーピースバンドを結成し、2008年から活動を開始。インディーズにして絶大な人気を誇る中、2016年7月にバンド名を現在のCIVILIANに改め、2016年12月発売のシングル「愛/憎」でメジャーデビューを果たしました。今年8月には5thシングル「何度でも」をリリースしたばかりで、今もなお精力的に音楽活動を続けるコヤマさん。今回はそんなコヤマさんに、日頃の読書生活についてお話を伺いました。
これまでに99.9%の種が絶滅!? 生物たちの「絶滅理由」がいろいろありすぎる!
これまでに99.9%の種が絶滅!? 生物たちの「絶滅理由」がいろいろありすぎる! 地球にはじめて生命が生まれたのは、およそ40億年前。たったひとつの細胞が海の中で偶然生まれたのが、すべての「命」の始まりだったと言われています。けれど、始まりがあれば、必ず終わりもある。命の終わりは「死」であり、その種類の生き物ごとこの世から姿を消すことが「絶滅」です。  これまでに、地球上には強い生き物も賢い生き物もたくさん存在していたといいます。けれど驚くべきことに、その99.9%の種が絶滅しているのだとか。  では、どうして彼らは滅びたのでしょうか? それぞれの理由を知るべく、絶滅した生き物たちに直接、滅びた理由を聞いてみた(というスタイルの)一冊が『わけあって絶滅しました。』です。  読んでみると、一つとして同じ理由のないバラエティに富んだ絶滅原因にはビックリするやら笑ってしまうやら。生き物が絶滅する理由は「1、地球のせい」「2、ほかの生き物のせい」というふたつに分けることができ、圧倒的に多いのは「1、地球のせい」だそうですが、本書にもそうした生き物たちがたくさん出てきます。  たとえば、1844年ごろに絶滅したというオオウミガラス。海にもぐって魚をつかまえていた飛べない鳥だそうですが、人間に簡単に狩られることから北へ北へと逃げ、彼らが最後にたどりついたのはアイスランド島の近くにある島でした。しばらくは平和に暮らしていましたが、近くの海底火山がとつぜん噴火。大地震が起き、島ごと海に沈んでしまったのだとか......。なんという絶滅理由! 「ペンギンのように最初から人の少ない場所に住むべきでした」なんて後悔の弁を述べていますが、そうすれば今ごろは見た目も似ているペンギンのようにみんなの人気者になれていたかもしれません。  また、ワニのようなビジュアルをした「スピノサウルス」。白亜紀中期に絶滅したそうですが、彼らの絶滅原因は「川から出られなくて」。スピノサウルスは最大クラスの肉食恐竜だそうですが、陸上を歩くのは苦手。川や湖で暮らしていたけれど、数が増えたり獲物が少なくなったりしても陸上を歩いて他の川に移動することがむずかしく、そのまま滅びてしまったといいます。体が大きくて強ければいいって問題でもないんですね。  こうして見てみると、彼らが滅びた理由や事情は本当にさまざま! 生き残るのはたいへんなことで、むしろ私たちをふくめ今存在している生き物は奇跡とすら思えます。  けれど、絶滅はどんな生き物にも平等におとずれるものだと本書には書かれています。それに立ち向かうための「武器」として挙げられているのは「学んで考えること」。「いろんな生き物が絶滅したわけを知っておけば、これからの地球で生き残っていく方法を思いつくかもしれません」と説明されています。  実際、今も絶滅が心配されている危惧種は世界中にいます。私たち人間ですらこの先絶滅しない保証はないわけで......。この本をきっかけに、生き物やこの世界のことについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。大人が興味を持てるのはもちろんのこと、漢字にはすべてルビが振られているので、小学生ぐらいの子どもも楽しんで読めそうです。
引きこもりにおたくの偉人!? 日本史のちょっとヤバい(?)裏話
引きこもりにおたくの偉人!? 日本史のちょっとヤバい(?)裏話 「歴史」と聞くと、少し難しそうなイメージを持ってしまいませんか? 易しく、楽しく学べる方法があれば、と思う人も多いでしょう。本郷和人氏著による『東大教授が教える やばい日本史』では、キャッチ-なイラストとともに楽しく日本史について知ることができます。  まずは第1章「ゆかいなとりまきと天皇の時代」。日本初の女性国王である卑弥呼が紹介されています。本書では「クラスのみんなが学級委員長の座をねらってケンカをしているなか、ぬけがけして教育委員会にワイロを送り、一気に校長先生になったようなもの」と、「学校」を例に例えています。実際の卑弥呼は、学校どころか国のトップにまで登り詰めた"やり手"な一面があったようです。  さらに驚くのは卑弥呼が実は引きこもりだったということ。宮殿では人々を導く占いに明け暮れ、その伝達や食事の世話はすべて弟がしていたとか。人前に姿を見せなかった女王ですが、民衆は占いの力を信じていたため統率はとれていたそうです。  次に紹介するのは、本書第3章に登場する千利休です。なんの変哲もない竹や粗末な茶碗をあえて使う茶道を発展させ、「わび茶」を完成させました。