終盤は疲れが出て少し数字が落ちたものの、それでも8回2/3を投げて投じた76球のストレートの平均は147.9キロを記録している。これはプロの先発でも上位の数字であることは間違いない。スプリット以外の変化球は精度が低く、走者を背負った時のクイックが遅いなど課題は色々とあるものの、短いイニングであれば球威で圧倒できるのは大きな魅力だ。うまく成長すれば永川勝浩(元広島)のような抑え投手になることも十分に期待できる。

 高校生の選手では、ともに育成1位で指名された吉川悠斗(浦和麗明→ロッテ)と赤羽蓮(霞ヶ浦→ソフトバンク)の2人の投手を挙げたい。吉川は埼玉県内では昨年秋から評判だった大型サウスポーで、春の県大会でも初戦で敗れながらも17奪三振をマークしている。体つきはまだまだ細く、ストレートは130キロ台中盤がアベレージで、速くても140キロ程度と球威は物足りないが、ボールの出所が見づらいフォームで球持ちも長いため、空振りを奪えるのは大きな魅力だ。また高校生のサウスポーにしてはコントロールも決して悪くはない。しっかり体を鍛えて出力が上がってくれば、驚くようなボールを投げるようになる可能性はありそうだ。

 一方の赤羽は190cm近い長身から投げ込む150キロに迫るストレートが魅力の大型右腕。体格とスピードだけなら今年の高校生でも上位だが、投げてみなければ分からない不安定さが課題だ。夏の茨城大会でも2試合、わずか1回2/3の登板に終わり、実績の無さから育成指名となった。ただ、これだけ実績がなくても育成1位で指名されているというところにポテンシャルの高さがよく表れている。ソフトバンクの充実した設備でしっかり鍛えれば、どんなボールを投げるようになるか楽しみだ。

 最後に高校生の野手で取り上げたいのが巨人育成6位の三塚琉生(桐生第一・外野手)だ。2年時からチームの中心選手で、今年夏の群馬大会でもバックスクリーンへ一発を放つなど、打撃に関しては今年の北関東でもトップと見られていた選手である。最後の夏は脚を怪我していた影響から守備、走塁は少し精彩を欠いたが、大型でも脚力があり、投手も務めるだけあって肩の強さも申し分ない。

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ドラフト下位&育成から“主力”になれるか