学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、教育やキャリアのことなど、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、「やりたいことが見つからない」という悩みをぶつけてみた。講演会などでもよく聞かれるという、この悩み。廣津留さんも最初から「音楽」だけと決めていたわけではなかったそうで……。

【写真】当時最年少でコンサート出演した、14歳の廣津留さんはこちら。

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Q.「好きなことを仕事にする」生き方に憧れがあります。でも、好きなこと、やりたいことがわかりません。どうすれば見つけられますか?

A. このお悩み、講演などでもよく聞かれるんです。たいてい親御さんから「うちの子、やりたいことが見つからないんです。どうしたら……」と言われるんですけど、よくよく聞いてみるとお子さんはまだ小学生だったりすることもあります。社会人になって歳を重ねてくると、この悩みの重みも変わってはくるんでしょうけど、学生の間はまだ焦ることはないかなと。 

 そもそも「やりたいこと」って見つけるものなのかなぁと思ってしまいます。「やりたいこと」で稼げている人って一体何%いるんでしょうか。「やりたいこと」を見つけるために何かするというよりも、とりあえず興味のあることをいろいろやってみる。そうしたら何か好きになるかもしれない。そういうマインドが大事なんじゃないかな。日本の終身雇用制度が成り立たなくなりつつあるといわれるなか、いまだに就職したらずっとその仕事を続けるものと思い込んでいる人が多い気がします。だから、新卒の就職活動の時に、一生の決断をしてしまっていいのかって悩みがち。自分にちょっとプレッシャーをかけすぎているかも……。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、成蹊大学客員講師・国際教養大学特任准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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