92年のバルセロナ五輪から野球が正式種目になると、キューバはバルセロナと96年のアトランタ五輪で2大会連続の金メダルを獲得。アトランタ五輪決勝では、初回にリナレスとキンデランが日本のエース・杉浦正則に連続弾を浴びせるなど、8本塁打を記録し、13対9とパワーで圧倒した。その後、08年の北京五輪までの5大会で金3、銀2の好成績を残し、“赤い稲妻”と恐れられたのは、ご存じのとおりだ。

 だが、国際大会で無敵を誇ったキューバも、2000年代以降、主力選手が活躍の場とより多くの報酬を求めて国外に亡命する例があとを絶たず、低迷期に突入する。

 古豪復活のカギは、今回のWBCでも見られたように亡命した有力選手たちを招集し、真の最強チームを構成できるかどうかにかかっている。

 メジャーで活躍中のキューバ出身選手も多いだけに、このまま“プロ解禁”が進めば、赤い稲妻復活の日も、さほど遠くないかもしれない。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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