ヤクルト・山田哲人(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
ヤクルト・山田哲人(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)

 9月となりペナントレースもいよいよ佳境を迎えているが、そろそろ気になってくるのがストーブリーグの話題である。昨年はフリーエージェント(以下FA)で移籍した選手が又吉克樹だけと少し静かなオフとなったが、今年は森友哉、外崎修汰(いずれも西武)、中村奨吾(ロッテ)、西川龍馬(広島)などがシーズン中に国内FA権を得ており、もし宣言すれば争奪戦となる可能性は高いだろう。

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 FAに絡んで移籍する場合も残留する場合も複数年の大型契約を結ぶケースも増えているが、果たしてそれに見合った活躍を見せられているかと言えば疑問が残る。そこで今回は近年結ばれた大型契約の費用対効果について検証してみたいと思う(年俸は推定)。

 まず現在最も長い契約を結んでいるのが則本昂大(楽天・2019~2025年)、柳田悠岐(ソフトバンク・2020~2026年)、山田哲人(ヤクルト・2021~2027年)の7年契約だ。則本は7年総額21億円、柳田は年俸変動制ながら今年は6億2000万円プラス出来高、山田は7年総額40億円といずれも日本球界ではなかなかない規模の契約となっている。ではこの3人の契約以降の成績はどうなっているのだろうか。まとめてみると以下のようになった(今シーズンは9月1日終了時点)。

・則本昂大
2019年:12試合 5勝5敗0セーブ0ホールド  防御率2.78
2020年:18試合 5勝7敗0セーブ0ホールド  防御率3.96
2021年:23試合 11勝5敗0セーブ0ホールド 防御率3.17
2022年:18試合 7勝8敗0セーブ0ホールド  防御率3.81

・柳田悠岐
2020年:119試合 146安打 29本塁打 86打点 7盗塁 打率.342
2021年:141試合 155安打 28本塁打 80打点 6盗塁 打率.300
2022年: 91試合 94安打  16本塁打 59打点 1盗塁 打率.272

・山田哲人
2021年:137試合 134安打 34本塁打 101打点 4盗塁 打率.272
2022年:105試合 96安打  22本塁打  61打点 9盗塁 打率.244

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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