著者の桃山商事は、清田代表、森田専務、佐藤広報の3人からなる恋バナ収集ユニット。恋愛をとりまく厳しい現実と向き合い、常に危機感を持って努力し続ける二軍選手のメンタリティを持った「二軍男子」を自称している。彼らがこれまでに恋バナ=恋の話を聞いた人の数はおよそ500人。そんな彼らが、鼎談形式で恋愛、結婚、セックスについて語った本書は「恋バナは女性の専売特許」という固定観念を破壊するものだ。
 彼らが大量の恋バナに触れているからといって、本書がスペシャリストによるハウツーものだと思ったら大間違いである。収集した恋バナも、彼ら自身の恋バナも、聞けば聞くほど十人十色で、だからこそ面白い。「個人差を無視して『女』なんてひとくくりにできるわけないし、コンディションもテンションもそのときによって違うんだから、普遍的なテクニックなんてないんじゃないかなあ」という言葉が示すように、本書はアンチ恋愛ハウツー本であると同時に、著者と読者が一緒になって恋愛という複雑怪奇な世界に立ち向かっていく「冒険の書」なのだ。

週刊朝日 2014年4月25日号