巨人・小林誠司
巨人・小林誠司

 昨シーズン4位からの巻き返しを図る巨人。優勝を逃したら大型補強を敢行するというのがこれまでの定番だったが、このオフは新外国人選手とドラフト以外は目立った動きはなく、現有戦力の底上げが重要になりそうだ。若手の底上げ、抜擢があるということはその一方で実績のある選手がはじき出される可能性があるということでもある。

【写真】2022年は期待外れだった巨人の選手がこちら

 先日も中島宏之、長野久義、松田宣浩のベテラン3人に対して揃って一軍に置くことはないという首脳陣の方針が報じられており、またここ数年コンディション不良で離脱することが多い坂本勇人に対しても原辰徳監督からレギュラーの確約はないというコメントも出ている。

 そんな中で注目されるポジションの一つがキャッチャーだ。2018年オフには炭谷銀仁朗をフリーエージェント(以下FA)で獲得したが、正捕手獲得には至らずに2021年シーズン途中に金銭トレードで楽天へ移籍。ここ数年は大城卓三が着実に成績を伸ばし、ワールドベースボールクラシック(以下WBC)の侍ジャパンにも選出されるまでになっている。今年も大城が捕手の中心となることは間違いないが、長いシーズンを考えると2番手の捕手も非常に重要になってくるだろう。

 そこで気になるのがかつての正捕手である小林誠司の処遇だ。2016年からは3年連続で100試合以上に出場し、2017年のWBCでは正捕手としても活躍している。しかし2019年に原監督が就任すると出場試合数が減少。2020年には死球による骨折での長期離脱もあってわずか10試合の出場に終わり、それ以降の2年間もほぼ守備固めでの起用にとどまり、年々その存在感は薄れている印象は否めない。

 では大城に次ぐ第2捕手として小林以外に有力な選手はいるのだろうか。筆頭に挙げられるのが6年目の岸田行倫だ。2017年のドラフトで大城より上の2位指名で入団。これまでの5年間で90試合の出場にとどまってはいるが、炭谷が楽天に移籍した後は多くの期間を一軍で過ごしており、徐々に存在感を示しつつある。

 正確で速いスローイングは高校時代から定評があり、一軍でもこれまで16回企画された盗塁のうち9回を刺しているというのは見事だ。打撃に関しても大城のような長打力はないものの、二軍では常に3割前後の打率をマークしており、小林と比べても上回っているように見える。大城が不調や故障に見舞われた際には岸田がその穴を埋める一番手となる可能性は高いだろう。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
若手には“楽しみ”な存在がズラリ