トライアスロンでスポーツ写真の新しい表現を開拓したい 写真家・泉悟朗 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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トライアスロンでスポーツ写真の新しい表現を開拓したい 写真家・泉悟朗

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レースの終盤、心身ともに限界の域に近づく。決してあきらめない強靭な精神力が幾多の名勝負を生んできた■キヤノンEOS-1DX MarkII・EF100-400mm f4.5-5.6L IS II USM・ISO500・絞りf5.6・1/2000秒(撮影:泉悟朗)

レースの終盤、心身ともに限界の域に近づく。決してあきらめない強靭な精神力が幾多の名勝負を生んできた■キヤノンEOS-1DX MarkII・EF100-400mm f4.5-5.6L IS II USM・ISO500・絞りf5.6・1/2000秒(撮影:泉悟朗)

 写真家・泉悟朗さんの作品展「PASSION/情熱」が11月5日から東京・銀座のキヤノンギャラリー銀座で開催される(大阪は12月10日~12月16日)。泉さんに話を聞いた。

【写真】作品の続きはこちら

 泉さんが追い続けるトライアスロンは、水泳(スイム)、自転車(バイク)、ランニング(ラン)の3種目を一人の選手が連続して行う競技である。

 なかでも今回の作品に写しとられた「世界トライアスロンシリーズ(WTS)」は最高峰の大会だ。各国を代表するトライアスリートたちは世界各地で開催される大会を転戦しながらポイント獲得を競い、グランドファイナルを目指す(写真展ではアブダビ、ゴールドコースト、横浜大会の作品を展示する)。

 トライアスロンにはさまざまな距離設定がある。そのうちもっともポピュラーなのが「オリンピックディスタンス」と呼ばれるもので、スイム1.5キロ、バイク40キロ、ラン10キロの計51.5キロのタイムを競う。WTSもこれを採用している。

 2016年、泉さんはトライアスロンを写した作品の第一弾として「BEATING/鼓動」を発表。チャンピオン争いにかけるアスリートたちの戦いとらえた。第二弾となる今回の「PASSION/情熱」ではよりアスリートたちの人間模様に迫っている。単に勝者への道を追うのではなく、そこにいたる努力の過程をクローズアップする。
母国のヒロインの勝利に観衆たちは、酔いしれ、惜しみない拍手と大歓声がグランドスタンンドに響き渡る■キヤノンEOS-1DX MarkII・EF8-15mm f4L FISHEYE USM・ISO1000・絞りf4・1/1600秒(撮影:泉悟朗)

母国のヒロインの勝利に観衆たちは、酔いしれ、惜しみない拍手と大歓声がグランドスタンンドに響き渡る■キヤノンEOS-1DX MarkII・EF8-15mm f4L FISHEYE USM・ISO1000・絞りf4・1/1600秒(撮影:泉悟朗)

逆光や斜光。報道用の写真とは正反対の光を求める

 以前はさまざまなスポーツの写してきた泉さんがトライアスロンに特化して撮り始めたきっかけは05年、自宅に近い愛知県蒲郡市でWTSの大会が開催されたことだった。

「そのときにたまたま取材に行きまして。世界最高峰のトライアスロンレースを初めて間近で撮影して、これはかなり魅力のある世界だなと、直感したんです」

 そこに写真家としての可能性を思い切り試せる「豊富な撮影素材」を感じたのだった。

 先に、トライアスロンにはさまざまな距離設定のレースがあると書いた。例えば、ハワイで行われる「アイアンマン世界選手権大会」の場合、スイム3.8キロ、バイク180.2キロ、ラン42.2キロ、計226.2キロのもの距離がある。

「アイアンマンは選手がスタートしたらまったく別の場所にあるゴール地点を目指すんです。だから、シャッターチャンスは基本的に1回しかない。待ち構えていたポイントでうまく撮れなければ、また来年、ということになってしまう(公道を封鎖しているので移動手段はほとんどない)」

 一方、WTSの場合、水辺のある街中に特設会場が設けられ、その周回コース内で撮影する。そのため、「1周目で見切って、2、3周目で作品をつくり上げていくことが可能なんです。それがオリンピックディスタンスを採用するWTSの最大の魅力で、シャッターチャンスを存分に生かせる」。

 ちなみに、いわゆるプレス(報道)用のスポーツ写真では、選手の顔がしっかりと見え、ゼッケンが写ったものが求められる。そのため、光は被写体をまんべんなく照らす順光が最適となる。

 しかし、泉さんが求めるのは「逆光とか斜光とか、プレス用の写真とは正反対の光」と言う。

「逆光で絵になるとか、もう、この瞬間、ここで撮らないとダメ、というところを狙っています」


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