Bさんは、2年ほど前に、通っていた教会に返金を求めて抗議すると、1億7千万円余りのうち7千万円余りを分割で返金するという「合意書」が取り交わされた。

「安倍元首相の銃撃事件は、宗教と言いながらカネ集めに走る旧統一教会の問題が背景にあります。うちも家庭崩壊に追い込まれた。一部返金でごまかされるのは嫌です。本当は全額返金してほしいので交渉を始めました」

 として、弁護士とも協議している。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は、

「Bさんの被害は、旧統一教会に不安にさせられ、脅され、全財産を失った典型的な例だ。旧統一教会は2009年以降の被害はないと言っている。だがBさんはそれ以降の被害もある。旧統一教会は、安倍元首相の事件後、Bさんに対し、7千万円に追加して、一部を支払っての解決を申し入れているが、それで終わりというわけではない。旧統一教会は一部を支払うとか、寄付が古すぎるとかうやむやにしようとしているが、泣き寝入りせずに弁護士に相談してほしい」。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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