13~14歳頃、パン型クッションにのる千夏ちゃん(提供)
13~14歳頃、パン型クッションにのる千夏ちゃん(提供)

 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回はニューヨーク在住のグラフィックデザイナー、ながこさんのお話です。20年前に出会ったキジ猫とどんな時も一緒にいましたが、シニアになって急に体調を崩し、獣医さんから「もって3~4日」と告げられます。しかし猫は、ケアをするながこさんに“寄り添う”ように命の時間を延ばしていきました。

【写真】この温もり、忘れません


*  *  *
 愛猫、千夏との出会いは2002年までさかのぼります。
 私はその2年前に「いつか暮らしてみたい」と憧れたニューヨークに渡りました。

 アパートに住み、英語を学びながらデザインの学校に通っていたのですが、ある日、私が“猫好き”だと知る友人から電話をもらいました。
「ブルックリンでゴミを漁っている子猫を見つけたのだけど、母猫とはぐれたようで保護したの、飼えない?」

 私はすでに、ニューヨークハーレムで保護したミュウという雌猫を飼っていたので、日本帰国などのことも考えてお断りをしました。

 ところが、断ったはずの子猫が、その晩、うちにやってきたのです。連れてきたのは一緒に暮らしていた当時の私の彼……。友人の知り合いがたまたま彼の職場にいて、「誰か飼えませんか」と聞きにいき、彼が(私が断ったのを知らずに)引き取り「おみやげだよ」と家に連れ帰った。それが、千夏です。

 こんな偶然ある?と驚きました。と同時に、その子猫があまりに私を慕うので驚きました。

 彼にはさっぱりなつかないのに(笑)、来てすぐに私の膝に乗り、おろしてもまたすぐに乗って。「この子は私のとこに来るべくして来たんだ」と特別な縁を感じ、引き取ったのです。

 その後、彼とは別れたけれど、千夏とは長く過ごすことになりました。

ながこさんの手に頬を寄せる千夏ちゃん(提供)
ながこさんの手に頬を寄せる千夏ちゃん(提供)

■日本に連れ帰り、野生児になったことも

 先住のミュウはおっとりした優しい猫だったので、千夏をすぐに受け入れました。お転婆な千夏に最初はびびっていましたが、すぐに、仲良くなりました。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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「それままずい」正月早々病院へ駆け込んだ