そのスタイルがおしゃれだと、織田信長をはじめとする武将のあいだで人気となります。  織田信長の弟・有楽斎(織田長益)も千利休に弟子入り。あるとき有楽斎が千利休とそっくりの茶入れとフタを用意します。しかしそれは、千利休がわざと「ダサい」と思って用意したものでした。本書によると、千利休はそのまま真似をした有楽斎にバッサリと「その茶入れには新しいフタのほうが合うと思いますが......?」と言い放ったとか。美意識が高すぎてちょっと意地悪な一面があったようです。  最後は本書第4章から松尾芭蕉を紹介します。江戸(東京)から尾張(愛知)までを旅しながらたくさんの俳句を詠んだ、日本を代表する歌人です。源氏の武将が好きで、「夏草や 兵(つわもの)共が 夢の跡」という有名な句も源氏のことを詠んでいます。  本書によると、その源氏好きは「おたく」レベルで、俳句を詠む旅の途中に聖地巡礼を組み込むほどだったとか。特に源義仲が一番の「推しメン」だった芭蕉は、死ぬ前に「わしを義仲の墓の隣に埋めてくれ!」と頼んだそう。その願いは叶えられ、おたく冥利に尽きる最期を迎えました。  このように、本書ではわかりやすい日本史の解説とともに、面白いエピソードもあわせて紹介されています。これから日本史を学ぶ子どもにも、復習をしたい大人にも、優しい1冊です。歴史に残した偉人たちの人間らしい一面がわかり面白いですが、歴史上の人物たちは実は「やばい」人ばかり(?)だったのかもしれません。

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打倒ワンオペ育児! ブラック育児を回避するためのヒント満載コミックエッセイ
打倒ワンオペ育児! ブラック育児を回避するためのヒント満載コミックエッセイ 新著『目指せ!夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』が各所で話題となっているイラストレーター・漫画家の水谷さるころさん。  フリーランスの映像ディレクターの夫とはお互いにバツイチ再婚同士で、事実婚。不妊治療を経て妊娠し、陣痛30時間からの緊急帝王切開で長男を出産。怒濤の妊娠・出産・育児の日々を読みやすいコミックエッセイで描いています。  水谷さんの1度目の結婚(法律婚)は30歳の時。仕事も家事も完璧に両立しなければと1人で抱え込んだ結果、疲弊し離婚。その後、36歳で再婚(事実婚)に至るまでの一部始終は、前著『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎刊)に詳しく描かれています。  最初の結婚での失敗から、水谷さんが身をもって学んだのが「抱え込まず人に頼ろう」(本書より)ということ。さらに家事育児のタスクを各自分担することよりも、夫婦一緒に「今、子どもがどういう状況か」を把握し、家庭内の困り感を共有(シェア)することが大切だということに気付いたと言います。  2016年「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に選ばれた「保育園落ちた日本死ね」という言葉に象徴されるように、子どもを保育園に入園させるために行う「保活」の大変さは広く知られるようになりましたが、水谷さんも自身も保活経験を振り返り、以下のように述べています。  「こんなに『努力が報われるかどうかわからない』体験は、社会人になってから初めてでした。受験なら、自分が頑張って勉強した結果ですが、保活はそういうものでもないですし、判定基準も正直はっきりわからない。(中略)『フリーランス』というハンデ有りで『激戦区』の中で熾烈な保活競争をやった身としては『もうちょっと楽になるように、どうにかしてほしい~!』と思わずにはいられません」(本書より)  保活以外にも、産後育児のハードさから夫婦関係に亀裂が生じる「産後クライシス」。夫の長時間勤務などの事情から、妻1人の肩に家事と育児がのしかかる「ワンオペ育児」などの言葉がメディアを賑わせる昨今、子育て中の女性を取り巻く環境は、お世辞にも恵まれているとは言えません。  日々のワンオペ育児で燃え尽きてしまう前に、夫婦2人で家事育児をシェアするためのヒントが盛りだくさんの本書を、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
若き経営者たち10人へのインタビューから見える、賢い子供の導き方
