2022年の箱根駅伝。右端に初出場した駿河台大の選手(写真:松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会)
2022年の箱根駅伝。右端に初出場した駿河台大の選手(写真:松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会)

 箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)には、関東学生連合というチームが参加する。同チームは79回大会(2003年)で「関東学連選抜チーム」として初めて出場した。箱根駅伝に出場できなかった大学において個人で好成績をおさめた選手に出場機会を作るためだったが、関東学連選抜チームは順位がつかないオープン参加として箱根を走った。83回(07年)から89回(13年)までは正式参加となってチーム順位がつく。

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 しかし、91回(15年)から関東学生連合と名称を変えてオープン参加に戻って、順位がつかなくなり、今日に至っている。

 関東学生連合はなかなか興味深い。

 エントリー選手の所属校には惜しくも予選を通過できなかった、日本大、亜細亜大、拓殖大といった顔ぶれが並ぶ。

 一方で箱根駅伝に出場したことがない、あるいはしばらく出場しなかった、箱根とはなじみがない大学と遭遇できる。これは楽しい。

 関東学生連合のエントリー選手の所属校で、箱根駅伝未出場大学には日本薬科大、育英大、芝浦工業大、桜美林大、明治学院大、麗澤大、流通経済大などがある。これらはいずれも大学をあげて箱根駅伝出場を目指している。

■新設の大学で箱根出場選手を出したのは

 日本薬科大からは17年(93回)に初めて関東学生連合に選手を送り出した。このとき、薬学の業界誌が「薬科大学初の箱根駅伝ランナーとして初めて駆けた夢の舞台」(「薬事日報メールニュース」17年3月1日)と伝えた。

 19年3月、東京マラソンで同大学4年のサイモン・カリウキが4位、2年連続で学生ランナー中のトップとなったことで同大学は注目された。日本薬科大陸上競技部を率いる監督の中田盛之さんは日本体育大出身で、箱根駅伝のランナーだった。

 育英大は18年開学当時から駅伝に力を入れ、陸上競技部を「強化指定クラブ」とした。「陸上競技部では特に男子駅伝部の強化を行い2024年箱根駅伝第100回記念大会への出場を目指します」(大学ウェブサイト)。開学3年目の20年(96回)に2年生ランナーが関東学生連合として箱根を走っている。新設の大学としてもっとも短い期間で箱根駅伝出場選手を出したのではないだろうか。22年度のスローガンは、「不屈のドクターイエロー ~からっ風を箱根路に~」。黄色いユニホームで予選会に挑んだが、通過できなかった。

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芝浦工業大の「駅伝プロジェクト」