投手陣再建が急務のチーム事情から、新監督には巨人など4球団で投手コーチとして手腕を発揮した尾花高夫氏に白羽の矢が立てられた。

「やるからには頂点を目指す。今季のチーム防御率4.36を3点台前半に引き下げる」と投手陣の底上げを目標に掲げた尾花監督だったが、1年目はチーム防御率4.88と投壊に泣き、3年連続90敗以上(48勝95敗1分)で3年連続最下位。オフには、内川がソフトバンクFA移籍した。「僕自身は出ていく喜びを感じられますけど」という当時の内川のコメントは、まさに“出ていきたい球団”に対する痛烈な捨て台詞だった。

 内川流出で戦力ダウンした翌11年は、開幕前の予想どおり、4年連続最下位。オフには村田が「村田が抜けて良かったと思われるチームになってほしい」の言葉を残して巨人にFA移籍。10年間で最下位8度と球団経営能力に疑問が呈されたTBSも、同年限りでDeNAに球団を売却し、横浜ベイスターズ時代は終わりを告げた。

 1年目は最下位に終わったDeNAだが、16年にCS初進出をはたすと、低迷期から脱却。今季は6年ぶりの日本シリーズ出場も期待される。

 長い冬の時代を耐え忍んだベイファンにとっては、「もうあの時代には2度と戻りたくない」が本音だろう。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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