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毎日たった1分の手ほぐしで現代人の脳疲労はケアできる!?
毎日たった1分の手ほぐしで現代人の脳疲労はケアできる!? 特に疲れることはしていないはずなのに、疲労を感じることはありませんか? 最近は慢性的な疲れを感じている人や、起きるのがつらいと感じている人が増えています。それはここ10年ほどで仕事以外の時間にもパソコンやスマートフォンを見る時間が増え、私たちの「疲れ」にも変化が起きているからなのだそうです。  肉体労働から頭脳労働、またプライベートでの頭脳活動の割合が増えた今、人々が疲れを感じる場所は脳だと、本書『たった1分 脳疲労にきく魔法の手もみ』著者の手島渚さんは語っています。本書ではボディセラピストとして脳を癒すことを実践している手島さんが、隙間時間に1分でできる「手ほぐし」のテクニックを教えてくれています。  そもそも疲れが取れないと感じるのは「脳疲労」によるもの。本書によると現代人の脳は体全体のエネルギーの約18%を消費するほど活動しているそう。インターネットから不必要な情報が流れてきたり、無意識にネガティブな思考をしていたりすることで疲れが生じてしまいます。  脳が活動しているときには、必ずしも体の運動が伴うとは限りません。そのため体への疲労が溜まることはなく、脳疲労への自覚が遅れたりケアを怠ったりしてしまうことになるのだそうです。脳疲労の初期サインとしては「手先などの身体の末端が冷える、こわばる」「目の疲れを感じる」などがあるそうなので気にしてみてください。  手島さんは本書を通じて「基本の親指ほぐし」や、脳疲労を解消する「手ほぐし」をいくつも紹介していますが、もっとも大切なことは「脳休習慣」を持つことだと伝えています。家族やパートナーと手を触れ合ってほぐすのも癒し効果があるそう。働きっぱなしの脳を意識的に休ませることを習慣にし、その一環としての手ほぐしが有効だそうです。  また他にも偏頭痛、肩こり、便秘など症状に合わせた手ほぐしも本書では紹介しています。習慣として行いたい親指ほぐしや、寝る前の手ほぐしと組み合わせて取り入れ、日々の気づきにくい疲れを少しずつケアしてみてはいかがでしょうか。
介護は根性では無理!? 今世界から注目を集めるフランス生まれの介護メソッドとは
介護は根性では無理!? 今世界から注目を集めるフランス生まれの介護メソッドとは 超高齢化社会到来と言われる現代日本。高齢者が高齢者の介護をせざるを得ない「老老介護」はもとより、最近では認知症高齢者が認知症高齢者を介護する「認認介護」といった言葉も登場し、介護による"共倒れ"問題は、誰しも他人事ではありません。  メディアでも、介護にまつわる事件や事故が取り上げられる機会も多いですが、いざ家族の介護問題に直面すると、どのように接したら良いかわからずに追い詰められてしまう方も多いのではないでしょうか。  そんな社会問題化している介護問題の切り札として、近年注目を集めているのが、今回ご紹介する"ユマニチュード"。ユマニチュードは、介護問題の専門家、イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが考案したケアの技術で、フランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味の造語です。  両氏の新著『家族のためのユマニチュード』では、ユマニチュードの基本となる、行動科学的なコミュニケーション方法の4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」と「ケアの5つのステップ」について平易な説明で紹介。  親や配偶者の介護は精神的、肉体的にも負担が大きく、強いストレスに疲弊してしまう方、支援の情報が得られず孤立してしまう家庭も数多く存在します。そういう場合、他人の手を借りることに罪悪感を持ったり、うまく介護できない自分を責めたりしてしまいがちですが、同書では「『周囲に助けを求める』ことも、介護のとても重要な技術です」と提唱します。  介護問題は、いわゆる"根性論"のように個人の努力で乗り越えられるものではないこと、家族だけで抱え込むのではなく、早い段階で行政をはじめ社会的支援を求めることが必要だと訴えています。介護を受ける側はもちろんですが、今現在介護をしている家族を支え、負担を軽減するためには、同書が紹介する体系化されたメソッドは、極めて有効と言えるでしょう。  ほぼ誰にでも訪れるであろう介護問題。いつわが身に訪れるかわからない今、決して人ごとではないとの思いで手に取りたい一冊かもしれません。
緻密で高性能だと思われがちな人のからだ 実は想定外な部分だらけ...?
