![工場を案内してくれた内山利男ゼネラルマネジャー。クリーンルーム内は筆者も含め全員この格好だった(撮影/柴田 誠)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/0/d/610mw/img_0d3e79361d8bfc297bf248caef92f42d64325.jpg)
エアシャワーを浴びてクリーンルームに入ると、いよいよGRIIIの製造現場だ。頭まですっぽりと覆った作業着とマスクをしているので、性別の判別は難しいが、女性が多そうだというのはわかった。
■組み立てては繰り返される検査
GRIIIの製造は、大まかにいうと鏡筒ユニット(レンズ部)と、防振ユニット(センサー部)をそれぞれ組み立て、本体に組み込んでいくという流れだ。どこかがボトルネックとなって作業が停滞することのないように、必要になる場所のすぐ脇で必要な部品を組み立てる体制を取っている。
![鏡筒ユニットの取り付け作業。細かな作業は女性のほうが得意とのこと(撮影/柴田 誠)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/840mw/img_14a008c76cff0df675558945bb214390133587.jpg)
組み立て工場というと、一本の長いベルトコンベヤーの両側にズラリと並んで作業しているところをイメージしがちだが、GRIIIの場合は複数のユニット工程と本体ラインが合成された構造のラインになっているのが大きな特徴で、こぢんまりした印象を受けた。
ベルトコンベヤーを使わないため、ユニットを専用のボックスに入れて、主に隣の机で作業される次の工程に送るシステムが取られている。確実に手渡しするようなものだ。
この工場は、前述したようにレンズ加工工場であり、645シリーズやKシリーズの一眼レフ用、さらには360度カメラのシータや双眼鏡用といったものまで、サイズや種類の違うさまざまなレンズの加工を扱っている。
特にペンタックスブランドの交換レンズは多品種少ロット生産が求められることから、生産ラインは流動的である必要がある。そのため個々の設備をのせた作業台にはタイヤが付いていて、必要な位置に必要な台数を設置できるようになっている。別の場所で必要な器具や装置を作業台にセットしておき、必要に応じて入れ替えたり、増減させたりしているそうだ。
![一見すると同じ作業をしているように見えるが、それぞれが異なる作業をしている。作 業台の向きにも意味がある。一人ひとりの作業台には基本的に壁がなく、見通しをよくしている(撮影/柴田 誠)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/b/840mw/img_ab83c5c62807300fe2afaf5767736682125668.jpg)
実際の組み立てでは、工程の随所に検査・点検の項目が設けられている。ある段階ごとに検査・点検が行われ、そこをパスしないと次の工程に送られない仕組みになっている。単に不良の部品をはじくという目的だけでなく、調整して部品同士のマッチングを図ることもできるといったメリットもある。
レンズ組み立て(アセンブリー)は、レンズの前群と後群のパーツのペア検査からスタートする。ここは画質にも影響する重要な部材。ペア検査で調芯(芯出し、中心を見極めること)をして、最適になるもの同士で組み合わせるのだ。現在、調整作業は自動化されており、新人の作業者でもできるそうだが、手元を見ていると、流れるようにスムーズな動きで無駄がない。
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