2010年南アフリカ大会のテストマッチは、本大会を戦う上で大きな意味を持った。初戦の15日前にイングランドと対戦して1対2、10日前にはコートジボワールに0対2の敗戦。2試合ともにチャンスの数自体が少なく、点差以上に勝てる要素の少ない試合内容。その前のセルビア戦、韓国戦を含めると国際Aマッチ4連敗となった。だが、チームが危機的状況に陥ったことによって岡田武史監督がチームの大幅改造を決断。迎えた本大会では本田圭佑を1トップに配置した超守備的戦術が功を奏して、グループリーグを2勝1敗で突破。戦前の予想を上回る戦いを披露して2度目のベスト16進出を果たした。

 その反対の結果になったのが2014年ブラジル大会だった。初戦の12日前のコスタリカ戦を3対1で勝利すると、その4日後、初戦の8日前に行ったザンビア戦は4対3。格下相手に3失点と守備面に不安を覗かせたとは言え、本田圭佑の2得点に香川真司、大久保嘉人もゴールを決めて計4得点と攻撃陣は好調だった。だが、迎えた本大会では、コートジボワール戦での1対2の逆転負けの後、ギリシャに0対0。そしてコロンビアには1対4の大敗。自信があったはずの「自分たちのサッカー」は脆くも崩れ、1分2敗の未勝利。結果的にはテストマッチの2連勝が“逆張り”となって大会を後にした。

 前回の2018年ロシア大会は、本大会開幕2カ月前に西野朗監督が就任する非常事態だった。時間が限られた中、国内で行ったガーナ戦に0対2で敗れた後、メンバー発表を経て初戦の11日前にスイスと戦ったが、攻撃の形がなかなか作れずに0対2の完敗。だが、その4日後、初戦1週間前に行ったパラグアイ戦では、スイス戦からスタメン10人を入れ替えて挑み、乾貴士の2得点などで4対2の勝利。その自信を手に、本大会では初戦のコロンビアに2対1で勝利。1勝1分1敗でしぶとく決勝トーナメントに進出すると、1回戦で強豪ベルギーと2対3の歴史に残る激戦を演じた。

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明日のカナダ戦が重視すべきは?