※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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子どもの矯正歯科治療の期間は数年に及ぶため、「継続するのがたいへん」という声も聞かれます。また、歯並びが改善されたあとも、逆戻りさせないための治療が必要に。歯にとって悪い「癖」を直すことも忘れてはいけません。整った歯列をどうすれば美しく保つことができるのか、子どもの矯正歯科治療を多く手がける歯科医師に聞きました。この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「子どもの矯正歯科治療」全3回の3回目です。

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■「1期治療」はあごの骨の不調和を治し、2期治療を容易にする

 子どもの矯正歯科治療では、保護者から歯科医師に「いつまで通院するのでしょうか」「いつまで矯正装置をつけていないといけないのでしょうか」という質問が多く寄せられるといいます。

 永久歯が生えそろう12歳ごろまでにおこなわれる矯正歯科治療を「1期治療(早期治療)」といいます。7~9歳で始めることが多く、上下のあごの骨の不調和を治し、正しい成長パターンに近づけます。さらに、そのあとに続く「2期治療」(後述)を容易にする目的もあります。

 ケース・バイ・ケースですが、2年からそれ以上の期間が必要と考えておきましょう。軽度な歯並びの異常(不正咬合[こうごう])であれば、1期で治療が完了することもあります。

■「2期治療」は機能維持、歯を残すなどを目指す

 一方、永久歯が生えそろってからも経過観察をおこない、必要時には矯正治療を続けるものを「2期治療(本格治療)」と呼びます。大人の矯正歯科治療のように、噛む機能を保つ、ケアをしやすくして生涯歯を残す、滑舌をよくする、審美的な効果などを目的としています。2期治療を受ける場合には、さらに数年、治療期間が延びます。

 また、あごや顔面の骨格の成長は人それぞれに異なり、15歳を過ぎても下あごが伸びるようなケースもあります。この場合は、2期治療が終わってからも顎矯正手術を併用する矯正歯科治療が必要になります。

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矯正治療を中断すると歯並びがさらに悪化する