昨シーズン途中にオリックスから中日に移籍した後藤駿太(写真提供・中日ドラゴンズ)
昨シーズン途中にオリックスから中日に移籍した後藤駿太(写真提供・中日ドラゴンズ)

 プロ野球のシーズン開幕後に行われるトレードは、適材適所で戦力を補強する緊急のものがほとんどだ。過去には成功例もあるが、昨季には3件、6選手が絡むトレードが成立したものの、移籍先のチームにインパクトをもたらすものはなかった。

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 昨年には7月9日に後藤駿太(外野手/オリックス中日)と石岡諒太(内野手/中日→オリックス)、7月29日に山本大貴(投手/ロッテヤクルト)と坂本光士郎(投手/ヤクルト→ロッテ)、同日に森原康平(投手/楽天→DeNA)と伊藤裕季也(内野手/DeNA→楽天)の3件のトレードが成立した。

「実力ある野手同士が環境を変えるために敢行したと見られるオリックスと中日。投手のバランスを考えたロッテとヤクルト。打てる内野手が欲しい楽天と球威ある右腕を探していたDeNA。それぞれ悪いトレードではなかったが、各選手が移籍先で実力を発揮できなかった」(在京球団編成担当)

 だが、今季は戦力になりそうな選手もいる。特に楽天に加入した伊藤はブレイクの兆しを見せている。オープン戦で結果を残して開幕スタメンを勝ち取ると、日本ハムの新球場エスコンフィールドのこけら落としとなる試合で、記念すべき第1号本塁打を放った。石井一久監督はトレード時に「まだ完成されていなくて、違う環境にいけば何かチャンスを得る選手だと思う」と語った通り、移籍先で飛躍する予感を漂わせている。

「体も大きくパワーがあり長打が打てる。不安な内野守備をカバーするだけの打力が求められたが、(DeNAでは)そこまでは到達しなかった。同じポジションの牧秀悟が入団し、打撃で結果を残したので押し出されるような形となった。チーム事情もあるが、打撃で結果を出せばレギュラー奪取も可能なはず」(DeNA関係者)

「いきなり本塁打という結果を出したのは素晴らしい。オープン戦では文句なしの成績を残し、開幕を目前に三塁での起用も試された。二塁には浅村栄斗という不動の四番がいるが、コンディションに合わせ同ポジションでも使える。DHもあるので今季は大チャンス」(楽天担当記者)

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