岸田文雄首相を狙ったとみられる爆破事件。和歌山県警は、現場で取り押さえられた兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)を、威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕した。岸田首相にけがはなかったが、木村容疑者は、さらに別の爆発物とみられる筒を持っていたという。その場で木村容疑者を取り押さえた漁師の男性に、そのときの様子を聞いた。
岸田首相の近くに投げ込まれた銀色の筒は岸田首相には当たらず、地面に落ちた。その瞬間、SPたちが岸田首相に駆け寄った。
そして、岸田首相の演説を聴こうと集まっていた聴衆の真ん中付近で、木村容疑者に聴衆やSPたちが覆いかぶさっていた。
すぐ近くにいて、木村容疑者を取り押さえた漁師の男性は、
「リュックを背負った男がなんか、火をつけているのが見えて、それを投げつけたんです。おかしい、なんやと思って男に飛びついたんです。すぐさま、ほかの漁師らも男めがけて飛びついて羽交い締めにした。SPが男を地面に倒して、私の上にSPが覆いかぶさって、その下に犯人の男です。だから『この人やない』という言葉が現場で聞こえていたのです」
と当時の様子を振り返った。そのときの男の様子については、こう話した。
「最初、男は手、足をばたつかせて抵抗していたようでしたが、私が背中から男に覆いかぶさるようになって(抵抗を)止めたようになりました。男はなにも言葉を発していなかったように思います」
他のSPも駆けつけてきたため、漁師の男性はその場を離れようとした。
「そのときもうひとつ、銀色の筒が落ちていて、SPが『危ないから逃げて!』と大声で叫びました。あそこで爆発していたら大変なことになった。もう一本の爆発物は、犯人の足を抱えて動けなくしているときにリュックから落ちたのか、2本を握っていたのかで、男を取り押さえたところから1、2mくらいのところに落ちていました。そんなときに爆発があって警官が『逃げろ』と大声で叫び、あたりはパニックでした」