カップル結成3季目を終えた“かなだい”
カップル結成3季目を終えた“かなだい”

 今季最後の試合となる、世界フィギュアスケート国別対抗戦。14日に行われたアイスダンス・フリーダンスで、村元哉中と高橋大輔は大きな拍手と歓声を受けながら『オペラ座の怪人』を滑り始めた。美しいポジションのリフトを連続でみせると、東京体育館を埋めた観客がどよめく。3月の世界選手権での会心の演技から自信を得たのか、2人の滑りには余裕があった。村元はクリスティーヌに、高橋はファントムになり切って演じるプログラムはエモーショナルで、観客を2人の世界に引き込んでいる。

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 演技を終えた村元は、仮面を取りさるようなポーズをみせた。この仕草は、シングル時代に高橋が演じた『オペラ座の怪人』のラストポーズへのオマージュだという。

 16年前、今大会と同じ東京体育館で行われた2007年世界選手権で、高橋はフリー『オペラ座の怪人』を滑り、男子シングルの銀メダルを獲得している。フリーダンス後のミックスゾーンでそのことにふれた高橋は、「絶対的にいい思い出にしたいという思いが強かった」と口にした。

「今回哉中ちゃんと2人で、アイスダンサーとして『オペラ座の怪人』を演技したのですけれども、本当に自分にとっては最高の思い出になる演技ができて、すごくよかった」「僕にとっては思い入れのあるこの場所で、自分たちにとって最高の演技ができたのは、すごく嬉しいなと思います。『ここに来るために今シーズンやっていたのかな』みたいに感じちゃおうかな(笑)」(高橋)

 村元は、ファントムの助力によって輝くことができたクリスティーヌに、高橋と組んだことでアイスダンサーとして氷上に戻ってこられた自らを重ねているのだという。村元は、高橋の『オペラ座の怪人』を観てからフリーに臨んでいた。

「すごく観たくなったので、観た中での今回のフリーだったのですが……あれから16年経って『すごいな』って、いろいろ感動していました。本当に幸せな4分間でした」(村元)

 さらに、2人にとって大きな意味を持つ『オペラ座の怪人』はもう一つある。師事するマリーナ・ズエワコーチが育てたメリル・デイビス&チャーリー・ホワイト(アメリカ、2014年ソチ五輪金メダリスト)が、2009-2010シーズンに滑ったフリーダンスだ。ズエワコーチが今季のフリーダンスに『オペラ座の怪人』を推した時、二人が思い起こしたのは彼らのプログラムだった。

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『続けるよね』みたいなことを…