昨年オフにFAとなり大型契約を結んだのが宮崎敏郎(DeNA)、又吉克樹(ソフトバンク)、大瀬良大地、九里亜蓮(ともに広島)、梅野隆太郎(阪神)の5人だ。宮崎は6年、又吉は4年、他の3人は3年契約を結んでいる。この5人については昨年との成績を比較してみたい。

・宮崎敏郎
2021年:141試合 156安打 16本塁打 73打点 0盗塁 打率.301
2022年:96試合  107安打 9本塁打  36打点 0盗塁 打率.312

・又吉克樹
2021年:66試合 3勝2敗8セーブ33ホールド 防御率1.28
2022年:31試合 3勝3敗1セーブ14ホールド 防御率2.10

・大瀬良大地
2021年:23試合 10勝5敗0セーブ0ホールド 防御率3.07
2022年:19試合 7勝7敗0セーブ0ホールド 防御率4.46

・九里亜蓮
2021年:25試合 13勝9敗0セーブ0ホールド 防御率3.81
2022年:22試合 5勝8敗0セーブ0ホールド 防御率3.33

・梅野隆太郎
2021年:130試合 91安打 3本塁打 33打点 8盗塁 打率.225
2022年:86試合  57安打 3本塁打 19打点 2盗塁 打率.224

 又吉は試合中のアクシデントによる怪我で長期離脱となる不運はあったものの、全体的に見ても昨年から成績を落としている選手が目立つ。宮崎は高打率を維持しておりさすがの打撃技術を見せているが、広島の大瀬良と九里はともにローテーションから外れる時期があり、梅野も出場試合数を減らしている。もちろんこれだけで判断するのは早計だが、ファンや球団からするともう少し頑張ってもらいたいというのが本音ではないだろうか。

 こうして見てみると、改めて大型契約の難しさが感じられる。実績のある選手でFAが絡むと他球団との争奪戦となるため、条件が高騰することは避けられないが、契約の終盤にはどうしても成績が落ちることは想定しておく必要があるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら