「佐藤は新人から2年連続20本塁打以上を放ちましたが、ポテンシャルの半分も出し切れていない。差し込まれた打球が目立ちました。手元まで引き付ける打ち方は決して悪くないですが、佐藤の場合は引きつけすぎて打つポイントが身体に近すぎるため、力がバットに伝わり切れていない。差し込まれた打球が目立っていました。ポイントを前にするぐらいがちょうどよい打ち方になると思います。走り打ちの練習もそうですが、岡田監督は野球評論家として阪神の試合を見てきてチーム、個々の選手の課題、改善点を明確に捉えている。アレに向けての道筋は見えていると思います」

 2005年以来優勝から遠ざかっているが、決して弱いチームではない。最近10年間でAクラスが8度。勝ち切れずに頂点に立てなかったのは、攻守でツメの甘さが要因だった。18年から5年連続リーグワーストの失策を記録し、攻撃も個々の能力に依存した野球で工夫が見られなかった。走り打ち、佐藤の打撃フォーム改造、さらに侍ジャパンに選出された遊撃の中野を二塁にコンバートし、遊撃に守備能力が高い小幡、木浪聖也を競わせるのは驚きの改革ではなく、指揮官にとっては勝つために必要な作業と捉えているのだろう。

 今年のスローガンは「A.R.E.(エー・アール・イー)」。Aは「Aim!」、Rは「Respect!」、Eは「Empower!」の頭文字を組み合わせたもので、別の読み方は最終目標の「アレ」となる。数々の意識改革で、阪神がどう生まれ変わるか。(今川秀悟)