若き経営者たち10人へのインタビューから見える、賢い子供の導き方 その年のトレンドワードを決める「ユーキャン新語・流行語大賞」で「イクメン」がトップ10入りをしたのは8年前、2010年のこと。そのころは、"子育てをする男性"というとある種の特別感があったことは否めず、そのために少数派である「イクメン」が世間の脚光を浴びたという側面もありました。女性の中には「わざわざイクメンをアピールしなくても。女性は何も言わずに淡々と子育てをしているのに」なんて気持ちを抱いた人もいるかもしれません。  けれどここ数年、その風向きは変わってきているといってよいかもしれません。ごく自然に、普通の日常として子育てをする男性。しかも、仕事か子育てのどちらかを選ぶではなく、仕事に全力で取り組みながらも子育てにも真剣に向き合う。そんな姿をたくさん見られるようになってきたのではないでしょうか。  本書の著者、宮本恵理子さんは1978年生まれのノンフィクションライター。主に働き方や生き方、家族をテーマにした執筆活動をおこなっているそうですが、過去に取材を通じてつながった若い世代の男性経営者たちがSNSに投稿する写真を見ていてあることに気づいたそう。そこには家族のごく普通の日常風景があふれており、けっしてイクメンアピールをするではなく、子育てを人生の一部として自然体で楽しんでいる彼らの姿があったといいます。  そこで、次世代を担う若きリーダーやプロフェッショナルたちは、子育てにどのように関わり、どのような"人育て"に挑戦しようとしているのかに、非常に興味を感じた宮本さん。40代以下の世代の男性経営者10名にインタビューをおこない、それをまとめたものとして上梓したのが、本書『子育て経営学 気鋭のビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか』となります。  学校選びは? お小遣いのルールは? 夫婦の協力体制は? 将来の職業選択にどのようなアドバイスをする? こうした質問と回答を通じて、読む側の皆さんも多くの気づきを得ることができるでしょう。  登場するのは、早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄さん、ソラコム社長・玉川憲さん、建築デザイン事務所noiz代表・豊田啓介さん、ガイア社長・中桐啓貴さんなど。ここで印象的な箇所をいくつかご紹介すると......。  たとえば、パパ友とLINEグループを作っているというのはスペースマーケット社長の重松大輔さん。雨の日には「クルマで保育園まで送るけど、誰か一緒に乗っけようか?」なんてやりとりをしたりするのだとか。会社の事業としてはレンタルスペースや貸し会議室といった空間のシェアリングを提供している重松さんですが、私生活では「子育て」のシェアリングを実践中といえそう。また、実際の商売についてもできるだけ早い段階で子どもたちに経験させたいことから、フリマアプリ「メルカリ」を利用して家の中の不用品を売ってみるといったことも考えているといいます。  個人向けマイホームアプリ「knot(ノット)」の開発などに携わるSOUSEI社長の乃村一政さんは、高校卒業後、吉本興業で芸人活動をしていたという異色の経歴の持ち主。現在は8人の子どもがいる大家族パパでもあり、「子育ても事業もエンターテインメント」が持論です。家庭でも笑いを通じて子どもたちとオープンにコミュニケーションできる関係を築くことを大事にしているそうですが、それは事業の成長においても同じ。驚きや感動をもって「いかに目の前の人を笑わせるか」を常に考えていると話しています。  彼らのインタビューを通じて感じるのは、本書のタイトルにもあるとおり「子育てと経営は一緒」ということ。「一緒」は言い過ぎかもしれませんが、共通点は多いのかも。著者の宮本さんは「経営をするように子育てをして、子育てをするように経営する彼らの姿に、私はとても大きな希望を持った」と本書で書いています。  もちろん、彼らの子育て実践法は「経営者だからできる」という面もあるでしょう。けれど、共働きの妻と連携して子どもたちの育児に奮闘し、問題が起きたら前向きに課題解決しようとする姿は普通の会社員と変わらないことがわかります。こうした若い世代の人たちが増えていけば、日本の未来も私たちが杞憂するよりもずっと明るいものになるはず。人生において男性が子育てにかかわることの豊かさを、皆さんもぜひこの一冊から受け取ってみてください。
与謝野晶子著『きんぎょのおつかい』から得た意外性は絵本作りのヒントになる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(後編)
与謝野晶子著『きんぎょのおつかい』から得た意外性は絵本作りのヒントになる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(後編) 女優、エッセイストとして活動する室井滋さん。今年7月には、てぬぐいあそび絵本『ピトトトトンよ〜』(世界文化社)を上梓し、9月には絵本『すきま地蔵』(白泉社)の新刊絵本を発刊する予定です。室井さんは、学生時代は村上春樹作品をよく読んでいたそうで、最近で印象に残った作品は、和田誠さんの著書『ねこのシジミ』だといいます。そんな室井さんに前回に引き続いて日頃の読書の生活についてお伺いしました。
学生時代は村上春樹作品を愛読し、映画にも出演しご縁を感じる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(前編)
