しかも、河井は芸人仲間の間でも評価が高い。その実力を認められているのはもちろん、プライベートでも彼を慕う後輩は多い。ニューヨークの2人も、河井に食事に誘われた際、店の予約から行き帰りのタクシーのセッティングまですべてを河井が仕切ってくれて、そのおもてなしの完璧さに驚愕したという。

 通常、芸人同士であれば後輩が先輩を立てるのが普通なのだが、河井は後輩にも気を使わせないように自分から気を使う、という精神を持っている。ニューヨークの2人は河井のことを「ゆず兄」と呼んで慕っている。

 芸人の能力をジャンル別に分けた場合、河井はどの要素でも満遍なく高い数値を叩き出す優等生キャラである。これから本格的に全国ネットのバラエティ番組に出るようになれば、さまざまな形で彼の才能が発揮されることになるだろう。気遣いができて見た目も爽やかであるという点は、全国ネットのテレビ番組のMCにも向いている。

 将来有望な人材が大勢揃っている「かまいたち世代」の芸人の中でも、かまいたちの次にブレークするのは河井なのかもしれない。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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