緻密で高性能だと思われがちな人のからだ 実は想定外な部分だらけ...? なめらかな動きを作り出している筋肉や骨格、どんなコンピューターよりも優れている脳、生命を維持するために休みなく働く内臓たち......私たちの体は実に緻密に、高性能にできています。いえ、「できている」と思われています。  けれどそんな精緻な人体も、見方を変えると情けなかったり残念だったりする部分がたくさんあるのだとか。  そんな「なぜ?」という想定外な部分にスポットを当てたのが、坂井建雄著による本書『想定外の人体解剖学』です。  たとえば、「脳は自分の痛みには気づけない」というのもそのひとつ。脳は外側を覆っている硬膜に痛みを感じる神経が集まっていて、その神経を通じてケガの情報が伝わり、初めて「痛い」と感じるようにできていますが、脳自体に神経は通っていません。言われてみれば、ずいぶんと回りくどい、不便そうなシステムと言えますね。  本書の解説によると、そもそも脳は豆腐のように柔らかいもののため、脳のまわりを軟膜、クモ膜、硬膜の三層が包み、その外側を硬い頭蓋骨が守っているのだそう。そして、豆腐が水の入った容器の中で崩れないのと同様に、脳も軟膜とクモ膜の間の液体に浮いた状態で収まっているのだとか。頭をぶつけても液体がショックを吸収するため、脳は無事であり、頑丈に安全に守られています。そのため、脳自体が壊れることは想定されてなかったと考えることも。だから脳自体が痛みを感じるようには作られていない......ということのようです。不便には不便ながらの理由もあるわけですね!  また、ついつい「ムダ」だと思ってしまうような想定外のシステムも。「コラーゲンを食べても肌はプルプルにならない!?」という項目を見てみると......。鶏肉や豚肉、スッポンなどに豊富に含まれるというコラーゲンですが、本書によると「食事でとった栄養素はそのまま体の中で使われるわけではない」のだとか! 特にコラーゲンなどのたんぱく質は体の中で分子量のアミノ酸に分解され、肝臓でいろいろな種類のたんぱく質につくり変えられ全身の細胞に届けられるため、肌に届くとは限らないそう。「コラーゲンを食べたら翌日、肌がプルプルに!」なんて話もよく聞きますが、美肌を気にする女性にとって、コラーゲンを食べることは「ムダ」とまでは言えないまでも過信するのはやめたほうがよさそうです。    本書にはこうした想定外のシステムが実に150以上も紹介されています。すべてに意味や必要性があって存在していると思っていた機能にも、こんなにも多くの残念(?)な想定外があるとは......! それでも、現在の環境の中でやりくりして毎日を過ごしている私たち。それを考えると、なんだか急に自分の体が愛しくなってくるようにも思えます。もっとも身近にあるのに大きな神秘に満ちた「人体」。本書でその秘密にふれるたびに、皆さんも今まで以上に生命の尊さを感じてワクワクすることでしょう。
築地市場から密漁団まで決死の潜入! 食品業界最大のタブーを暴く一大ルポ
築地市場から密漁団まで決死の潜入! 食品業界最大のタブーを暴く一大ルポ サカナとヤクザ。一見なんの関係もなさそうな両者ですが、実はそこには密接なかかわりがあるとしたら......?   「アワビもウナギもカニも、日本人の口にしている大多数が実は密漁品であり、その密漁ビジネスは、暴力団の巨大な資金源となっている」――そんな実態を突き止めるべく、築地市場での潜入労働をはじめ、北海道から九州、台湾、香港までまたをかけて突撃取材を敢行するなど、2013年から丸5年の取材を費やして書き上げた衝撃のルポが本書『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』です。  著者はフリーライターでありカメラマンでもある鈴木智彦氏。東日本大震災後に福島第一原子力発電所で作業員として勤務した際の体験をもとにした『ヤクザと原発 : 福島第一潜入記』や、当サイトでも以前にご紹介した『全員死刑: 大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記』といった著書でも知られています。本書も「暴力取材のエキスパート」と呼ばれ、暴力団に関する潜入ルポも経験済みの鈴木氏だからこそなしえた、実情に肉薄した内容だといえるでしょう。  鈴木氏が最初に取材したのは"三陸のアワビ"。大ヒットドラマ『あまちゃん』の舞台である岩手県でアワビの大規模密漁団が逮捕されていたことを知り現地へと赴いた鈴木氏は、密漁がヤクザのしのぎとなっており、闇ルートで近隣の料理屋や寿司屋に卸されるほか、アジア一の魚市場である築地市場にもやってくるという情報を入手します。  そこで次の取材先となったのが築地市場。ここでは実際に仲卸の軽子(配送人)として4か月間働き、仲卸の会社の役員から「築地で密漁アワビは売られている」という言葉を得ることに成功しています。    このように、その後も北海道ではナマコや毛ガニの密漁、九州・台湾・香港ではウナギの稚魚であるシラスウナギの密漁について取材を重ねていく鈴木氏。それは手を突っ込めば突っ込むほど、日に当ててはいけないものを引っ張り出していくかのような、日本の食品業界のタブーに切り込んでいくものとなります。しかしそうしたことに、密漁者やヤクザだけでなく水産庁や漁業組合、市場関係者も見て見ぬふりをしているのが現状だといえそう。  そして消費者である私たちもまた、完全なる共犯であると鈴木氏は指摘します。私たちは希少なサカナを求めるあまり、知らないうちに密漁品を食べ、結果、反社会的勢力に協力しているのかもしれない......。無知なままであれば「知らなかった」で済むかもしれませんが、本書を読んでしまってはもはや魚市場やお寿司屋さんには無邪気な気持ちでは行かれなくなりそうです。  豊洲市場への移転や2020年の東京オリンピックなど活気あるニュースがめぐる日本ですが、その陰にはこうした一端が厳然としてあるということは知っておいて損はないのではないでしょうか。
