心地よく眠れていますか? ※写真はイメージです
心地よく眠れていますか? ※写真はイメージです

 日中の疲れを癒すように、深い眠りにつく。何気ない日常の1つである「睡眠」は、私たちが生きる上でとても大事な役割を担っています。実は「人生の3分の1は、睡眠が占めている」ともいわれるほど。自分に合った質の高い睡眠は、毎日を快適に過ごす土台となるのです。そこで、いりたに内科クリニック院長の入谷栄一先生に、心地よく眠るためのコツについてお聞きして、前編・後編に分けてお届けします。前編では、「なぜ私たちは睡眠が必要なの?」そんな疑問を紐解きます。本記事は、日本メディカルハーブ協会HPの記事を一部改変してお届けします。

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■睡眠は体と脳のメンテナンスタイム

 日の出と共に起き、日の入りと共に眠りにつく。自然に沿った暮らしを送っていたひと昔前に比べ、快適で便利になった現代は、夜でも日中と同じように過ごすことが可能となりました。しかし、これらの生活環境の変化により、現代人の生活は夜型化し、睡眠不足や不眠などの悩みを抱える人が急増しています。

 そもそも「睡眠」とは何なのでしょうか。睡眠の最大の目的は、体と脳に休息を与えてメンテナンスをすることだといわれています。

 睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」、深い眠りの「ノンレム睡眠」があります。レム睡眠は、呼吸が浅くやや不規則で、眼球がピクピクと動いている状態。脳は活発に動いており、この間に、記憶の整理や定着が行われています。じつは夢を見るのもこの時。一方、ノンレム睡眠は、すやすやと深い寝息を立てて眠っている状態。脳や神経は休んでいます。

 通常は睡眠の前半にノンレム睡眠が現れ、後半はレム睡眠や浅いノンレム睡眠が多く出現します。睡眠中はこの2つを約90~120分のサイクルで交互に繰り返しながら、疲れた脳や体を回復させたりして、心身の状態を整えているのです。

■眠らないと体調を崩す……その理由とは?

 睡眠には、体のメンテナンス以外にも重要な役割があります。それが「ホルモン分泌」です。中でも、子どもの成長や体の修復にかかわる「成長ホルモン」、ストレスに負けない状態をつくる「コルチゾール」、体内時計を正常に保ち、自然な眠りを誘う「メラトニン」は、体の健康維持・増進にかかわるとても重要な役割を担っています。

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これらのホルモン分泌が足りないとどうなるか