■三笘薫(英プレミアリーグ/ブライトン)

 堂安と同じく、カタール・ワールドカップ最大のゲームチェンジャーであった三笘薫。その圧倒的なドリブル技術は、あの辛口でおなじみの元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノにも「俺がチームの会長なら真っ先に獲得しに行くね」とまで言わしめている。さらにワールドカップ後には得点能力も光っており、リーグ戦4試合で2ゴールと絶好調だ。日本やブライトンだけでなく、イングランド大手メディアも連日話題にするほど“時の人”となっている。

 そんな25歳ウインガーだが、ロベルト・デ・ゼルビ監督の下で真価を発揮し始めたばかり。一部ではミハイロ・ムドリク獲得交渉が難航するアーセナルのオプションとしても紹介されたが、現実的ではないだろう。しかしアーセナルOBポール・マーソンが「今やっていることを継続することができれば、夏にたくさんのクラブが獲得を狙うと思う」と話している通り、これから4カ月間のプレー次第では移籍市場でも注目の的となることは間違いない。

 さらにブライトンは、スポーツベッティングなどで財を成したトニー・ブルーム会長の下、統計学をベースにした独自のスカウティングで無名選手を発掘し、市場価値の高まった段階で売却して利益を得ていくシステムが確立されている。現在の調子を維持することができれば、来夏の移籍市場で価値が倍以上になっていてもおかしくはない(現在は850万ユーロ:約12億円)。またクラブ側が「売り時」と判断した場合、早い段階で移籍市場に出る可能性もある。

 その圧倒的な資金力で「スーパーリーグ化」が進む現在のプレミアリーグ。上位~下位クラブまで世界トップ・オブ・トップの選手が揃っているが、そんな舞台で驚異的な一対一の強さを発揮できるということは、どんなリーグでも活躍できるということ。さらに三笘はドリブルに固執しすぎず、味方を使う動きやフリーランの質もデ・ゼルビ指揮下で日に日に向上しており、対策が難しいアタッカーへと進化してきている。日本が世界に誇るウインガーがチャンピオンズリーグの舞台で相手守備陣を切り裂いていく……そんな姿が来季見られる可能性も低くはないだろう。

(文・三上凌平)