亡くなる前、片目の瞳孔が開いてしまって見えないだろうに、私のことをもう片目で探しているのがわかり、「一緒にいて欲しいのだ」と実感しました。直前までトイレも自分で行って、すごい子です。

 千夏には感謝の気持ちでいっぱいです。の2年は人間の4倍の8年に相当するので、本当に長く一緒にいてくれました。しっかり看取れた私に対し、友人がいってくれました。

「千夏ちゃんが、体調を崩しながらも2年間もがんばったのは、最後に元気な姿を見せて(私の)心の準備が整うのを待っていたからかもね」と。

インスタに載せた漫画には応援や共感のコメントが届いたそう(提供)
インスタに載せた漫画には応援や共感のコメントが届いたそう(提供)

 千夏にはもうひとつ、ありがとうと伝えたいことがあります。

 じつは私は、2年前、日本に帰ろうと思っていたのです。でも具合が悪くなった千夏を連れて帰ることも、置いて帰ることもできません。奇しくも介護は自身を見つめ直す時間にもなりました。ニューヨークでは、やりたいことがあったはず……。千夏と過ごしているうちに、その何かが見つかりました。

 ジュエリーのブランドを立ち上げ、日本とNYを繋ぐソーシャルネットワークや文化交流のNPOも立ち上げたのです。ジュエリーブランドの名称はC から始まります。Cは千夏の頭文字からもらいました。千夏がいなかったらできていなかったことです。

 千夏が旅立って1年4か月が過ぎましたが、縁があり人生に深くかかわった千夏には、またいつか違う形で出会えるような気もしています。その日まで、しばしのお別れです。

 私は千夏と運命的に出会えたこの街で、もうしばらくがんばろうと思います。千夏のようたくましく……。

千夏の頭文字をジュエリーブランドの名にいれました(提供)
千夏の頭文字をジュエリーブランドの名にいれました(提供)
あの可愛さ、温もりを忘れません(提供)
あの可愛さ、温もりを忘れません(提供)

(水野マルコ)

【猫と飼い主さん募集】
「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目線で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKです。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com

著者プロフィールを見る
水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

水野マルコの記事一覧はこちら