1998年に就任したトルシエ氏は対戦相手などを含めた強化方針に口を出すこともあった。また、2014年に就任したアギーレ氏は過去の八百長に関与した疑いで任期途中での解任となった。代理人を含めた売り手側の思惑通りに契約させられた苦い経験として記憶に残っている。ロシア大会前には「選手とのコミュニケーション不足」で解任されたハリルホジッチ氏の例もある。協会側には、日本とは縁のない、外国人監督に対する“トラウマ”も存在するようだが……。

「協会関係者も経験を積んで(人選で)失敗をする可能性は少なくなっている。ネット社会となり、世界中の情報がリアルタイムで入手できる時代になった。(監督選びの)選択肢も増え、候補となった人物や代理人とコンタクトをとるのもかつてに比べ容易になった。外国人監督も当然、選択肢へ入れるべき」(サッカー関連エージェント関係者)

 これまでもW杯の終了後には海外の大物監督の就任が噂されたことは少なくない。前回のロシアW杯後には元ドイツ代表監督ユルゲン・クリンスマン氏の名前が候補として浮上。「どういったサッカーを見せてくれるのか」と大きな話題を呼んだ。

「日本代表の目標はアジアではなく、世界で勝つこと。外国人監督の良さは世界舞台での経験、実績の豊富さとネームバリュー。現役時代を含めた数多くの修羅場体験がチームに好影響を与えるはず。監督自身の知名度を生かして強豪国とのテストマッチを組むこともできる。日本人監督より一段上の舞台で強化を積めるはず」(欧州在住スポーツライター)

 結果的にはW杯で勝ち進むことはできなかったが、2010年から日本代表を指揮したザッケローニ監督は強豪相手にも攻撃的なサッカーを展開をし、日本代表の可能性を示した。今回のW杯では2つの“ジャイアントキリング”を達成して結果は残したが、グループリーグ第2戦のコスタリカ戦では、守備的な相手を崩せず、少ないチャンスをものにされて敗れた。さらに上に行くには、時にリスクをいとわずゴールを狙う攻撃的な姿勢も必要で、それには外国人監督が適任だという意見もある。

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候補になりそうな外国人指揮官は?