プロ入り後は140キロ台中盤程度のスピードにとどまっているが、大学時代は150キロに迫るスピードをマークすることも珍しくなく、北東北大学野球で通算奪三振数のリーグ記録を樹立しているように、元々は三振を奪える投手である。今年も開幕当初は中継ぎに回り、4月20日の広島戦では2回をパーフェクト、2奪三振と見事な投球も見せている。チームは左のリリーフ陣が手薄なだけに、短いイニングを全力で投げて三振を狙いにいく投球を目指した方が、支配下復帰への近道となる可能性もあるだろう。

 平良が先発に転向となった西武はその穴埋めが必要となるが、候補として挙げたいのが渡邉勇太朗だ。プロ入り3年目の昨年は9試合に先発して4勝をマーク。飛躍が期待された今年は3試合の登板で1勝に終わったが、二軍ではチームトップの6勝をマークしている。長身から投げ下ろす150キロを超えるストレートは迫力十分だ。

 今年はもうひとつだったものの、昨年はカットボール、スプリットで空振りを奪うシーンも多かった。年齢的なことと投手としてのスケールを考えると将来のエース候補として期待したいところだが、現在のチーム事情を考えると将来的な先発転向を視野に入れながら、一時的にリリーフに転向するのも投手としての幅を広げるうえでプラスとなりそうだ。

 パ・リーグでもう1人名前を挙げたいのが二木康太(ロッテ)だ。ドラフト6位でのプロ入りながら3年目の2016年から先発ローテーションに定着し、ここまで実働8年で126試合に先発して41勝をマークしている。しかし過去2年間は成績を落とし、今年は一軍定着後最低となる2勝に終わった。今年の投球を見ていると厳しいコースを狙いすぎてカウントを悪くして痛打されるシーンが目立ち、持ち味である制球力を生かし切れていないように見える。

 しかし短いイニングであれば150キロを超えるスピードをマークする可能性も十分にあり、フォークという空振りを奪える決め球を持っているのもリリーフ向きと言える。ロッテはリリーフ陣の高齢化が進み、また過去には唐川侑己が先発からセットアッパーに転向して成功した例もあるだけに、二木もそれに続く可能性は十分にあるだろう。

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より増しつつあるリリーフの重要性