学生時代は村上春樹作品を愛読し、映画にも出演しご縁を感じる------アノヒトの読書遍歴:室井滋さん(前編) 女優としてドラマや映画、CMなどで幅広く活躍を続け、エッセイストしても活動している室井滋さん。これまで、映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」「OUT」「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」などで数多くの映画賞を受賞。2012年日本喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞しました。執筆者としては、近刊に『おばさんの金棒』(毎日新聞出版) 、絵本『しげちゃん』シリーズなど著書を多数出版。絵本『いとしの毛玉ちゃん』(金の星社)に連動したCD「8つの宝箱〜いとしの毛玉ちゃん〜」(日本コロムビア)を同時発売し、文春文庫の著書10作品や、マガジンハウスより著書『ドレスよりハウス』『マーキングブルース』が電子書籍にもなりました。今年7月にはてぬぐいあそび絵本『ピトトトトンよ〜』(世界文化社)を上梓し、9月には絵本『すきま地蔵』(白泉社)の新刊絵本を発刊する予定といいます。今回はそんな室井さんに、日頃の読書生活について伺いました。

特集special feature

    まさかの"年収1億円あるある" お金持ちは「キャバクラでリクルートする」?
    まさかの"年収1億円あるある" お金持ちは「キャバクラでリクルートする」? 年収をもっとアップさせたい......というのは、誰しも一度は考えたことがあるのでは。そのためには転職や独立、投資にチャレンジしてみるなど様々な方法がありますが、まずは"形"から入ってみるのもひとつの手かもしれません。  水野俊哉さんの著書「年収1億円の人は、なぜケータイに出ないのか?」は、富裕層とそうでない人の"形"、つまり目に見える行動の部分に注目した一冊。年収300万円の人、1000万円の人、1億円の人、それぞれの行動の傾向を比較し、その行動の裏にある思考を解説しています。富裕層のコンサルタントも務める著者が、ファッションや読書傾向、飲食店での行動やSNSの使い方、さらには結婚観まで、年収による行動の違いをつづっています。  例えば、飲食店でメニューを注文する場合。年収300万円の人は「友達と同じものを頼む」、1000万円の人は「じっくりメニューを見て選ぶ」、1億円の人は「メニューが来たら2秒で即決」と著者は指摘。判断に要する時間をなるべく減らすということは、お金持ちの誰もがやっていることだと言い、「大きなビジネスを動かすお金持ちにとっても、優柔不断は命取り。彼らの決断が早いのはむしろ当然なのです」と説明しています。確かに、ビジネスで決断を迫られることが多いお金持ちならば、ありそうな行動傾向です。  しかしなかには、一般人ではなかなか想像がつかない行動も。そのひとつが、"キャバクラでの行動"。同書で著者は、年収300万円の人は「キャバクラで女を口説く」、年収1000万円の人は「キャバクラで接待される」、年収1億円の人は「キャバクラにリクルートしに行く」と指摘しています。お金持ちというと夜の街で豪遊していそうなイメージがありますが、実は彼らには、接待の名目で連日のようにキャバクラで遊ぶ......という虚しい(!)マインドはないのだと言います。というのもお金を使うのであれば、その場であぶく銭のように消える使い方ではなく、使った以上の"何か"が戻ってくるような方法を考えたい、というのがお金持ちの考え方だからです。そのため、キャバ嬢からも"何か"が得られる方法を考えます。  では、彼女たちから何を得るのか。銀座や六本木の売れっ子キャバ嬢なら、頭がよく、対人能力が高い人も多いはず......ということから、お金持ちはそんな女の子に声をかけて、昼間のアルバイトに来てもらうのだそうです。しかし気になるのは、そのキャバ嬢に一体どんな仕事を任せるのかということ。本書では一例として「例えばですが、新規の開拓をしている部署があったら、その部署の人間と一緒に営業にいってもらって、ハンコを押してもらえたら契約料の10%を払う......など」と挙げており、「それで300万円の契約が取れたとしたら、キャバクラで10万円以上飲んでいたとしても、むしろ得した気分になるでしょう」と解説。確かに、キャバ嬢との出会いがこれだけの結果を生めば、費用対効果も十分。キャバクラでの行動すら仕事に還元するというのは、なるほど、お金持ちならではの考え方と言えそうです。  このほかにも、「年収1億円の人はビジネス結婚する」「リッツ・カールトンで打ち合わせする」「電磁波とタバコを避ける」など、"年収1億円あるある"が満載の同書。いかにも"お金持ちらしい"ものから意外なものまで、51項目にわたって紹介されています。  自分の行動を振り返って、年収いくらの人に当はまるのか照らし合わせながら読んでみると、楽しめそうな一冊。もし年収1億円の人と共通点が多かったら......富裕層の仲間入りをする日は近いかもしれません。
    異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って?
