「大学入学時はバイオリニストになろうとは思っていなかったんです」と廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)
「大学入学時はバイオリニストになろうとは思っていなかったんです」と廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)

 だって、「やりたいこと」って後から変えたって全然いいんですよ。ちょっとでも興味のあることが「やりたいこと」なのか、そうではないのかって、やっぱりトライしてみないとわからないですから。「一度決めたら一生それで確定!」みたいな考え方をやめて、まずは試してみては? 合わなかったら次を試せばいいですし。自分に合うのか合わないのかを見極めていけば、自ずと「やりたいこと」は絞られてくると思いますよ。

Q. 廣津留さんは、どうやって音楽をやっていこうと決めたんですか?

A. アメリカの大学のリベラルアーツ教育に助けられた部分は大きいですね。文系理系の区別なく、生物、経済に芸術などさまざまな分野を学びつつ、専門性も深めていく。私、ハーバード大では本当に専攻を何回も変えているんです。いろんな教科を試して、「あ、応用数学はダメだったな。じゃあ、違うものをやってみよう」っていうのを4年間ずっとやり続けて、自分が好きなもの、得意なものを選んでいったら、結局私は音楽だわって。大学入学時はバイオリニストになろうとは全く思っていなかったのですが、そうやっていろんなことにトライし続けると、自分のことなのに自分でも知らなかった発見もできるんですよね。自分の可能性を試す選択肢に幅があるのは、アメリカの大学のいいところだなと思います。

 とはいえ、個人的にはいろいろ試すにしても突然飛び込むようなことは絶対にしません。私は試してみる前にかなり入念に調べるタイプ。仕事だったら実際にどういうことをする仕事なのか、まずは既にやっている人の事例を調べますね。例えば、「モデルをやってみようかな」と思ったら、モデル経験者に話を聞いたり、今だったらYouTubeでモデルさんの一日のルーティン動画とかを見たりできますよね。具体的にイメージしやすいように、ロールモデルを探すこともおすすめです。自分には合わない、とすぐに諦めてしまわないように、まずは準備してから自分に合うかを試すのもポイントかもしれないですね。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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