インプット中心の働き方はムダ? 精神科医が明かす、アウトプットの鍛え方とは
インプット中心の働き方はムダ? 精神科医が明かす、アウトプットの鍛え方とは スキルアップのためにセミナーをたくさん受講したり、成長のために多数のビジネス書を読んだり...。積極的に自己研鑽に励んでいるが、どうも結果に結びつかない。知識を詰め込むインプットで終わってしまう...。  アウトプットの重要性は知っていても、インプットで満足してしまう方も多いのではないでしょうか?  実に約9割のビジネスパーソンが、そんなインプット中心の非効率な学び方をしていると指摘するのが、書籍『学びを結果に変えるアウトプット大全』。著者の樺沢紫苑さんは、Twitter、FacebookなどSNSを駆使し、"日本一、情報発信する医師"の異名を取る精神科医です。『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)や、15万部を突破した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)など著書も多数。  樺沢さんは本書『学びを結果に変えるアウトプット大全』の中で「知識を詰め込むインプットの学びだけでは、現実は変わりません」と訴え、インプット中心の働き方には無駄が多く、アウトプット中心の働き方に軸足を移すべきだと述べています。  脳科学に立脚したアウトプット力の鍛え方を多数紹介している同書ですが、その中でも意外なものが"落書き"。たとえば、大事な授業や会議の場で、落書きをしながら聴いているなんて、集中力に欠けているように見えますが、実際は逆。同書で紹介する実験によれば、落書きをした人は、落書きをしない人に比べて、29%も記憶量がアップしたのだとか。  同書では、落書きをしていた著名人として、"自動車王"ヘンリー・フォードや、アップル社の創業者、スティーブ・ジョブズ、国内では『人間失格』で知られる作家・太宰治のノートが落書きだらけだった事例をあげ、記憶力だけでなく創造力アップにも効果があると述べています。  勉強や仕事に限らず、日常の人間関係の場でも役立つこと間違いなしの実戦的アウトプットトレーニング、インプットだけで満足しがちな方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
ヤフー×本屋大賞「ノンフィクション本大賞」が決定!受賞は角幡唯介氏の『極夜行』
ヤフー×本屋大賞「ノンフィクション本大賞」が決定!受賞は角幡唯介氏の『極夜行』 全国の書店員が「いちばん売りたい本」を選出する「本屋大賞」と、Yahoo!ニュースがタッグを組んだ「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」が11月8日、東京・ヤフー株式会社紀尾井町オフィスで発表されました。  第一回受賞作品は、角幡唯介氏の『極夜行』(文藝春秋)。太陽が昇らない北極の極夜の冒険を描いた作品です。  主催者の同社取締役会長・宮坂学氏は、「本屋大賞から誘いがあり、二つ返事で協力させていただきました。Yahoo!ニュースというサービスではノンフィクションに関わっている著者がとても多い。最前線でいろんなものを見ている方のお役に立てれば」と、新設の賞への思いを語りました。  選考の対象は、2017年7月1日から2018年6月30日の間に日本語で出版されたノンフィクション作品全般(※海外作品の翻訳本は除く)。約100人の書店員の投票で9月11日にノミネート10作品を発表し、二次選考を経て大賞の発表となりました。  本屋大賞実行委員会からは、「ノンフィクションは定義しにくい分野ですが、候補には全国から素晴らしい本が集まりました。手に取るのをためらうような重いテーマもありますが、込められた熱量を感じてほしい」というコメントが読み上げられました。  大賞を受賞した角幡唯介氏は「今はスマホの時代で本が読まれなくなっています。インターネットには情報があふれていますが、検索して出てくるのは結果でしかなく、過程が見えなくなっています。情報はリスクを負って労力をかけなければいけませんが、危険を冒す必要があるのか、と言われることも。しかし発掘されなければその事実は死んでしまいます」とノンフィクションの意義を語りました。

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「サッポロ一番塩らーめん」今すぐ試したいアレンジレシピが詰まりまくった最強本!
