また、グループHの韓国は、初戦で南米の強豪ウルグアイ相手に見応え十分の互角の戦いを演じて0対0の引き分け。残念ながらグループAの開催国カタールは2連敗(0対2エクアドル、1対3セネガル)でグループステージ敗退が決まったが、まだ1試合しか消化していない韓国も含めて、日本、サウジアラビア、イラン、オーストラリアのアジア勢6チーム中5チームが決勝トーナメント進出への可能性を残している。

 過去、W杯でアジア勢は常に厳しい戦いを強いられてきた。出場32カ国制となった1998年フランス大会以降の6大会を振り返ると、アジア勢で決勝トーナメントに進出したのは延べ25チーム中5チーム(日本3回、韓国2回)のみ。

 悲惨だったのが前々回の2014年のブラジル大会で、アジアの4カ国(日本、韓国、オーストラリア、イラン)がグループステージで1勝も挙げられず敗退(通算3分9敗)。前回2018年ロシア大会では唯一、日本がベスト16入りを果たしたが、その他の4カ国(韓国、オーストラリア、イラン、サウジアラビア)はグループステージで姿を消した。過去6大会のアジア勢の通算成績は83試合15勝18分50敗で、引き分けを省いた計算式で勝率.231だった。それが今大会のアジア勢は現時点で11試合4勝1分6敗の勝率.400と跳ね上がっている。

 だが、この「アジアの躍進」が本物かどうかは、今後の戦い次第である。グループステージの残り1試合で、日本はスペイン、サウジアラビアはメキシコ、イランはアメリカ、オーストラリアはデンマークとそれぞれ対戦し、いずれも敗れた場合はグループステージ敗退が決まる。グループHの韓国も、残り2試合は身体能力の高い選手が揃うアフリカの難敵ガーナ、クリスティアーノ・ロナウド以外にも攻撃的なタレントを多く擁するポルトガルが相手。現時点で5カ国に決勝トーナメント進出の可能性があるが、その反面、カタールも含めてアジア6カ国全チームがグループステージ敗退となる可能性も低くない。前回ロシア大会でも、サウジアラビア(1勝2敗)、イラン(1勝1分1敗)、オーストラリア(0勝1分2敗)、韓国(1勝2敗)と、日本以外の4カ国は、いずれも“一矢報いる”戦いを演じながら、結果的にはグループステージ敗退となった。今大会は果たして、どうなるか。

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増えた枠を納得させられるのか?