成年皇族として公務を担う眞子さまと佳子さま (c)朝日新聞社
成年皇族として公務を担う眞子さまと佳子さま (c)朝日新聞社

 もうひとつは、結婚後も女性皇族皇室に残す「女性宮家」議論が「女性・女系天皇」議論につながるという警戒感だ。

 もちろんいまの皇室典範によれば、次世代の皇室において皇位継承権を持つのは男系男子である秋篠宮家の長男、悠仁さまだ。

 新聞社などの世論調査では、今でも女性・女系天皇議論の流れで「愛子天皇」の声が出ることもある。しかし、先の人物がこう嘆く。

「わたしが言わんとしたのは、女性天皇論ではありません。ただ、天皇ご夫妻の長女、愛子さまは今年の12月1日に、20歳の成年を迎えられます。コロナ禍で皇室の公務は激減しオンライン中心ではあるが、成年皇族としての単独公務も増え、ご両親を支える形になるのは間違いありません。そのためにも、現役の皇族としての愛子さまの皇室での環境を整えるべきである、との意見を有識者会議で述べるつもりでした」

 コロナ禍でなければ、誕生日は宮殿行事デビューの日だ。皇居・宮中三殿に参拝し、宮殿では、ティアラなど宝飾品5点とローブデコルテの正装で、天皇陛下から授与された宝冠大綬章をつける。

 また、成年皇族として、新年や天皇誕生日などの一般参賀のお手ふりや晩餐会にも参加するようになる。天皇ご夫妻の長女、愛子さまの成年デビューへの期待は大きい。

 期待の背景には、皇室を取り巻く危機的な状況がある。深刻なのは、皇室の高齢化だ。皇室メンバーは現在18方。98歳で最高齢の三笠宮百合子さまを筆頭に、80代の上皇ご夫妻と常陸宮ご夫妻、60代の高円宮妃久子さまと寛仁親王妃信子さま、天皇陛下が続く。

 そばで天皇を支える皇后雅子さま秋篠宮ご夫妻も、すでに50代。

 次世代を担う若い未婚の皇族は7方だが、皇位継承権を持つ男性皇族は悠仁さまのみで、6方の女性皇族は結婚と同時に皇籍を離れる。

 将来、悠仁さまが天皇となったときに、「皇居には、天皇陛下がただおひとり」などという事態は回避しなければならない。

次のページ
ご両親を支えた紀宮さまという内親王の存在感