「サッポロ一番塩らーめん」今すぐ試したいアレンジレシピが詰まりまくった最強本! 袋入りインスタント麺の定番ブランド「サッポロ一番」。元祖ともいえる王道の「しょうゆ」、奥深いコクと風味が人気の「みそ」、野菜のうまみが効いたスープが特徴の「しお」とそれぞれ良さがありますが、皆さんはいちばんアレンジを楽しむのに適している種類はどれだと思いますか?  それは「サッポロ一番 塩らーめん」だと豪語するのは、タベアルキストとして知られるマッキー牧元さん。無限のアレンジが広がる懐の深さが「サッポロ一番 塩らーめん」にはあるのだといいます。  本書『超一流のサッポロ一番の作り方』はマッキーさんが「サッポロ一番 塩らーめん」を使って生み出した驚きのアレンジレシピが掲載された一冊。手間をかけず、10分以内で作れて、高級食材は使わない......などの決め事のもと選ばれた、バラエティに富んだ9種類のレシピが並んでいます。  たとえば、マッキーさんの食卓登場率ナンバー1だという「タンメン風」。ただ野菜をたくさん入れればよいわけではなくて、麺の茹で時間を2分半にしたり、スープは別鍋で作ったり。ちょっとしたこだわりを加えるだけで、うんとおいしい一品になることがわかります。あ、調理中は「白菜、椎茸、に~んじん♪」と歌うのも忘れてはいけないそう(若い方はこのCM知ってるかしら......)!  ほかにも、チーズが溶けて絡まりイタリアンのような味わいを楽しめる「ナポリ風」、ごま油の風味とキムチで韓国の味になるという「ソウル風」、トマトや香菜、タバスコなどを使って辛味と酸味のパンチを効かせた「メキシコ風」、卵とチーズがクリーミーな「カルボナーラ風」などアレンジは本当に多彩。ここまで自由自在に応用できるのは、やはり「サッポロ一番 塩らーめん」だからこそ。  「どう調理するかを考えるのが楽しくて、サッポロ一番塩らーめんを選ぶのである。しょうゆ味やみそラーメンではなく、断じて『塩らーめん』なのである。どんなアレンジにも対応するこの懐の深さ、包容力がいい。その付き合いはもうかれこれ30~40年は経っているだろうか」とマッキーさんが絶賛するのもなんとなくわかります。  さて、タイトルだけ見ると一冊まるまる、サッポロ一番 塩らーめんのアレンジが載っているのかと思ってしまいますが、実はそうではありません。昼メシの定番・焼きそば、TGKこと玉子かけごはんや目玉焼きといった卵料理など、さまざまな"超一流"の作り方がここには集まっています。  ほかにも、「超一流の食べ方」として吉野家の牛丼、王将の餃子、ナポリタン、とんかつなどの絶対マネしたくなる食べ方を披露。「超一流の駅弁勝負」なる項目では、崎陽軒のシウマイ弁当の食べ方お作法なんてものも......。  ああ、もう読んでいるだけですぐさま試してみたくなる! レシピ通りにただ作るだけでなく、自分なりの作り方や食べ方を見つけるのもこれまた食の楽しみ。そんなことに気付かせてくれるマッキー牧元さんの『超一流のサッポロ一番の作り方』。グルメな皆さんの参考書としておそばに一冊、いかがでしょうか。
「ワセジョ」はおしゃれに、「慶應ボーイ」はバンカラになった?
「ワセジョ」はおしゃれに、「慶應ボーイ」はバンカラになった? このところ人気を集めるネット発のリアリティ・ショー。なかでも、Amazon Prime Videoで配信されている婚活サバイバル番組シリーズ「バチェラー・ジャパン」については、その話題を耳にした方も多いのではないでしょうか?   同番組は、1人の成功した独身男性(バチェラー)がゴージャスで非日常な空間でのデートを経て、約20名の女性からたった1人を選ぶというもの。その記念すべきシーズン1で、初代ベチェラーの心を射止めたのは当時現役女子大生だった蒼川愛さん。番組で登場したプロフィールには「政治経済学部」とだけの記載でしたが、実際には早稲田大学に在籍しているということが囁かれていました。  「早稲田の政経」といえば、私学の雄である早稲田大学のエース的存在として君臨してきた難関学部。王道系モテ女子といった風貌の蒼川さんが学問にも長けていたという「天は二物を与える」な話にも興味が惹かれます。しかし、それよりも蒼川さんが「バンカラで逞しくって、ちょっとダサい」と自嘲的に語られてきた早稲田の女子学生に対する「ワセジョ」というイメージとかけ離れていることに注目する人も多いかもしれません。  実は近年、ファッション誌を飾る女子大生読者モデルの数において、早稲田と慶應がトップ争いを繰り広げています。2016年は慶應が全大学中1位で早稲田が2位、2015年には早稲田が1位で慶應は10位(『大学ランキング』朝日新聞出版より)。このようなデータをもとに、かつての早稲田大学と現在が大きく変化していることを、永遠のライバル校である慶應大学と比較しながら論じるのが『早稲田と慶應の研究』(小学館新書、オバタカズユキ)です。  同書は他にも、私学の両雄の偏差値、志望者数、早慶ダブル合格の際の進学先、司法試験などの難関試験数にも"昔と今"で異変があることを伝えています。たとえば就職先。とくにIT関連企業のメガベンチャーにおいては、これまで大企業への就職が主流であった慶應とマスコミへの就職が強かった早稲田の数字がそれほど変わらない現状を伝えます。これはマスコミに代わってIT関連企業が台頭し、もはや大企業の風格さえあることを示しています。  ちなみに、冒頭の「バチェラー・ジャパン」の2代目バチェラーである小柳津林太郎さんは、慶應大学出身で大手IT企業・サイバーエージェントの幹部。こんな苛烈な婚活バトルに出演するなんて、慶應ボーイも蛮勇でバンカラになったもの......? 最近の早稲田と慶應をめぐるあれこれについて気になることがあれば、同書を読むと腑に落ちることが多いかもしれません。
誰よりもニュージーランドを愛する4人が新しい視点で作ったガイドブック
