新年度が始まり、社会人にとって悩ましいのが健康診断。診断を前に、食事改善や運動に急に取り組む人も見かけるが、100以上の健康法を著者自らの体で徹底的に試してしまったのが本書。
 野菜中心の食事療法を導入し、これまで足を踏み入れたこともなかったスポーツジムでバーベルを持ち上げ、歯磨き時にはデンタルフロスを使用する。このような一般的な健康法はもちろんだが、思わず笑ってしまう取り組みも多い。静寂を保つために遮音性があるヘッドホンを常に装着し、立ったままパソコンを打つ。時には、上半身裸で野原を4つ足で駆ける。素人から見ると奇行に映るものも多いが、著者は馬鹿にせずに科学的根拠をひとつずつ丹念に調べながら実践する。
 世の中に洪水のようにあふれる健康情報から、自分に合致した健康法を取り入れる一助になるのは間違いない。著者が休暇中の肺炎を機に一念発起して2年以上にわたり「世界一健康な男」を目指した結果、どのような境地に達したかは本書を読んでのお楽しみ。

週刊朝日 2013年5月24日号