前面写真からは外観デザインに大きな変更は見られないが、側面の各種インターフェースは位置の変更やカバーが細分化されたこと、ヘッドホン出力端子の追加が確認できた
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前面写真からは外観デザインに大きな変更は見られないが、側面の各種インターフェースは位置の変更やカバーが細分化されたこと、ヘッドホン出力端子の追加が確認できた

 キヤノンが一眼レフEOSの新フラッグシップEOS-1D X MarkIIIの開発を発表し、2020年東京五輪でのシェア争奪戦に強力な刺客を送り込む。前モデルから4年を経て放たれるプロ機の進化はいかに!?『アサヒカメラ』2019年12月号のレポートをいち早く紹介する。

【同時に開発を発表。ワイヤレスファイルトランスミッターの写真はこちら】

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■最高約16コマ/秒連射、新AFの最新フラッグシップ機

 開発発表ということもあり、EOS‐1D X Mark IIIに関して公式発表された内容はわずかで、発売予定日や価格も含め謎な部分が多いが、現時点の情報をもとに推測も交えて考察をしてみたい。

 心臓部分の撮像素子は新開発CMOSセンサー及び映像エンジンとだけ明かされた。高感度特性などは「従来を上回る」と表現されている。想像するに画素数は有効約2020万画素のままか、微増にとどまると見るのが自然だろう。一方で、HEIFでの記録に対応する。iPhoneでも採用されている記録形式で、JPEG形式よりも広いダイナミックレンジと色再現が表現可能なファイル形式での10ビットの静止画撮影が可能となるなど、新たな試みも導入されている。

 連写性能はAF/AE追従で光学ファインダー撮影時は最高約16コマ/秒、ライブビュー撮影時で最高約20コマ/秒と共に向上し、RAWファイル記録でも連続撮影可能枚数は従来比5倍以上と飛躍的に増加。またAFセンサーの中央画素部分を従来比約28倍にして新開発。ディープラーニング技術(機械学習)で被写体追尾性能を高め安定性も向上させている。ライブビュー撮影での測距エリアおよび自動選択時の分割測距点も最大525に増大。動体撮影が主のスポーツ競技などでライブビュー撮影時の高速・高精度のAF測距のレスポンスがどの程度通用するのか興味をそそる。

 動画撮影機能も強化された。従来どおり4K/60pでの記録に加えてCanon LogやRAWでの記録も可能になった。となれば連写にしろ、動画にしろ大容量データの記録性能が重要になるが、記録媒体はCFexpressのダブルスロットに変更された。

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従来機と共通のバッテリーで撮影可能枚数を増加