ウイングバックは攻守において重要な役割を担う。右の清水梨紗(ウェストハム)は不動の存在。無尽蔵のスタミナで上下動しながら高い技術と戦術眼を発揮する。左には、優れたテクニックを持ち、2016年のU-20W杯ではMVPに選出された26歳の杉田妃和(ポートランド・ソーンズ)、もしくは抜群のスピードとアジリティを持つ22歳のドリブラー・遠藤純(エンジェルシティ)が入ることが多い。ともに最後の“崩し”の部分での働きを期待されており、この左サイドがどれだけ高い位置でボールを保持し、攻撃の起点となれるかが、システム上の大きなポイントになる。

 中盤はボランチ2人。チームの要として、長谷川唯(マンチェスター・シティ)が多彩なテクニックと豊富な運動量で動き回りながら、鋭いドリブルとパスで相手を撹乱。同じく長野風花(リバプール)も技術と運動量の優れた総合力の高い選手であり、ともに欧州の名門クラブで経験を積んでいる点も非常に頼もしい。さらに精度の高いキックでプレスキッカーとしても期待できる29歳の猶本光(三菱重工浦和レッズ)、U-20W杯優勝にも貢献した24歳の林穂之香(ウェストハム)らが控えている。長谷川は一つ前の2シャドーの位置でもプレー可能であり、中盤のバリエーションは豊富だ。

 前線は1トップ2シャドーを採用。優れた技術とスピードで狭いスペースでも仕事ができる19歳の藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、センス抜群の23歳・宮澤ひなた(マイナビ仙台)と若い2人が2シャドーのレギュラー候補。現チームで最も経験豊富な30歳の岩渕真奈(トッテナム)は切り札として、後半の勝負の時間帯から起用される形になりそうだ。そして1トップは、23歳の植木理子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)が軸。29歳となった田中美南(INAC神戸)もいるが、2018年のU-20W杯で5得点を奪って優勝の原動力となった植木が、新エースとして大舞台で能力を発揮できるかどうか。若き点取り屋の爆発が、上位進出のためには求められる。

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W杯では勝てるのか