    異端系食堂!絶滅危惧食!? 安くて美味くて地元民に愛され続ける「絶メシ」って? 突然ですが、皆さんの町にこんなお店はありますか? 出すメニューは安くて美味い。地元民に愛され続ける名物店主がいる。店舗は歴史を刻んできたことがわかる古びたたたずまい......。昔は日本全国でよく見かけたであろうこんなお店も、時代とともに今ではずいぶんと減ってきているようです。
    大人でもどう考えたらよいか難しい問題。さてどう答える?
    大人でもどう考えたらよいか難しい問題。さてどう答える? 2018年春から小学校で教科化されることとなった「道徳」。文部科学省のほうで「考え、議論する道徳」というキャッチフレーズを掲げているように、従来の形式的な道徳の授業以上に、子どもたち自らで考え、議論し、道徳性を育んでいくことに力が注がれているようです。  たしかに、今後ますますグローバル化、多様化していくであろう社会の中で、自分の考えを持ったり、それを表現したりすることはとても大切。けれどやっかいなことに、大人でさえも世の中の問題に対し、どう考えてどう答えたらよいか戸惑ってしまうなんてことは日常茶飯事なんですよね、実は。  そこで、そうした問題について親子で、家族で、友達同士で考えて議論するのに役立つ一冊が『答えのない道徳の問題 どう解く?』です。  たとえば、本書に出てくるのはこんな道徳の問題の数々。「ついていい嘘と、ついちゃいけない嘘ってどう違うんだろう?」「人数が多いほうが、正しいってどうして言えるんだろう?」「蝶々を殺して、ネコを殺しちゃいけないのは、どうしてだろう?」「男の人と女の人は好きになると結婚する。どうして好きな女の人どうしは、結婚しないんだろう?」――子どものころ、皆さんも一度は父親や母親にこんな質問をしたことがあるのでは? もしかしたら、自分の子どもから同じ質問を受けている人もいるかも。  でも、こうした質問にすぐさまパッと明確に答えられる大人はいったいどのぐらいいるでしょう? 中には時間をかけたとしても、自分なりの答えを出せないような問題もあるかもしれません(事実、私はそうでした)。  そこで頼りになるのが、本書の後半に出てくる「考えるためのヒント」です。ここでは各界の有識者や著名人が、質問に対する自身の意見を述べています。「うそ」については詩人の谷川俊太郎さん、「せんそう」についてはジャーナリストの池上彰さん、「べんきょう」については棋士の羽生善治さん、「すき」については能町みね子さん、などなど......。一つの質問についても、さまざまな角度から光をあてて考えることができます。  ただし、これはあくまでも正解ではなく単なる「ヒント」。まずは自分で考えるべく、問いかけのみが先に出され、その後に手引き的な感じで「考えるためのヒント」が掲載されています。  順番としては、まずはいっぱい考えていっぱい悩んで自分なりの答えを見つけてみる。次はお父さん、お母さん、友達などといっぱい話し合ってみる。そのうえで「こんな風な考え方もあるよ」というつもりで「考えるためのヒント」を読むのがよいでしょう。  さらに巻末には、本で考えた疑問や問題、自分の意見を話し合うためのワークシート付き! めいっぱい、子どもの対話するチカラ、考え抜くチカラを伸ばすことができそうです。  大人にとっても自分の倫理観や道徳観を見直すためになるであろう本書。堅苦しく考えず、フラットな気持ちでトライしてみてください。そして子どもがいる人は、ぜひ一緒に取り組んでみて。彼らと本音で話し合うよい機会になるに違いありません。

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