2006年のW杯前の試合で素晴らしいゴールを決めた高原直泰
2006年のW杯前の試合で素晴らしいゴールを決めた高原直泰

 いよいよ始まるサッカーW杯カタール大会(11月20日開幕)。日本代表はグループリーグ初戦のドイツ戦を11月23日(日本時間22時キックオフ)に控えるが、その6日前の同17日(日本時間22時40分)に親善試合・カナダ戦を行う。過去には重要な意味を持ったこともあった直前のテストマッチを、今回はどう戦い、どう扱うべきだろうか。

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 まずは過去の「大会直前の試合」を振り返りたい。日本がW杯に初出場した1998年フランス大会では、グループリーグ初戦の11日前に合宿地(スイス)でユーゴスラビアと対戦。井原正巳を右膝の故障で欠いた中でW杯仕様の3バックで臨み、ストイコビッチら名手を多く擁した強豪相手に善戦したが、後半にミハイロビッチに強烈な直接FKを決められて0対1の敗戦。迎えた本大会でもアルゼンチン、クロアチアと同じ0対1のスコア、ジャマイカには1対2で敗れて3連敗。海外での試合経験不足が課題として挙げられた。

 続く自国開催の2002年日韓大会では、メンバー発表前の欧州遠征でノルウェーに0対3の完敗を喫した後、大会初戦の10日前に国立競技場でスウェーデンと対戦。結果は1対1の引き分け。トルシエ監督は10人の交代枠をすべて使い切ってGK以外の選手全員を起用。単調な攻撃が目立ったが、大会直前にサプライズ招集された中山雅史が大歓声を浴びるなどムードは高まった。迎えた本大会は、グループリーグを2勝1分で突破。日本史上初の決勝トーナメント進出を果たした。

 ジーコジャパンが挑んだ2006年ドイツ大会の直前テストマッチは非常に印象深い。初戦の13日前に開催国のドイツと対戦。前半は押し込まれる時間帯が多かったが、後半12分にカウンターから相手DFラインを華麗な連係で崩して高原直泰が先制弾。同20分にも再び高原がゴールネットを揺らした。その後に2点を返されて2対2の引き分けに終わったが、日本代表史上最高とも言えるゲームを披露した。だが、その3日後に行われたマルタ戦は開始2分に玉田圭司が先制ゴールを決めるも、その後は格下相手に低調な試合内容で1対0終了。「良」と「否」の相反するテストマッチを経て迎えた本大会では、「否」の方に針が振れ、1分2敗の未勝利でグループリーグ敗退となった。

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戦いぶりから急遽“大幅改造”の大会も