誰よりもニュージーランドを愛する4人が新しい視点で作ったガイドブック 皆さんはニュージーランドという国についてどのぐらいご存じでしょうか? 「南太平洋に浮かぶ島国。自然豊かで、羊がたくさんいる」という知識程度の人も多いかもしれません。  実はニュージーランドは現在、世界の先進国から「未来の国」と呼ばれ、注目を集めているそうです。それはなぜか。  「ラブリーで優しい人々」「グリーンで持続可能なライフスタイル」「ヒップでクリエイティブな文化」「生活に根付いたオーガニック」「弱者に寛容で、リベラルな社会」「自由でイノベーティブな風土」といった特長を持ち、豊かな自然だけではなく、その「在り方」においても美しく、未来的だとされているからだといいます。  これまであまり明らかにされてこなかった、こうした新たな魅力を伝えているのが本書『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』。ニュージーランド在住の執筆家の四角大輔さんを筆頭に、「NZdaisuki.com」代表の野澤哲夫さん、「日刊ニュージーランドライフ」主宰の長田雅史さん、ニュージーランド写真家として活動する富松卓哉さんという、誰よりもニュージーランドを愛する4人が著者として名前を連ねています。  四角さんは「最新のニュージーランドを自分たちで取材し、本気でいいと思うものだけを紹介する」という思いのもと、クラウドファンディングを実行。結果、支援者614人、支援額366万(目標比300%超え)が集まり、2か月にわたる取材を敢行することができたそう。191の飲食店、52の宿泊施設、68のオーガニック関連施設、39のワイナリーを訪問した中から厳選に厳選を重ね、最強のガイドブックとして誕生したのが本書。ここには、彼らが心からおすすめできるコンテンツだけがギュッと詰まっています。  中を見てみると、グルメ、自然、アクティビティ、ショップなど行ってみたくなるスポットがどのページにもあってワクワク。写真が美しくて興味をそそられるのもありますが、「ニュージーランドの良さを新しい視点で伝えたい!」という熱意が端々から感じられるのも大きいのではないかと思います。  たとえば「自然豊か」というイメージのあるニュージーランドですが、「オーガニック」というワードがすぐに思い浮かぶ人は少ないのでは。けれど、ファーマーズ・マーケットにオーガニック専門店、ハチミツや卵の無人販売所「オネストボックス」などが多いこの国で、オーガニック生活はごく当たり前のことなのだそう。こうした現地の人々の生活に根ざした情報がたくさん盛り込まれているのも、ただのガイドブックに終わらない本書の魅力。「島国、自然が豊富、羊」といった固まったイメージをくつがえすような、知られざるニュージーランドの姿が見えてきます。  「ラブリー」とは日本語で「かわいい」という意味でとらえることが多いですが、ニュージーランドでは「いいね」「楽しいね」「すてきだね」とさまざまな意味で使われるのだとか。そして、「グリーン」は豊かな自然だけでなく、ナチュラル志向が強いニュージーランド人の暮らし方、ライフスタイルを表すことも。まさにタイトルにもなっている「ラブリー グリーン ニュージーランド」そのままの国といえそう。本書ではニュージーランドは「北欧」のセンスと「ハワイ」の大自然のエナジーをあわせ持ったハイブリッド国家だと評されていますが、皆さんも読めばきっとその理由がわかることでしょう。
伝説のプロ投資家が教える「お金に振り回されない生き方」とは?
伝説のプロ投資家が教える「お金に振り回されない生き方」とは? 投資家・村上世彰(むらかみ・よしあき)氏。ニッポン放送株取得に端を発した、2005年のフジテレビ買収騒動では、ライブドアの堀江貴文氏とともに渦中の人となり、「ヒルズ族」「TOB(株式公開買い付け)」「モノ言う株主」と言った言葉がメディアを賑わせましたが、村上氏の記者会見での発言の数々、言動をご記憶の方も多いでしょう。  旧・通商産業省(現・経済産業省)の官僚を経て独立し、当時運営していた「投資会社M&Aコンサルティング」いわゆる"村上ファンド"は、運用資産額はおよそ5000億円にも上ったと言われています。  2006年、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑で逮捕、有罪判決。以降はシンガポールに移住し、メディア露出を控えていた村上氏ですが、その約10年間の出来事―-ボランティア活動に取り組み東日本大震災の際に炊き出しに行ったこと、社会貢献をミッションに村上財団を設立したこと―-などは、昨年2017年出版の自著『生涯投資家』(文藝春秋刊)に詳しく描かれています。  『生涯投資家』に寄せられた反響から、日本各地の中学生・高校生を対象に「お金の授業」と称した講演会を実施し、その反応を踏まえて、日本の子どもたちへのメッセージをまとめたのが、新著『いま君に伝えたいお金の話』。  村上氏によれば、日本の教育現場ではいまだに「子どもはお金のことなんて考えなくていい」「お金=悪いもの」(同書より)といった考えが主流なため、金融教育を受ける機会がないまま社会に巣立ってしまう若者がほとんどであり、早い段階でお金に向き合うことが大事だと訴えています。  同書では、タンス預金が多い家計や、多額の内部留保を抱える日本の企業など、必要以上にお金を貯め込む日本社会を人間の身体にたとえ、貯め込んでしまうと血液の流れが止まり、健康でなくなってしまう、血液=お金を循環させることが、日本の経済循環を促すと力説。  