過去6回のW杯を振り返ると、テストマッチの勝利に意味がないことが再確認できる。さらに今回のカタール大会は準備期間が短い。通常は1カ月近く事前合宿が行われるが、欧州各国リーグ戦のシーズン真っ只中の冬開催のためにカレンダーには余白なし。日本代表もメンバー全員が揃ってからは1週間余りしか調整する時間がない。その状況下において、初戦の6日前に行われるテストマッチで新たな戦術やメンバーを試す余裕はない。特にグループリーグ初戦のドイツ戦が“大一番”となる日本にとって、最優先すべきは選手のコンディション面の確認と調整になる。

 何より、現在の森保ジャパンには故障明けの選手が多い。DF板倉滉(ボルシアMG)とFW浅野拓磨(ボーフム)の2人は靭帯の部分断裂で約2カ月の長期離脱があり、MF田中碧(デュッセルドルフ)は右膝、DF冨安健洋(アーセナル)は右太ももの故障を経て、ともに所属クラブで実戦復帰しないまま代表チームに合流。さらに中盤の要であるMF遠藤航(シュツットガルト)が今月8日の試合で脳しんとうを起こして救急搬送。「問題なし」の診断も油断は大敵で、段階的な復帰プログラムの管理下に置かれる。その他、MF久保建英(レアル・ソシエダ)は先月27日の試合で左肩を脱臼。DF谷口彰悟(川崎)は今月5日のJリーグ最終節で鼻骨を骨折してフェイスガードを着用中。そしてキーマンに挙げられるMF三笘薫(ブライトン)は発熱で今月13日の試合を欠場し、代表チームへの合流も遅れる事態になった。まずは彼らの状態をしっかりと見極める必要がある。

 対戦相手のカナダは、今大会のダークホースとして挙げられるチームだ。最注目は世界的にも次世代スターとして認められている22歳のMFデイビス(バイエルン)。抜群のスピードを持ち、同じ2000年生まれFWデイヴィッド(リール)と2人でカウンターを完結できる力がある。彼らの「縦へ速さ」と大柄な選手が多い「体格面」を考えると、初戦で戦うドイツに通じるものがあると言える。

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カナダ戦のスタメンは誰になる?