一方、松田は2005年のドラフト希望枠でソフトバンクに入団し、17年間にわたり中心選手として活躍。安定感の高い三塁守備は球界屈指との評価があり、2000安打まで残り169本に迫っている勝負強い打撃も持ち味だ。グラウンドでは常に大きな声を出すムードメーカーとして知られ、本塁打後にファンとともに叫ぶ「熱男」が人気だ。

 長野は今年で39歳、松田は40歳となることから戦力的には多くは期待できないが、それでも2人の補強は数字だけでは計れない部分も多い。

「時代なのかもしれないが、今は控え目な選手が多い。巨人では主軸の坂本勇人岡本和真らも率先して話しかけたり声を出すタイプではない。周囲への細かな気遣いができる長野、前面に立ちチームを牽引できる松田。2人の加入でムードは良くなり、まとまりが強まっているのは間違いない」(巨人関係者)

「チーム内では、それぞれの役割がある。プロ入りする選手は、アマチュア時代はお山の大将だったはず。誰もがそのままではチームは1つにならないし、選手としても成長しない。長野、松田が身近にいることで適材適所の本当の意味を知って欲しい」(巨人OB)

 ベテランに対して選手枠を2つ使うことには批判的な声もあったが、2人に求められている部分は違う部分もある。“気遣い”の長野、“元気印”の松田が加わることは想像以上に大きいはずだ。

 他球団を見ても影響力あるベテラン選手が、チーム内で良い化学反応を起こしているケースも目立つ。

 かつてヤクルトの主力だった青木宣親はメジャーリーグでプレー後、2018年に古巣に復帰。勝利のための献身性は必要不可欠な力となっており、2年連続でリーグを制覇したチームの中で果たした役割は決して小さくない。

「渡米前は孤高のバットマンという感じで、自らの打撃だけに集中している部分もあった。しかし帰国後はフォア・ザ・チームに徹し、犠打や進塁打も率先して打つようになった。常に周囲を気にかけ、若手選手にも気兼ねなく話かけている」(ヤクルト関係者)

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巨人にとって大きい2人の存在