また、同書の中では、近年社会問題化している奨学金問題にも言及。  「せっかく将来のために教育ローンを利用して勉強したのに、そのローン返済のために自分の将来を、場合によっては自分の親の生活まで破壊してしまうということがある。そういう現実も知っておいてください」(同書より)  と、貸与型の奨学金が借金であることを説明し、奨学金を返せずに過去5年間で1万5000人も自己破産していることに触れ、進学目的とはいえ安易な借金には警鐘を鳴らしています。  「僕はお金によって、幸せを得た人もたくさん知っていますが、人生が狂ってしまった人、お金持ちだったのに使い方を間違えて自分も周りも傷だらけになってしまった人、立ち直れないほどのダメージを受けてしまった人も、たくさん知っています」(同書より)  「人から借りたお金は簡単に『凶器』となりえるということ。これは、忘れないでください」(同書より)  など、お金を使うリスクについても論及。"お金のプロ"を自認する村上氏が、"貯金魔"だった幼少時代のエピソードをはじめ、読みやすい言葉で綴った同書は、子どもだけでなく、現役ビジネスパーソンにも読みごたえ充分な内容となっています。
大災害のときどうする? 危機管理のプロ・自衛隊のノウハウを大公開
大災害のときどうする? 危機管理のプロ・自衛隊のノウハウを大公開 6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、8月に阪神地方を襲った台風、9月の北海道胆振東部地震など自然災害が相次いでいる2018年。被害を受ける様子をテレビで見るにつけ、防災意識の大切さについてあらためて強く感じた方も多いのではないでしょうか?  地震、台風、大雨、崖崩れ......いつどこで遭遇するかわからないさまざまな大災害への備えについて、自衛隊が持つテクニックやアイデアについて紹介している本が『自衛隊防災BOOK』です。  考えてみれば、自衛隊はいざというときに私たちを助けてくれる"危機管理のプロフェッショナル"。人命救助に始まり、食料の確保や給水、緊急措置など災害時のトラブル対処法を熟知しているだけに、彼らからそのライフハックを学ぶというのは理にかなっているといえるでしょう。  本書に掲載されているのは、自衛隊直伝の誰でも実践できる100の防災テクニック。まずは「日頃の備え」から。「自宅の家具配置を見直す」「自宅の周りの避難場所を知っておく!」「初期消化の基本を身につける」などの項目から日々の暮らしの見直しをすることができます。  続いて「災害時に役立つライフハック」としてCHAPTER1【発災時編】では、「料理中だったら」「オフィスにいたら」「電車に乗っていたら」といったシチュエーション別に初動対応についてが書かれています。  そして、もし実際に災害や事故の被害に遭ってしまったら。CHAPTER2では【被災時編】として「シャツを浮き輪代わりにする方法」「ブルーシートと新聞紙を寝袋にする方法」「ツナ缶・バターをローソク代わりにする方法」といった身近なものの活用法から、「暗い夜の山で道を探す方法」「寒さから自衛する方法」といった被災時の対処法などまで詳しくページが割かれています。  CHAPTER3では「日常生活に役立つライフハック」として、災害時よりは緊急度は低いものの、日常でトラブルに遭遇したときに役立つさまざまなことを紹介。「ハチに刺されたときの対処法」「缶切りなしで缶詰を開ける方法」「定規なしで長さを測る方法」「正しいロープの結び方」など、知っていればより日常生活が便利に、快適になること請け合いです。  はじめに「今年立て続けに起きている災害のニュースを見て、被災時の備えの大切さを再認識した人も多いのでは?」と書きましたが、災害や事故が起きた直後に私たちの防災意識が高まるのは当然のこと。けれど、月日がたつとどうしても危機感が薄れてしまうことも......。そして実際に被災したときに、慌てふためいてしまうケースも多いかと思います。  それを避けるためには、本書を身近な場所に置いて、ときどき読み返してはいかがでしょうか。万が一のことが起きたとき、この中にあるライフハックの一つでも思い出し実践できたら、最悪の事態をまぬがれることもじゅうぶんにありえます。本書を手に入れて読んでみる。それ自体があなたや、あなたの大切な人を守るひとつの大きな備えとなるかもしれません。
サマセット・モーム著『かみそりの刃』は自分探しをする人にオススメ------アノヒトの読書遍歴:ロバート・ハリスさん(後編)
サマセット・モーム著『かみそりの刃』は自分探しをする人にオススメ------アノヒトの読書遍歴:ロバート・ハリスさん(後編) 作家、ラジオ・ナビゲーターとして活躍するロバート・ハリスさん。これまでに15冊以上の著作がありますが、2018年9月に自身初の長編小説『JJ 横浜ダイアリーズ』を出版しました。本はじっくり読みたい派というハリスさんに、前回に引き続き日頃の読書生活についてお話を伺いました。

特集special feature

    島本理生さんの『ファースト・ラブ』はセラピーの観点からみても興味深い一冊------アノヒトの読書遍歴:ロバート・ハリスさん(前編)
