サラリーマン生態100年史 ニッポンの社長、社員、職場 パオロ・マッツァリーノ著 《話題の新刊 (週刊朝日)》
週刊朝日イタリア生まれを自称する謎の庶民文化史研究家が、日本にサラリーマンが登場してからの100年を概観。明治から平成にかけての新聞・雑誌記事などを丹念に読み込んだ上で、庶民生活の真相を徹底的に検証している。 週休2日制が、70年代の導入初期には、「ゴロ寝の時間が増えるだけ」といった理由でなかなか受け入れ...
イタリア生まれを自称する謎の庶民文化史研究家が、日本にサラリーマンが登場してからの100年を概観。明治から平成にかけての新聞・雑誌記事などを丹念に読み込んだ上で、庶民生活の真相を徹底的に検証している。 週休2日制が、70年代の導入初期には、「ゴロ寝の時間が増えるだけ」といった理由でなかなか受け入れ...
新聞のコラムニストで川柳の選者もしている毎日新聞客員編集委員が、文章や会話の中でいい言葉が思いつかない人のために、語彙力を鍛える方法を伝授する。55の質問に答える形式で、語彙や表現を増やすヒントを説く。 第1章の「類は言葉を呼ぶ」では、似た言葉の微妙な違いを感じとる。例えば、アイドルグループ「嵐」...
近所のクリーニング店にすら「行こう行こうと思いながら半年そのまま」というくらい出無精な翻訳家による小さな旅のエッセイ集。 何十年ぶりかで、昔暮らした街や、幼い頃に遊んだボート乗り場の場所を探しながら多摩川を歩く。なくなった景色と今もある店。足跡をたどり、過去の記憶と照合していく。 アルファベットが...
世の中には多様な偽物が溢れているが、真贋の境目は存外に曖昧かつ流動的だ。そのことを、本書はさまざまな事例を取り上げながらジャンル横断的に説いてみせる。 ウォーホルのシルクスクリーンの原版を使って別人が新たに刷った作品は、ウォーホル作品と呼べるのか。クオリティの高さからそれ自体が収集の対象となってし...
本好きには、暗がりで本を読む人が多いように思う。自分の領域を守るように、他者の領域を侵さないように。著者もおそらくその一人であろう。暗がりのなかで、読み終えた本についてぽつりぽつりと短い言葉で過不足なく語る。その言葉はとても慎重で、だからこそ信用できる。 本書は、福岡の書店で働く著者による初の書評...
著者自ら首長選の現場を旅して書いた、異色のルポだ。地方の首長選というと無投票による多選のイメージが強い。もし仮に選挙が行われても、現職の再選率が84・2%といわれている。 たずね歩く舞台は、61年ぶりの選挙で話題になった大分県姫島村はじめ、マグロと原発の町や飛び地の村など土の香り漂う七つの町村だ。...
1980年に出版されたエッセイを加筆修正の上、再刊したものだが、図らずもこれが遺作となってしまった。一時代を画した作詩家であり、作家としても活躍したなかにし礼が、実践的な作詩術を披露している。あえて作“詩”と銘打っているのは、“詞”を貶めようとする世...
本のグラフィックデザイナーである著者が、表現の道を切り拓いた16人の偉人たちを紹介した一冊だ。 まず文庫ポケット本の開発をし、本の基本構造を定着させたアルド・マヌーツィオ(1450?~1515)が登場する。彼はイタリア、ヴェネツィアの出版社兼印刷工房の主宰者でもあり、本の革命児だった。ポケット本開...
東京の中心部から約30キロ外側をぐるりと回る国道16号線。横須賀、横浜、町田、八王子、川越、柏、木更津を通る全長約330キロ。チェーン店が並ぶ生活道路の印象がある。しかし、本書の副題をみると「『日本』を創った道」とある。どういうことだろう。 徳川家康が礎を築いた江戸から、徐々に周縁が開け、高度成長...
夫婦とは何だろう?いなくなってみて初めてありがたみに気づくとはよく言われることだ。歌手で、『ぼくは本屋のおやじさん』で知られる著者が、ひと目惚れして学生結婚した妻のことを綴ったエッセイ集だ。 妻に先立たれた男の切ない話だが、呆れと羨望を交えて読めてしまうのは、妻も娘も公認の「恋人」づくりに浮かれて...