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 1月の月評会は、各局入魂の年末年始特番と、スタート直後の帯ドラマや多彩なバラエティ番組、数々の意欲的なドキュメンタリー番組を巡って熱い議論が交わされた。

 ドキュメンタリーのなかで評価を集めたのは、新年早々に放送されたNHKスペシャル「ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」。一人のディレクターが8年間の長期取材により、元保護司のばっちゃんと非行に走った子どもたちとの日常的な交流を丹念に描ききった。またNNNドキュメント'17「空飛ぶ車いす見たことありますか」(山形放送)は、筋ジストロフィーを患う男性がパラグライダーで大空に飛び出し“バリアフリー観光”開発に挑戦する姿を追った未来志向の明るい作品。いずれも取材者と対象者との深い信頼感が読み取れるメッセージ性の強い番組に仕上がっており、ともに月間賞とした。このほかドキュメンタリーではBS1スペシャル「巨匠スコセッシ“沈黙”に挑む~よみがえる遠藤周作の世界~」、報道の日2016「世界を揺るがすテロ~激動のアメリカと日本」(TBSテレビ)なども注目された。

 ドラマでは、火曜ドラマ「カルテット」(TBSテレビ)、シリーズ江戸川乱歩短編集II 妖しい愛の物語 第3回「人間椅子」(NHK・BSプレミアム)、「山田孝之のカンヌ映画祭」、ドラマ24「バイプレイヤーズ」(いずれもテレビ東京)などを評価する声が多かった。劇中に役者が本人役で登場するドキュメントタッチのドラマが話題になるなど、連続ドラマはそれぞれに個性的で今後の展開が期待される。そうしたなかで月間賞に選ばれたのは、新春スペシャルドラマ「富士ファミリー2017」(NHK)。力のある脚本に加え、個性豊かな出演者たちの演技も見ごたえがあり、昨年の同番組からさらにブラッシュアップされたとして高い評価が集まった。

 バラエティ・その他では、クリスマスの夜に生放送されたザ!鉄腕!DASH!!「新宿DASHクリスマス特別編」(日本テレビ)が月間賞に選ばれた。大都会のビルの屋上に畑をつくり、福島の農業の達人から預かった大切な野菜の種を育てるべく、新宿の夜景を背に黙々と土を耕すTOKIOの面々の姿は感動的で、そのメッセージ性が評価された。

 このほか年末年始ということもあって多数のバラエティ番組が月間賞の候補にあがった。このうち「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京)など旅番組の奥深さについて太田委員が、また勢いのある「関ジャム完全燃SHOW」(テレビ朝日)の魅力については藤田委員が、それぞれ私評で取り上げているのでGALACにてお読みいただきたい。(文/小泉世津子)

※『GALAC(ぎゃらく) 4月号』より