    島本理生さんの『ファースト・ラブ』はセラピーの観点からみても興味深い一冊------アノヒトの読書遍歴:ロバート・ハリスさん(前編) 自叙伝や旅をテーマにした著書を多く執筆する作家のロバート・ハリスさん。大学卒業後の東南アジア放浪を経て、1988年までオーストラリアに16年間滞在し、シドニーでは書店兼画廊「エグザイルス」を経営していました。また、テレビ番組や映画などでも活躍し、帰国後、92年からはJ-WAVEのナビゲーターも担当。現在は作家としても活躍中で、著書に『エグザイルス』『ワイルドサイドを歩け』『黒く塗れ!』『人生100のリスト』『アフォリズム』などがあります。2018年9月には自身初の長編小説となる『JJ 横浜ダイアリーズ』を出版したハリスさん。今回はそんなハリスさんの日頃の読書生活についてお話を伺いました。
    知らないと絶対損する旬ワード「IoT」 身近な事例から知るその実力
    知らないと絶対損する旬ワード「IoT」 身近な事例から知るその実力 「IoT」という言葉をご存じでしょうか? 「Internet of Things」の頭文字を取った単語で、あらゆるモノがインターネットに接続する仕組みのこと。あまりピンと来ない人もいるかもしれませんが、実はその需要は着実に拡大しています。  IT専門調査会社IDC Japanが今年9月に発表した市場予測によると、国内のIoT市場規模は、2017年の支出額5兆8160億円から、年間平均15.0%で成長を続け、2022年には支出額11兆7010億円になる見込み。  神崎洋治氏著による本書『図解入門 最新IoTがよ~くわかる本』では、そんな旬なワードであるIoTについて、企業の事例を交えながらわかりやすく紹介しています。  まず、IoTが何かを知るうえで、ポイントとなるというのがソフトバンクの事例。東京本社の男子トイレで導入されたスマホでトイレの空き状況がわかる「IoTトイレ」です。センサーによって、満室の際は隣接した上下階のトイレの空き状況を確認できるというもの。待ち時間や空室を探す時間が減ったと約60%の人が感じる成果をあげました。  本書によると、この事例からわかるようにIoTは「センサーが得たデータから得た情報を可視化したり、収集したデータを瞬時に活用する」という点が大きな特長だといいます。  より私たちの身近なところでは、家庭用のIoTが注目を集めています。これまで「その場」でしかできなかったことを「遠隔」で可能にするIoTのメリットがよく現れているといいます。  例えば、家電にネットを接続して音声操作できる「Amazon Echo」などのスマートスピーカーをはじめ、それらと連携して外出先からネットに対応しないエアコンなどの家電を、スマホで操作できるスマートリモコンも反響を呼んでいます。すでに使用している人も多いのではないでしょうか。  これらを連携し家全体に拡大させたスマートホームも浸透しつつあります。最近では、ソニーの「MANOMA(マノマ)」が好例。AIアシスタント「Amazon Alexa」対応の「AIホームゲートウェイ」をはじめ、家族全員の外出を検知して自動的に撮影・録画が開始される見守りカメラ、専用アプリを通じて遠隔で鍵を解施錠できるスマートロックなどと連携。不在時は室内をスマホで確認でき、異常を検知すれば通知される防犯対策、さらにスマートロックの特性を生かした不在時でも家事代行などを受けられる試みにまで発展を見せています。  こうしたIoTがもたらす自動化や効率化は、実は私たちが頻繁に利用する交通の安全を守るスマートメンテナンスとして、生かされていることも知っておくべきでしょう。  JR東日本の山手線「E235系」に搭載された状態基準保全(CBM)がその最たる例。従来の検査方式では、定期的な検査で突発的な故障に対応できませんでしたが、CBMで継続的にIoTセンサーに情報が蓄積され、事故の予兆を把握し「究極の安全」の実現が高まると期待されているといいます。今後、山手線はこの新型車両に置き換わっていく予定です。  IoTは単なるブームではなく、AIと同じように社会変革をもたらす存在。この波に乗り遅れないためにも、IoTの基礎を本書で押さえてはいかがでしょうか。そうすれば、日々更新される最新情報も理解でき、その恩恵を存分に享受できるはずです。
    女優でありエッセイの名手 酒井若菜が描いた珠玉の随筆33編が一冊に
    女優でありエッセイの名手 酒井若菜が描いた珠玉の随筆33編が一冊に テレビドラマ『木更津キャッツアイ』や『透明なゆりかご』、映画『恋の門』など数多くの作品に出演し、存在感を示してきた女優、酒井若菜さん。いっぽうでは文章力の高さにも定評があり、これまでに小説やエッセイ集を出版したり、2017年からは有料メールマガジン「marble」で編集長を務めたりといった活動も精力的におこなっています。  そんなエッセイスト、作家としての顔も併せ持つ彼女が、10月3日、新著『うたかたのエッセイ集』を発売。「水道橋博士のメルマ旬報」(2013~2017)、「marble」(2017~2018)に執筆した100本以上のエッセイから厳選した珠玉の33編が、この一冊にまとめられています。  内容は出演作の話から、芸歴、夢、家族や祖父・祖母との思い出、エンターテインメントのこと、仕事観、身の回りで起こった出来事まで実にさまざま。ときに感動的に、ときにユーモアを交えながら、彼女ならではの感性と筆致で綴られており、名うてのエッセイストぶりが存分にうかがえます。 「誰かの中で生きている。つくづく、しみじみ、美しい」という帯に書かれた言葉の意味を、ぜひ彼女のエッセイから見つけとってみてください。
    現代の若者の生態を知るには... 意外な写真が役に立つ!?
