フライブルクでも主に右サイド起用がメインとなり、得意のカットインからフィニッシュフェーズに絡むなど、自身の持ち味を遺憾なく披露。また指揮官は「とても勤勉で、ライン間のスペースでの位置取りも素晴らしい」とポジショニング面を高く評価し、守備面でも周りとの連携に賛辞を送っている。5年前に海を渡って以来、現実を見つめながら着実にステップアップしていることは間違いないだろう。

 だが、本人は先日『ESPN』のインタビューで「もし今の僕が幸せなら、レアル・マドリーやバルセロナでプレーしている。だから満足はしていない。常にもっと成長したい」と明言した。この野心が彼のメンタルの強さの根底にあり、だからこそ成長し続けているのだろう。24歳にして大舞台の経験も豊富であり、「生活の上でも、サッカーにおいても本当に快適に過ごせている」と語るようにクラブのサポートも充実。今シーズン、選手としてさらに上のレベルへと到達する可能性は十分にある。彼のワンプレーワンプレーには注目すべきだ。


■冨安健洋(アーセナル)

 名門アーセナルで加入初年度から絶賛された日本代表DF。キャリアで初めて本格的なサイドバックとしての起用がメインとなったが(ボローニャ時代、攻撃時は実質3バックの右という位置づけ)、プレミアリーグのスピード感にいきなり適応したのは驚きだった。フィジカル面でも世界屈指のアタッカー陣に全く引けを取らず、一対一のデュエル対応は抜群。また、両足を遜色なく使えることもあってビルドアップでの貢献も素晴らしく、タイミングを見た豪快なオーバーラップもチームの武器となった。

 しかし、ケガによってそのキャリアはやや難しくなっている。昨シーズン後半も長期の離脱を余儀なくされ、今夏のプレシーズンもまた負傷によって欠場が続くことに。さらにチームにフランス期待のDFウィリアム・サリバが復帰したことにより、守備陣の競争は激化。冨安が離脱している間にはベン・ホワイトが右サイドバックにスライドされ、イングランド代表DFは期待を超えるパフォーマンスを継続している。

 開幕からの絶好調もあり、今のアーセナルはスタメンをいじる必要がない。そのため、冨安は途中出場とカップ戦がメインに。それでも出場した際のパフォーマンスは昨季と遜色なく、さらなるアピールが必要というわけでもないだろう(だからこそイングランドでも右サイドバック争いは度々話題となっている)。ミケル・アルテタ監督は昨季の経験から冨安の起用を慎重に考えていることを認めているため、カップ戦を中心に長期的な視野でコンディションをベストに持っていきたい。

次のページ
もう一人状態が心配な選手…