日本ジャーナリスト会議(JCJ)が選ぶ2020年のJCJ大賞に共産党機関紙「しんぶん赤旗」日曜版のスクープが選ばれた。安倍晋三前首相が主催する「桜を見る会」に安倍氏の地元後援会員が多数招待されていたというあの報道だ。最近では、日本学術会議の新会員6人の任命が見送られた件をスクープしたのも赤旗だった。

 イメージが上がれば、入党しようと考える人もいる? 『共産党入党宣言』は『隠れ共産党宣言』(18年)という著書もある小松泰信氏(1953年生まれ。岡山大学名誉教授。専門は農業協同組合論)が65歳の定年後、共産党に入党するに至った心境を、小池晃党書記局長らを相手に語った本である。

 入党したのは19年8月。<魂が 今だと叫び 背中蹴る 八月二十日 党籍を得る>という大げさな短歌は「赤旗」日曜版に載って大評判となった。

 学生時代の民青への違和感と組織嫌いとで「共産党は友だち以上、恋人未満」だった。が、入党した理由はわりと適当で<僕はこういうのってタイミングだと思うんですよ>。50代後半までは共産党に投票もしなかった。転機は新しい綱領(20年1月に改定)の農業政策だった。<僕にとっては、ガーンとストレートですよ。そのまんま。もう参りましたというか>

「赤旗」は読みはじめたら中毒になる。<普通の商業紙には載っていないことがちゃんと書かれているわけですよね>

 共産党に対する偏見は根強いが、共産主義社会を目指しているから共闘できないという連合の神津会長には、じゃあ<あなたたちはどんな社会を目指しているんですか>と問いたい。立憲民主党の議員に「共産党!」と野次った安倍前首相に対しては<だから、なんなんだ>。

 政策に共感し、「赤旗」に正しいジャーナリズムの姿を見るという真っ当な感覚。新幹線の中ではわざと「赤旗」を広げて読む。<そうすると、周りは静かになりますよ(爆笑)>

週刊朝日  2020年10月23日号