    現代の若者の生態を知るには... 意外な写真が役に立つ!? これからの日本を背負って立つ若者たち。彼らはどんな環境で育ち、どんなふうに生活し、何を考えているのでしょう。  食卓写真を通じて、現代社会に生きる若者の実像に迫った本書は、早稲田大学人間科学学術院の外山紀子教授と大正大学心理社会学部の長谷川智子教授、専修大学経営学部の佐藤浩一郎准教授の3人の研究者によって編集されました。  「日本の食をとりまく環境は、近年、大きく変化した。(中略)食の変貌は、食の外部化や簡便化に加え、核家族化の進行、女性の高学歴化と社会進出、さらには長時間勤務の常態化と言った社会の大きな変化の中に位置づけるべき現象である。最近では、格差という視点も外せなくなった。(中略)食は食べ手とその食べ手が属する社会、時代を映す鏡となるのである」(本書「まえがき」より)  若者たちのSNSにアップされる"インスタ映え"する食べ物と現実の落差、彼らが幼い頃から社会問題化していた孤食の実態など、本書が描き出すのはさまざまな若者たちの生活と意識です。ここでは青年期に育まれる自意識やパーソナリティにさえ、食行動が深く関わっていることが指摘されています。  また、"飽食"を当然のこととして育ってきた若者たちが知らないのは、季節感やハレ(非日常)とケ(日常)のメリハリが生み出す喜びばかりではないようです。飢餓感を経験したことのない彼らは、"我慢"や"耐える"ことについての学習の機会が少ないことや、食物に命を感じる"生命感"についての実感が少ないこと、雑食性の動物として食物を選択する能力さえも必要なくなって、"本能"が失われがちなことなど、人間の本質にかかわる部分での変化さえあるといいます。  「若い人たちの思考や行動は理解できない」と困惑しているなら、若者を理解する参考書になるかも知れません。大学の先生たちが協力して作り上げた本だけあって、論理的で説得力に溢れた読み応えのある一冊です。
    東大生のバッグには、本が2冊以上入っている!? 現役東大生が実践する読書法とは?
    東大生のバッグには、本が2冊以上入っている!? 現役東大生が実践する読書法とは? 日本の大学の頂点に位置する、東京大学。最近でも「東大」を冠したテレビ番組が多数放映されているほか、我が子を東大に合格させた母親による手記や現役東大生の著書も相次いで刊行され、出版界においては、もはや"東大本"というジャンルが確立されつつあるようです。  今回ご紹介する書籍『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者、西岡壱誠さんも、そんな現役東大生作家の1人。  これまでにも『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』(ダイヤモンド社)や、『東大式習慣「ゲーム化」でラクラク身につく<最強の効率術>』(扶桑社刊)など書籍も多数執筆している西岡さんが本書で提唱するのが、同時進行で2冊以上の本を読むこと。  1冊の本をじっくり読み終えてから次の本を読むよりも、同時進行で同じ分野の本を2冊以上読む方が、大きな効果が得られると言います。本書ではこの読み方を"検証読み"と定義し、1つの考えに偏ることなく、主体的かつ多面的な思考力を養うために有効だと述べています。  また、西岡さんによれば、東大生は、読書をインプットで終わらせるのではなく、感想を語り合うアウトプットが大好き。いわゆる合コンや飲み会ですら、本の感想の言い合いの場となることがしばしばあるそうです。  「僕が2年間東大で生活していて、いちばん東大生同士で盛り上がった話は「『源氏物語』でいちばん素晴らしいヒロインは誰か」という議論でした」(本書より)  気になるその結果ですが、「紫上」のような誰もが思いつくようなメインキャラクターではなく、地味だが面倒見のよい性格の女性として描かれる「花散里(はなちるさと)」という結論で一致したのだとか。  現役東大生が自ら実践する読書法を明かした本書、受験生や受験生の保護者のみならず、現役ビジネスパーソンにも役立つノウハウ満載の1冊と言えるでしょう。
    わが子が個性を発揮して幸せな人生を送るために親ができること
    わが子が個性を発揮して幸せな人生を送るために親ができること 生れたばかりの赤ちゃんを抱いたパパ、ママの顔は喜びに輝いています。「元気で生まれてきてくれて、ありがとう」と感謝して、幸せな人生を歩んで欲しいと心から祈ったことでしょう。  でも、子育てが始まると思い通りにならないことばかり。つい感情的になって叱ってしまい、涙の跡が残る幼い寝顔に「ごめんね」と声をかけることはありませんか?  「子どもがしあわせなら......それだけで みんな、しあわせ」(本書より)  慶應義塾大学医学部小児科の高橋孝雄教授による本書『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』は、こんな言葉で始まります。  小児科医として36年間、病気と闘うさまざまな年齢の子どもたちと向き合ってきた高橋先生による"育児書"は、先生の人柄がにじみでるやさしい視線でまとめられたシンプルな文章で、育児に悩むおとうさん、おかあさんの心にすっと響いてくる分かりやすい内容も秀逸です。  胎教、早期教育、食育などなど。巷にあふれる情報は、育児をがんばる現代の親たちを悩ませています。働くおかあさんは忙しくてかまってあげられないと罪悪感にさいなまれ、"理想の親"になれない自分の姿に自信を無くしている人もいるようです。  そんな親たちに対して、「『理想の母』を追い求めないで。子どもが好きなのは、いまのおかあさん。」(本書より)と先生は言い、親が子どもを気づかう愛情は必ず子どもに伝わることを教えてくれます。  子どもの個性や能力は親から受け継いるけれど、環境や努力によって変えられることがある一方、絶対に変わらないこともあるそうです。でも両親からもらった遺伝子に守られて、子どもは育つそう。小さく生まれても、たとえ病気や障害があったとしても「生れてきてくれただけで『合格』なのです」と高橋先生。  人間が幸せに生きて行くために必要な能力を「共感力」、「意思決定力」、「自己肯定感」とし、その能力を育むために親はどうあるべきかについても、具体的なアドバイスが盛り込まれた本書は、子どもの幸せを願う親が取るべき道を示してくれます。  長く手元に置いて、何度も読み返す、そんな子育てのバイブルになりそうです。

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